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第85話 交換条件

「布津野君、私に何か言いたい事があるなら早く言ってくれないかしら? 私は気長に待てるほど暇じゃないのよぉ!!」


 暇で部活を創ったあんたに言われたくないぜ!!

 でもここは……


「すみません、花持部長。俺が言いたいのは『廃部』の提案は賛成ですが、少し不公平だと言いたかったんです」


「不公平?? 何が不公平なのかしら?」


「だって、そうじゃないですか? ただ『廃部』といっても、歴史の浅いエグゼクティ部が廃部するのと20年以上も続いている歴史あるネガティ部が廃部するというのでは、全然重みが違うと思うんですよ!!」


「重み? まぁ、言われてみればそうだけど……それじゃあ、あなたはどうすればその不公平が無くなると思っているのかしら?」


 よし、食いついてきたぞ。


「はい。『ドッジボール対決』でうちの部が負ければ廃部というのは構わないです。でも、うちが勝ったらエグゼクティ部は廃部ではなく、うちの部の『傘下』に入ってもらい、毎月部費の1割をネガティ部に収めるってのはどうですか? 『傘下』に入るってのは、エグゼクティ部にとってはかなり屈辱的でしょう? それにスリルがあってお互いに緊張感のある勝負ができると思うのですがどうでしょう?」


「ふーん、スリルねぇ……」


 ついでにもう1つ言ってやる。


「あと皆さんは『超お金持ち』の集まりだと聞いています。おそらく別荘の1つや2つお持ちですよね? その別荘を我々ネガティ部の『夏合宿』の為に毎年『無料』で提供していただきたいのです。これらが廃部を受ける為の俺からの提案なんですが……花持部長、いかがでしょうか!? 花持部長くらいの器の大きい方ならこれくらいの提案なんて簡単に受け入れてもらえると俺は思っているのですが……」


「ひ、一矢君……」


 フフフ、どうです美代部長?

 さっき話していた『夏合宿』がもしかしたら今年実現できるかもですよ。


「私が器が大きいですって? ……ふ、布津野君と言ったわね? 私の事をよく分かっているわね? それに、なかなか面白い提案だと思うわ。だからあなたの言う通り、部費の1割なんてお金持ちの私達にとっては全然、痛くも痒くもないし、それに夏合宿の場を無料で提供する件も全然問題無いわよぉ。部費なんて全額収めてもいいくらいだわ。だって私、器が大きいから!! それに『夏合宿』も場所だけ提供するんじゃなくて、1流シェフも常駐させて、高級料理も提供してあげてもよろしくってよ。ただ……」


「ただ?」


 器が大きいってのは気に入ったみたいだけど、もしかして断る気なのか?


「たださぁ、ネガティ部の『傘下』に入るのだけはねぇ……屈辱的なのは間違いないけど……それだけはねぇ……」


 お金のかかる事は全然気にし無いクセに傘下に入るのだけは嫌なのか?

 さすがプライドが高いだけのことはあるよな。


「べ、別に『傘下』に入るのが嫌なら、それ以外の提案だけ飲んでもらっても俺は全然構いませんが……」


 頼む、俺の提案を飲んでくれ!!


「そうねぇ……他の条件は全て受け入れても構わないわ。うちが負ける事は絶対あり得ないとしても、もし万が一うちが負ける様な事が有ったとしても『傘下』になるのだけは絶対に嫌よ。だから当初の提案通りうちが負けても『廃部』という事で構わないかしら? それならあなたの提案に乗ってあげても良いわよぉ」


 よしっ!!


「分かりました、それでお願いします!! でも必ず約束は守ってくださいよ!?」


「オッ~ホッホッホ~!! 私が約束を破る様な人間に見えるとでもぉ? 『パパやお金の力』を使って約束を踏みにじるとでもぉ? そっ、そんな事、するわけ無いじゃない!! オッ~ホッホッホ~!!……」


 こっ、この女、『パパやお金の力』を使って負けた場合は約束を破るつもりだな!? 絶対そうに違いない!!


「フフフ……ダーリン、心配すなくてもいいぞ。今の会話は全て『ボイスレコーダー』に録音している。だから変なごまかしは効かないよ……」


「ボ、ボイスレコーダーですって!?」


「ル、ルイルイいたのかよ!? っていうか俺の事を『ダーリン』って呼ぶんじゃねぇ!!」


「だから言っただろ。私はダーリンの背後にずっといるってな」


「背後って何だよ!? 『背後霊』かよ!? それに『ボイスレコーダー』だなんて、準備が良すぎねぇか?」


「ああ、このボイスレコーダーは部室のテーブルの下に張り付けてあって、ダーリン達の会話を録音していたやつだ。そして会話の内容を分析して『占い』に役立てていたってことだ。だからまぁ、細かい事は気にするんじゃないよ。ハ~ハッハッハッハッ!!」


「きっ、気にするに決まってるじゃねぇか!! 何シレッと軽く言ってるんだよ、この『インチキ占い師』め!!」



(ヒソヒソ……)「おい、フツオ。勝敗後の条件は別に構わないけどさ、それ以前に俺達が『ドッジボール対決』で勝たなきゃ意味がないんだぜ。大丈夫なのか? 俺達が勝てると本気で思っているのか?」


(ヒソヒソ……)「あぁ、そうだよな。勝たなきゃ意味ねぇよな。でも俺はさっき頭に血が上った時『ある事』を思い出したんだ。そしてその『ある事』が間違い無ければ、俺達は“絶対に負ける事は無い”!!」


(ヒソヒソ……)「“負ける事は無い”!? 何だか意味深な言い方だなぁオイ……」


「それでは花持部長、この条件で今度の『ドッジボール対決』をよろしくお願いします!!」



 俺はさっき、ある事を思い出したんだ。

 俺達が『ドッジボール対決』でエグゼクティ部に勝つ為の『鍵』……


 その鍵を握っているのは、何を隠そう、我らが越智子美代部長だって事をな!

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