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第84話 負けたら廃部

 『花持蘭那はなもちらんな』……

 この女が『エグゼクティ部部長』かよ!!


 本当に『鼻持ちならん』奴だぜっ!!

 顔はそこそこ美人なのに、あの『お高くとまった』表情が台無しにしているよな?

 勿体無い気がするんだけどなぁ……


「私は越智子美代に用があるの!!」


「えっ、私ですか?」


「そうよ。私はあなたと部長同士のお話をしたくてわざわざこんな陰気クサい部室に来てあげたのよ」


 この花持部長ってルイルイの口の悪さよりはマシだが最悪な女には間違い無いよな!?


「わっ、私に何のご用でしょうか……?」


「先程、海藤会長から聞いたのだけど、今度の球技大会で行われる特別競技『ドッジボール』で私の部とあなたの部の勝った方が四大茶部ってことになるそうだけど、私としてはそれだけじゃ全然面白くないと思っているのよ」


 いやっ、俺達はそもそもその『ドッジボール対決』自体を全然面白いとは思っていないけどな!!


「ど、どういう事でしょうか?」


「今回の対決で1つ賭けをしないかしら? その方がさぞかし盛り上がると思うのよねぇ。私はエグゼクティ部が四大茶部に在籍する為に学園として盛大な盛り上がりが欲しいのよ!!」


 なっ、何なんだこの女は!?

 何でエグゼクティ部が勝つ前提で話をしているんだよ!!


「負けた方が部を『廃部』にするってのはどうかしら? その方が真剣に勝負できると思うし、ギャラリーも凄く盛り上がると思うのよねぇ」


 はっ、廃部だとぉ―――――――――――っ!!?? 


 こ、この女……何という提案をしてくるんだ!!

 マジで頭にくるぜッ!!


 んん?

 でも待てよ……


「はっ、廃部ですって!? そ、それはとんでもない提案といいますか……でも廃部になるのはお互いに困るんじゃないでしょうか?」


「お互いに困るですって~? オ~ッホッホッホッ!! 別にうちは廃部になっても全然、困らないわよぉ。創部してまだ3年目だから大して歴史のある部でも無いしさぁ。そもそもあの部は私が暇つぶしの為に創った部活だしね。それにまた何かやりたければ別の名前で部を発足すれば良いだけだしぃ……まぁでも、うちの部が負けることなんて、これっぽちも思っていないけどねぇ。オ~ッホッホッホッ!!」


 暇つぶしの為に創った部活だとーっ!?

 ふざけるんじゃねぇ!!


 だっ、駄目だ!!

 この女は絶対アカン奴だ!!


 ルイルイに初めて会った時よりも、メチャクチャ腹が立ってきぞ。


 う~ん、これは黙っていられないな。


「ちょっと良いですか、花持部長?」


「えっ、あなたはどなたかしら? 何だかネガティ部っぽくない『普通の人』に見えるのだけれど……」


「『普通の人』ってのは余計なお世話なんですけどね。俺もれっきとしたネガティ部の部員なんですよ。まずは自己紹介をさせて頂きますが、俺は1年の『布津野』と言います。今日は突然、ネガティ部の部室に来られたかと思えばまさかそんな提案をされるとは花持部長の人間性を疑ってしまいますよぉ。他の部員達もよくあなたを部長に推しましたね?」


 どうだ、花持部長? 1年生にこんな皮肉を言われたら腹が立つだろう?

 とことん皮肉を言って帰らせてやる。


「フフフ、私は部員の中で一番のお金持ちだから他の部員達は私に絶対服従なの。だからご心配なくぅ……えーっと……名前なんだったっけ?」


「布津野です!!」


 なんなんだこの女は!?

 部長に絶対服従って最悪な部活じゃないか!?


 ん? でも、俺も美代部長の命令なら何でも聞いてしまうところがあるけども、それもある意味、絶対服従ってことなのかな?


「布津野君ねぇ……ふ~ん……それでその『普通の布津野君』が私に言いたい事はそれだけなのかしらぁ? プッッ、普通の布津野だって……私ったら自分で言ったのにあまりのセンスの良さにウケちゃうわ~オ~ッホッホッホ~!!」


 カチンッ……センスなんて微塵もねぇよ!!

 これまで同じような事をどれだけの人間が言ってきたと思ってやがる。


 って俺が怒っている場合じゃないよな。それでなくても舞奈や先輩達は花持先輩の提案にかなり動揺しているみたいだし、ここで冷静にやりあえるのは俺だけだからな。よし、ここはさっきひらめいた事を……


「花持部長が提案された廃部の件ですが……」


「フン、どうせ君も越智子美代達と同様に反対なんでしょ? でもこの提案には絶対に乗ってもらうわよ。だって私、ワガママだから」


 ワガママなのは言わなくても分かってるよ。それよりも……


「俺は廃部の提案に対して反対ではないですよ。逆にその提案にのりたいくらいです」


「え?」


「 「 「 「 「えーっ!?」 」 」 」 」


「ひっ、一矢君、なんでそんな事を言うの!? 一矢君はネガティ部が廃部になってもいいわけ!? もしかして一矢君はネガティ部を飽きちゃったとか……」


「まぁまぁ、落ち着いてください菜弥美先輩。俺に考えがあるんです。できれば俺の事を信じてもらいたいのですが、いかがでしょうか?」


「考え? 一矢君には何か考えがあるんだね?」


「はい、そうです」


「そ、そうんあだぁ……ひ、一矢君の事だから絶対に変な事は言わないだろうし、今までだって一矢君にたくさん助けて貰ったし……う、うん分かった。私、一矢君をを信じるわ!!」


「菜弥美先輩、ありがとうございます。あと、美代部長や他の人達も構わないですか? 俺を信じてもらえますか?」


「べ、別に私はいつも一矢の事は、信じてるし……それに私の脳みそでは何も浮かんでこないし……」


 まぁ学年総合1位で頭が良くても悪知恵まで直ぐに浮かぶわけはないよな。


「ハハハ、舞奈もありがとう。テルマ先輩も子龍先輩も構いませんか?」


「私も大丈夫よ。どうせ私だって考えても何も浮かばないし……それは子龍も同じだと思うわ。ねっ、子龍?」


「そ、そうだね。僕は一矢君の事を信頼しているから大丈夫だよ。君のやりたい様にやってくれたまえ」


「テルマ先輩も子龍先輩もありがとうございます」


「一矢君、本当にすみません。私が頼りにならない部長のせいでこんなことになつてしまって……いつも一矢君にお世話になってばかり……本当に自分が嫌になってしまいます。いっその事、今日から一矢君が『部長』になった方が良いのではと……」


「いえ、それはお断りです!! 前にも言ったでしょ? 俺は美代部長だからネガティ部に在籍しているんだと」


(ポッ)「ひ、一矢君……」



(ヒソヒソ……)「おい、フツオ? 何か良い作戦を思いついたみたいだな?」


(ヒソヒソ……)「フフ、さすがモブオだな。あぁそうさ。どうも俺は頭に血がのぼると良い作戦が浮かぶ体質みたいだよ」


 さぁ、ここからは鼻持ちならん花持蘭那に反撃といきますか……


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