第80話 生徒会長達の秘密
【四大茶部総会終了後の廊下にて】
はぁ……まさか、エグゼクティ部とドッジボール対決をすることになるなんて……
俺、運動全然ダメなのにどうすればいいんだよっ!?
ほら見ろ、美代部長もかなり落ち込んでるぞ!!
「み、美代部長、大丈夫ですか?」
「えっ、えぇ大丈夫ですとは正直言えませんが、一体どうやって40万円もの大金をお返しすれば良いのか不安で不安で……」
「えっ、そっちの心配ですか!? もう負ける事前提で考えているんですか!?」
「えっ? 一矢君は勝てると思っているのですか?」
「い、いや、さすがに勝てるとは思ってませんよ。でも、そんなにあっさりと負けを認めるのはちょっと悔しいかなぁとも思いますし、それに20年以上も四大茶部と呼ばれている歴史のあるネガティ部が、創部約2年のエグゼクティ部なんかに安々と四大茶部の称号を譲るのは何か癪に障るなぁなんて思ってしまって……」
うーん、俺が負けず嫌いなだけなのかなぁ……
「ひ、一矢君ありがとうございます。あなたの方がネガティ部の事をとても愛してくれている様な感じがしますね? なんだか私、とても恥ずかしいです。これで『部長』だなんて本当に申し訳がありません。あっ、ではこれを機に私の代わりに一矢君が部長になというのはどうでしょうか?」
「えっ!? え―――っ!? そ、それは絶対嫌ですよ!! っていうか俺なんかが部長だなんて絶対無理ですから!! 俺は美代部長がネガティ部部長をされているからこそネガティ部部員としているんです。美代部長がいるから頑張れるんです。だからそんな悲しい事は絶対に言わないでください。お願いします!!」
(ポッ)「ひ、一矢君、ありがとうございます。今の一矢君の言葉で少し元気を取り戻せました。やはり私も本音を言えば四大茶部から外されるのは悔しいです。なので、今から部室に戻って早急に皆さんと『ドッジボール対決』に向けての作戦会議を行いませんか?」
「そうですね。皆で一緒に考えたら、何か良い作戦が浮かぶかもしれませんよね? そ、それに……」
「え? どうかされましたか?」
「そ、それに今回はうちの部は全然部費が残っていませんが、来年になればまた『45万円』貰えるんですよね!? そうなれば来年、俺はネガティ部部員だけで『夏合宿』をやりたいなぁ〜なんて思ってるんですよ!!」
「『夏合宿』ですか……それはとても良いですね。私は今までそんな事考えた事も無かったです。あぁ、想像しただけでも凄く楽しそうです」
「でしょ? 俺、この間の『謎めいた合宿』の時にそう思ったんですよ。あそこでは色々とありましたけど、クラスの皆と行った合宿でもあれだけ楽しかったので、もしネガティ部部員だけで合宿をすれば更に楽しくなるんじゃないかって……」
「ほんと、そうですね。考えただけでもワクワクします。でも残念ながら来年になれば私は卒業してこの学園にはいなくなりますので合宿には参加できません……グスン……とても残念ですが……」
「何を言ってるんですか美代部長!? 卒業されても『ネガティ部OG』として合宿にお誘いしますよぉ」
「え? そうなんですか?」
「当たり前じゃないですか。美代部長が俺をネガティ部に誘ってくれていなかったら、今の俺と美代部長、今の2人の関係は無かったんですからね。約束します!! 絶対に俺は美代部長を合宿に誘いますよ!!」
「グズン……あ、ありがとうございます一矢君……私、嬉しさのあまり涙が止まらなくなってきました。グスングスン……ウゥッグズン……」
「あぁ~美代部長、泣かないでくださいよぉ? これで涙を拭いてください。って、アレ!?」
「グスン……ど、どうかされましたか?一矢君……」
「どうも生徒会室にハンカチを置き忘れてきたみたいです。さっき熱く語り過ぎて、結構汗をかいてしまったんで汗を拭きとる時にハンカチを使ったんですが、テーブルの上に置き忘れてしまったかもしれません。あのハンカチ、アメリカに留学中の妹が別れ際にプレゼントしてくれたハンカチなもんで……美代部長、スミマセン! 先に部室に行っててもらえますか!? 俺、ちょっと生徒会室にハンカチを取りに戻りますので!!」
いくら引け目を感じている妹からもらったものでもやっぱり大事なモノだもんなぁ……急いで取りに戻らないと。
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【生徒会会議室】
ガラッ、ガラガラッ
「失礼しまーす……ハンカチを忘れてしまいまして……って誰もいないか」
海藤会長や卯馬副会長はまだ会議室にいるかなって思ったけど、早々とどこかに行ってしまったのか?
ん? 隣の部屋に繋がっている扉の向こうから声が聞こえるぞ。この声は海藤会長の声みたいだな。なるほど、隣の部屋は生徒会室なんだ。
とりあえず声をかけてから部屋を出るとしよう。
ガチャ、ギィィィ……
えっ!?
なななななんだ、あの二人は!?
「ふぅ~ようやく、あの『変人集団』はそれぞれの部室に戻ったか……」
「うん、そうだね『エリ君』……今日もお疲れ様だったわね? でも今日のエリ君もとってもカッコよかったわ~実はずっと見惚れていたんだからぁ♡」
「おいおい『エリ君』って呼び方は凄く恥ずかしいよぉ。しかし『キリたん』はいつも切り替えが早いなぁ?」
え、えり君? き、キリたん?
「そりゃそうよ。私は少しでも早くエリ君とイチャイチャしたいんだから♡ でもエリ君だって早く私に『アレ』をしてもらいたいんじゃないのぉ?」
「フフフ、そうだなぁ……ハッキリ言って早く『アレ』をして欲しいなぁ」
あああああアレって何だ!?
あの2人は一体何をするつもりなんだ!?
いや、もしかしてアレっていうのは『アレ』のことか!?
いいいいいいや、それはマズいだろぉ!?
「さぁ、エリ君……こっちにいらっしゃーい? 早くソファーにおいでぇ♡」
「も~キリたんったらぁ、そんなにせかさないでくれよ~っ?」
ややややヤバいって……
まさか海藤会長と卯馬副会長がそんな関係だったなんて……
は、早くこの場から逃げ出したいのにあまりの衝撃で俺の身体が硬直しているぞ!! ヤバい、俺がここにいる事があの2人にバレてしまったら……違う理由で四大茶部からネガティ部が除名させられてしまうじゃないかーっ!!




