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第49話 皆さんのおかげです

 こ、この俺が総合10位って嘘だろう……マジなのか!?

 夢じゃないだろうな!?


「ね? 下の方を見る意味無かったでしょ? 布津野君って『普通』に勉強できそうだとは思っていたけど、やっぱり思っていた通りの人だったわ」


 なんか『普通』っていう言葉にピクッと来たけど和久塁に関しては悪意を感じないからマケておいてやるか。それに勉強できそうと思われていたのは『普通』に嬉しいしな。


 あ? 俺も自然と『普通』っていう言葉を使っているな? ハ、ハハハ……


「有難う、和久塁。でも総合2位のお前に褒められてもなんか複雑だけどな」


「私の2位はたまたまだよぉ」


 くっ、舞奈と同じ事を言いやがるな? 


「一矢~? 順位はどうだったのぉ?」


「え? お、俺の順位はだな……」


「あーっ!? 総合10位じゃないの!? 凄いじゃない!?」


「何だとーっ!? フツオが総合10位だとーっ!?」 


 フッ、悪いな、200位のモブオ君……


「この間までめちゃくちゃ赤点を恐れていた一矢とは思えない順位だよね? 1週間、『勉強会』をやった甲斐があったわね~?」


「 「べっ、勉強会!?」 」


 な、何だよ? モブオと和久塁が同時に驚いた声を出してさ。


 でも和久塁は舞奈にジロッと睨まれた瞬間にどこかに逃げてしまったぞ。

 せっかく舞奈と会話ができるチャンスだったのに勿体ないなぁ。


 やっぱり和久塁が舞奈と友達になるのは俺が考えている作戦までお預けみたいだな?


「ちょ、ちょっと待てフツオ!? も、もしかしてお前……ま、舞奈ちゃんと二人で勉強会をやったのか!? それなら俺も誘ってくれよなぁ!? せっかく俺も舞奈ちゃんとは友達になれたのにさぁ……」


 なんだよ、モブオの奴……なんか凄い血相を変えた顔をして……


「モブオ君、私と一矢の二人で勉強会をしたんじゃないわよ。部活の先輩達も一緒に勉強会をやったのよぉ……ボソボソ……本当は二人きりでも良かったんだけどね……ボソボソ……」


 ん? 舞奈の奴、何をボソボソ言ってるんだ?


「そ、そうだったのかぁ!! それなら納得だよぉ。俺が『ネガティ部』の勉強会に入る訳にはいかないもんな!? はぁ……それを聞いて安心したよ」


 何が安心なんだ?


「まぁ、いずれにしても前にモブオが言っていた通り、これで次の期末テストは気分的に楽になるよ」


「はぁぁああああ……なんてこった。200位の俺の方がヤバいじゃないか~!!」



――――――――――――――――――――――――

 【ネガティ部部室にて】


「皆さん、有難うございました!! まさか俺なんかが総合10位だなんて……今でも信じられませんよ!! これも皆さんのおかげです。本当に有難うございました!!」


 放課後になってもまだこの興奮は冷めない俺がいるぞ!!


「一矢君、本当に良かったですね? 私も自分のことのようにとても嬉しいです。でもこの結果は一矢君の努力の結果だと思いますよ。私は一矢君のお母様とほとんどお話していただけでしたし……」


 美代部長、ほとんど母さんばかりが美代部長にマシンガントークをしていたように思えましたが……でも楽しそうに話を聞いている美代部長の笑顔はとても素敵でした。


「そうそう。美代部長の言う通りよ。私達はそんなに教えていないからね。少しだけ要点を教えただけで、あとは一矢君の実力だよ。私は一矢君のお母さんからたくさん料理のレシピを教えてもらえて凄く嬉しかったなぁ……」


 菜弥美先輩、後半かなり母さんにあれやれこれやれと指示されまくって悩んでいましたけど、『菜弥美の悩み事』は増えていませんか? 俺はそれだけが気がかりです。


「そうね……私達はほとんど夕飯のお手伝いをしていた感じだったしね。私は味見するのに必死で勉強を教えるどころじゃなかったし……でもとても楽しかったわ」


 テルマ先輩、頑張って味見をされていましたけど、まさかの猫舌でスープ系の味見はほぼ役立たずでしたね? でも熱がって『フーフー』している姿は小動物の様でめちゃくちゃ可愛いかったですよ。


「私も皆さんと同じで夕飯のお手伝いに力を注いでいたし、またその後の夕飯がとても美味しくて美味しくて……一矢のお母さんって美人で優しくて明るくてそして料理も手際も良くて凄く上手だしとても尊敬しちゃったわ。ほんといつになくこの一週間はご飯が凄く進んだわ~!!」


 舞奈、お前は食べ過ぎなんだよ!! っていうか、この1週間で更に胸がデカくなってないか!? 夕飯の栄養が全て胸に行ったんじゃないのか!?


「一矢君、毎晩夕飯を御馳走になってしまった後に、こんな事を聞いても失礼かもしれないけど、これだけの大人数がご馳走になって布津野家の家計は大丈夫なのかい?」


 子龍先輩、今更って感じですよ。


「子龍部先輩、それは大丈夫だと思いますよ。多分ですが……」


 親父が何の仕事をしているのか分からない、稼ぎが良いのかどうか分からないなんて恥ずかしくて言えないしな。


「そうなのかい? それなら良いんだけどさ……しかし僕も一矢君のお母さんと、あの『何も問題の無かった時代』の話が出来て本当に嬉しかったなぁ。これからもテストがある度にお邪魔させてもらいたいくらいだよ」


「子龍、あんた、たまには良い事を言うわね? 顔は相変わらず横向いてるけどさ」


「菜弥美、僕の顔の向きは関係ないだろぉ!?」


「一矢、私も是非お願いしたいわ!! 一人で勉強するよりも皆で勉強する方が楽しいし、お互いに苦手な教科を教え合えるメリットもあるし!! だから私も総合1位になれたんだと思うのよ!!」


「ああ……そうだな舞奈……今回は俺もつくづくそう思ったよ。こんな『普通』の俺が……いやっ、『普通風』の俺が総合10位を取れたんだからな。絶対、勉強会をするメリットはあるよな?」


 でも本当はデメリットもあるんだぞ。


 皆、いつもの調子だから部活だけでなく家でも俺は全員を突っ込みまくらないといけないから、皆が帰った後の俺の疲労感は相当なもんだよ。


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