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第3話 あなたをモノにする

 しかし、ちょっと待ってくれよ!?

 俺が入部しないと死んでしまうって、どういう事?

 

 こっ、こんな部活の勧誘の仕方、聞いた事が無いぞ!


「あ、あのぉ、少し落ち着きませんか? 一体どういう事なのか俺に分かりやすく説明してもらえないでしょうか?」


「は、はい、申し訳ありません……いきなりこんな事言ってしまいまして……じ、実は今朝観ていた番組の星占いで、私の星座の番になった時、『職場や学校でアナタから見て『一番普通』だと思った人を『モノ』に出来なかったらアナタは死ぬでしょう!』と言われまして……」


「・・・・・・」


 はぁ――――――っ!!??


 イヤイヤイヤッ、朝の爽やかな時間帯の占いコーナーで『死ぬでしょう』なんて普通言わないでしょ!?


 朝からめちゃくちゃプレッシャーで、それだけで学校行くのが嫌になるぜっ!! 


 そ、それにサラッと流しかけたけど『一番普通』ってどゆこと!? 


 この人から見て俺が『一番普通』の人って事なのか!? 


 た、ただでさえ『普通』って言われるのが嫌なのに、この得体の知れない人に『普通ランキング1位』に認定されても俺は全然嬉しくないぜ!!


 それと、『モノ』に出来なかったらって……


 そ、それって何ですか!? 

 アレですか? アレなんですか!? 


 や、止めてくださいよ〜!!

 お、俺、めちゃくちゃ変な風に勘違いするじゃないですか〜!!


 いや、これは、ただの部活の勧誘なんだよな?


「あ、あの~すみません。ところで、先輩が誘ってくれている部活は一体どんな部活なんでしょうか?」


「あっ! そ、そうでした。も、申し訳ありません。部活の事を何も言わずに勧誘してしまいました……本当に私は『バカ』で『ノロマ』で『ブス』で『おたんこなす』で……」


 いやいやいや~、アナタは絶対『ノロマ』じゃないし!!


 めちゃくちゃすばしっこいはずだし、俺はさっきそれを体験しているし、それにめちゃくちゃ美人だし……だけど何で自分の悪口だけはスラスラと言えるんだ?


「そんなに自分を落とす必要はないと思うんですけど……それで、どんな部活なんですか? どうしてそんな占いを真に受けたりするんですか? 勧誘に必死なのは他に理由があるんじゃないですか?」


「あ、ありがとうございます。あ、あなたは『普通』に優しい方なんですね? わ、私すぐに落ち込んでしまう性格なもので、占いの内容でも直ぐに影響してしまうといいますか……いつも反省しているのでうが、なかなか治らなくて……本当にあなたが『普通』に優しい方で良かったです」


 『普通』は余計だよっ!! それも2回もいいましたよね!?


「はいはい、もう良いですから、マジで部活の事を教えてもらえませんか!?」


「は!? そ、そうでしたね。わ、私がお誘いしている部活の名前はですね……」


「ネ、ネガティ部と言います」


「へ? ネガティ部???」


「はい、ネガティ部です」


「何ですかそれ? ふざけてます? 俺をバカにしてるんですか!?」


「ま、まさか!! ふ、ふざけていませんよ!! ほ、本当にネガティ部という名前の部活なんです。けっこう昔からある部活なんです。そ、そして私はそのネガティ部の部長をしています、3年の『越智子美代おちこみよ』というものです」


 こ、この人が部長かよっ!?


 それに、何だ!? 『ネガティ部』って!? 

 

 そんなふざけた名前の部活が存在するなんて聞いた事無いし、それにあの人の名前『おちこみよ』だと?? 


 一体どんな字だ!?


 あの人を見ていたら勝手に『落ち込みよ』って俺の頭の中で変換してしまったぜ!!


「お、おちこ先輩……と、とても良い名前ですねぇ?」


「えっ? そこは下の名前で『美代』って呼んで下さいませんか??」


「は~っ!? 何でそこだけ積極的なんですか!? 俺達、初対面なのにいきなり下の名前呼びっスか!?」


「だ、だってうちの部は下の名前で呼び合う決まりなものでして……」


「いや、まだ俺入部するなんて一言も言ってないですし!!」


「お、お願いです!! ど、どうかネガティ部に入部して下さい!! うちの部、現在4名しかいなくてこのままだったら部員不足で廃部になってしまうんです!!」


 はぁぁぁぁ……

 はいはい、そういう事ですか。何、この学園ものアニメでよくあるパターンは?

 

 大体は5人目が主人公になるんだよな?

 って事は俺が主人公かな?


『本日の普通ランキング1位』のこの俺が主人公になれるんですかっ!? 

 でも、うーん……『ネガティ部』ってのは嫌だな。

 名前がダサいというかなんか怪しい。


「やっぱ俺入部は―――」


「お願いします!!」


 オイオイなんなんだこの人は!?

 突然、俺なんかに土下座しだしたぞ!?

 

 ちょっ、ちょっと待ってよ!?

 なんか俺がおちこ先輩を土下座させてるみたいじゃないか!! 

 

 オイオイ、他の部の先輩達や新入生達が俺達の事をジロジロ見ているじゃないか!! うわぁあ、めっちゃ恥ずかしい……マジで恥ずかし過ぎるぞぉ……


「せっ、先輩!! おちこ先輩!! 土下座はやめて下さいよ~!! 俺が土下座をさせてるみたいじゃないですかっ!! そ、そうだ!! か、『仮入部』ってのはどうでしょうか!? 俺まだ『ネガティ部』が何をする部か全然分からないんで、ある程度実習期間みたいなものを設けて頂けませんか? 一応、仮でも5人目にはなるんですよね?」


「はい! 仮でも結構です! とっても嬉しいです! 私にとって人生最高の日です! ありがとうございます! これで私の命も救われます!!」


 それは言い過ぎだろぉ? 俺みたいな『普通』の男が仮入部しただけでさぁ……

 それにやっぱ占いの事を気にしているんだな?

 って、さっきから『普通』ってワードを気にしてるわけじゃないからな。


 それにしてもこのおちこ先輩は、笑うと美人さが増していくよなぁ……

 常に笑っていればとても素敵な女の子なのになぁ……



「それではおちこ先輩、『仮入部』ですけど、どうぞよろしくお願いします。そんで俺の名前は布津野一矢と言います」


「こちらこそよろしくお願いします。先程も申し上げましたが、こ、これから私の事は『美代』って呼んで下さいね? ふ、普通の? ひとやさん??」


「ちっ、違いますっ!! 普通じゃなくて『ふつの』です!! そして下の名前が『ひとや』です。美代部長にとって、『本日の普通ランキング1位』の布津野一矢です!! そこだけはしっかりと覚えてくださいよっ!?」


お読み頂き有難うございました。

面白くて読みやすい作品になるように頑張りますので、これからどうぞよろしくお願いいたします。よろしければブックマークや☆評価、レビュー、感想などを頂けると幸せです。

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