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2.喧嘩相手が、ちょっとヤバかった?

まぁ、ある程度の障害はないとね(*‘ω‘ *)

だけどどう考えても、ケイネス=噛ませ、の構図は仕方ないw









「あ、あの! 本当にありがとうございました!!」



 足蹴にされていた平民出身の女子生徒は、何度も頭を下げる。

 俺はそれを受けて、どこかこそばゆい気持ちになった。



「いいや、良いよ。別にたいしたことしてないし……」

「そんな! 上級生相手に、圧倒してたじゃないですか!!」

「あー、うん。まぁ……?」



 苦笑いしながら、やんわり答える。

 しかし興奮した相手は、さらに語気を強めてそう言うのだった。



「はははは……」



 しかし、困ったことになったぞ。

 俺はそう思いながら、先ほどの上級生のことを思い出すのだった。







「お前ら、恥ずかしくないのか! 相手は女の子一人だぞ!?」

「ん、なんだい? キミは」



 俺が声を上げると、三人いる男子生徒は全員がこっちを見た。

 その中でもリーダー格であろう人物は、冷静を装いつつも、どこか棘のある声でそう返してくる。さすがに上級生なだけあり、体格が一回り大きかった。

 三人ともなれば、威圧感はそれなりにある。



「俺のことはいいんだよ。それよりも、恥ずかしくないのかよ!」



 だが、それに怯む必要はなかった。

 今の俺はもう、あのように無様な死を迎えた俺ではない。

 真っすぐにリーダー格を睨むと、相手もそれなりの反応を示した。



「へぇ……? 見たところ、キミも貴族のようだけど。私のやっていることに、異を唱える、というのだね?」



 目を細め、俺をジッと見る。

 そして――。



「いいだろう、面白い。平民かぶれの貴族ごとき、私の出る幕ではない」

「分かりました。ケイネス様」

「お前も運がなかったな! 歯向かっちゃいけない方に、歯向かった!」



 一つ頷くと、二人の取り巻きに指示を出した。

 手を払っただけなのに、二人の上級生はこちらに敵意をむき出しにする。拳を構えた彼らの周囲には、魔力が漂い始めた。

 どうやら、身体強化魔法の類を使ったらしい。


 それを察知して、俺もまた拳を構えて――。



「悪いけど、俺は――」



 ――グッと、足に力を込めて大地を蹴った。

 そして、一気に二人の上級生への距離を詰めて顎を打ち抜く!


 彼らが倒れ伏すのを確かめて。

 俺は一息ついて、こう告げたのだった。



「その程度じゃ、倒せねぇよ」――と。










 でも、問題はその後で。



「だけど、本当に大丈夫なんですか……?」

「あー、うん。何とかなるでしょ、うん」




 俺は助けた女の子――ベネットと歩きながら、そう答えた。

 大丈夫かどうか、問われれば微妙、というところ。

 何故なら、俺が喧嘩を売ったのは――。



「あんなチンピラが、第四王子だなんて。思うわけねぇだろ……?」




 国王陛下の四男。

 ケイネス・ガリア・コペルギウス、だったのだから。


 俺もまだ十歳になったばかり。

 王族との面識も少なかったので、ちっとも知らなかった。

 しかし今さら、なかったことにはできない。だから、俺は一息ついて――。




「――まぁ、なんとかなるだろ」





 きわめて、楽観的思考をすることにしたのだった。




 


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