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三つの色の恋愛譚  作者: 深水千世
第一部 緋色の瞬間
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第8話 二人でテキーラ・サンライズを

 私と暁さんが、琥珀亭に並んで座っている。私たちが揃って店に入ったとき、尊さんは心底嬉しそうな、ほっとしたような顔で迎えてくれた。そんな彼を見る暁さんの顔がどこか照れていて、それでいてしんみりしてた。


 信吾は就職したい旨をレンタルショップの店長に打ち明けたところ、そのまま正社員に誘われてしまった。相変わらず腕に返却DVDを積んで走り回ってる。


 私はというと、レンタルショップを辞めて、琥珀亭のバーテンダーに専念している。真輝さんが育児を終えるまでって話だけど、出来るなら居続けたいな。『エル ドミンゴ』が嫌なわけではないけど、暁さんとのことで周囲に気を遣わせたくないし、何よりここで繰り広げられる人の営みが好きだから。


 皆、少しずつ移り変わって行く。こうして二人並んでカウンターに座りながら、私はしみじみ思った。


 彼がお気に入りの『テキーラ・サンライズ』を飲んでいる。朝日を模したカクテルはどんどん減っていき、最後に真っ赤なグレナデン・シロップが彼の口に到達する。


 その赤いシロップは私。やっと会えた甘い蜜。


 私はレッド・スパークルを指で小突いた。


 私はグレナデン・シロップ。そして、レッド・スパークルの女。絶え間なく閃光を走らせて、彼を染める。


 ねぇ、知ってる? 太陽の寿命は五十億年あるんだって。私の朝日はきっと、死ぬまで二人を照らしてる。最後のときまで、キスをしよう。あの日のように。朝日が昇る限り。

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