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はめられて強制退学をくらった俺 ~迷い込んだ(地獄の)裏世界で魔物を倒しまくったら、表世界で最強魔導士になっていました~  作者: せんぽー
第2章 兄妹編

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第27話 兄妹ゲンカの領域

 数日前のこと。ドラゴン倒しに行くちょっと前の話だ。

 俺はいつものようにアスカの研究室に足を運んでいた。

 

 「今日は棚の方を掃除してくれる?」

 「おう」


 最近の俺は完全にアスカの雑用。放課後特にやることもないので、別にいいのだが。

 アスカの研究室には薬品もあり、棚に保管されていた。


 様々な色のビンが置かれた棚である物を見つけ、それを手に取る。コップサイズの茶色い瓶。その中には液体が入っているようだった。


 ビンの側面をくるりと回し、貼られていたラベルを目にする。そこには聞いたことのある名前が書かれていた。


 「なぁ…………アスカ、これなんだ?」


 離れたところで作業をしていたアスカはこちらにやってくると、高くて見えないのか背伸びをする。俺が見えるよう親切に(・・・)腰をかがめてやると、アスカに肩をパチンと叩かれ、睨まれた。


 俺、別に身長のことは何も言ってないんだが。バカにはしていないんだが。


 「これは————————」


 そのものについて俺はアスカから説明を受ける。自分ではきっと気づいていなかっただろうが、ぐわっと目を見開いたはずだ。

 そんな俺の様子に訝しげに思ったのか、アスカが問いかけてくる。


 「これがどうかしたの?」

 「…………これを作った時の資料とかあるか?」

 「ええ。全部のこの薬品のレシピは残してある。こっちに来て」


 そのままアスカについていく。物置とは別の場所にある書庫へと向かった。そこには大量の本に加えて、自作であろうタブレット端末と印刷機が1つの机に置かれてあった。


 アスカはタブレットを手に取り、慣れた手つきでポチポチと押していく。すると、印刷機がブーと音を鳴らし、1枚の紙が出てきた。


 「はい、これよ」

 「…………」

 

 手渡された1枚。

 俺はその紙を思わず握り、紙にしわが入る。

 アスカは俺の考えを悟ったのか、彼女は申し訳なさそうな顔を浮かべていた。


 「あんたの退学って、あたしの…………」

 「お前のせいじゃない」


 俺がケンカやすれ違いだと思っていたものはもう兄妹ゲンカの領域にはなかった。

 メミは何を使ってでも何を利用してでも俺を追い出して貶めたいのだろう。


 ————————言いたいことがあるのなら、はっきりと言えよ。


 今の俺ははっきり言うぞ、メミ。


 時は戻ってダンジョンに行った次の日の放課後。

 徐々にオレンジに染まっていく空の下、ふぅーと息をつく。

 俺は広い広い運動場の中央で立っていた。向かいには彼女が立っている。


 周囲には多数のギャラリー。前科のある俺がまた女の子にいやらしいことをすると考えている人が多いようだ。なんか男子が多いもん。

 といっても、目の前にいるのは妹なんだがな。


 「お兄様、こんなところでお呼びとは何のご用でしょうか。私も用というものがあって忙しいのですが」

 「メミに少し聞きたいことがあってな」


 俺は目配せをしリコリスに合図を送る。すると、リコリスは草むらに隠れさせていたリナを連れてきた。彼女は先日と変わらずどこか不服そうにしている。


 メミからの刺客であったリナはアスカの実験室で捕えていた。生徒会のやつらと接触し、逃げられでもすれば厄介だと踏んだからだ。


 「この女が誰か分かるか?」


 メミの瞳の奥には一瞬動揺が見えたが、彼女はすぐに冷静さを取り戻す。


 「どなたか知りません」

 

 しらばっくれる気か。


 「俺はコイツに襲われたが、いろいろあって捕らえることができた。その時コイツが吐いたんだ、お前の指示で動いたってな」

 「それは……お兄様がでっち上げた話ではないのですか? 信憑性がありません」

 「この女は生徒会室でお前と話したとも言っている」


 証拠なんて魔法を使って探せばいくらでも出てくる。たとえ、メミが魔法を使って証拠を隠滅していても、今の俺にはなんともない。


 制御はできないにしても、俺とメミのレベルはまるっきり異なるのだから。

 

 「お兄様、何を言いたいのですか? 私には先ほどから遠回しに尋ねているようにしか聞こえませんが」

 「じゃあ、これなら俺の尋ねたいことが分かるか?」


 手に持っていたものを広げ、メミに見せる。


 「お前はなぜここまでして、俺を貶めようなんて考えるんだ?」


 俺が提示したのは先日印刷したもらった紙。

 紙の上部には『特定記憶抹消薬』という文字があり、その下には薬のレシピが書かれていた。

 そして、右下には直筆のメミとアスカの名前があった。

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