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始まりの街 01

異世界転生ものの予定ですが、その要素が出てくるのはしばらく先になります。

ここはフェリア王国にあるクーリアの街。王都にほど近いこの街は常に人や物で賑わっている。

馬車に大小様々な荷物を積んだ行商人が行き交う大通りに、色とりどりの果物や野菜を売る市場。そこでは男女関係なく張りのある声を響かせて物と金のやり取りをしている。子供達は元気に走り回り、また親の手伝いをしては溢れんばかりの笑顔を見せている。


「今日はクリスちゃんがお使い当番かい?」


市場で野菜売りの女が、まだ10歳にも満たない子供に声を掛けながら、人参やじゃがいもなどの野菜を渡していく。

子供はその野菜を、使い古された麻袋に入れた。数をかぞえて間違いがないことを確認すると、野菜売りの女にお金を手渡す。


「人参8本、ジャガイモ15個、玉ねぎ15玉、キャベツ3玉で合わせて19.5ペールですね。」


笑顔を向けられた女は、驚きながらも笑顔で応える。


「相変わらずクリスちゃんは計算が早いね!

 頑張っているご褒美に、0.5ペールはおまけしておくね。」


そうして、5枚の石貨を子供の手に残して残りのお金を受け取った。

子供は一瞬目を丸くしたがその好意を笑顔で受け取りありがとうと感謝の言葉を告げた。


「女神の加護があらんことを」


互いに告げたその言葉は、この国での挨拶である。

立ち去る子供は野菜の入った麻袋を腕いっぱいに抱えて、少しバランスが悪そうな歩き方をしている。女は、その様子を慈愛の満ちた瞳で見送った。


「あんなに立派で賢い子供を、なんで捨てちまったのかねぇ。

 …考えても仕方がない、さっ!仕事仕事!」


クリスと呼ばれた子供はこの街にある教会に保護された孤児である。おそらく2歳だと思われる頃、朝方のまだ開いていない教会の入り口に一人で座っていた。

ある程度の言葉は喋れるが、なぜここにいたのか、親はどうしたのかなどは答えられず、さらには自分の名前を名乗らないことから、当時の司祭が「クリスティーネ」と名付けた。それ以来教会に保護され、街の皆に見守られながら育っている。

お読み頂きありがとうございます。

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