リオネッス村
岩山と砂漠の続く荒野を、ヨウら四人が馬に乗って走っている。やがて地平線の遠くに町の城壁が見えてきた。
「リオネッス村だ」
「地図で見るより遠かったな」
リオネッス村の門の前で、四人は馬の歩みを緩めた。門は開け放たれ、門番の姿がない。
「なんか変じゃないか?」
ヨウの言葉にエリヤも頷いた。
「妙に静かだ」
馬を降り、四人が門を入ると、そこには廃墟となった町があった。家々は焼け落ち、畑や道路には瓦礫が散乱し、人々の焼けこげた死体が転がっている。
「うっ」
その光景に四人は絶句した。
「こりゃひどい」
四人は辺りを見回しながら歩いた。足下の地面には人間の黒こげの死体があり、よく見るとその下に赤ん坊らしき死体がある。
「こんな子供まで」
シードは口に手をやった。
「私の生まれた町も、こんな風に魔物に滅ぼされたわ」
リュウナは涙をこらえていた。
ヨウはリュウナの頭に軽く手の平で抱いた。
四人は無言のまま瓦礫と死体の中を歩いていった。
「チクショウ。やりたい放題やりやがって」
ヨウがこらえきれず呟いた。
その時、半分倒壊した家の中から物音がした。
「魔物か」
四人が半分倒壊した家の、大きく空いた壁の穴から中を覗くと、部屋の隅に小さな少女が座ってふるえている。
四人は家の中へ入った。
「生き残りだ。大丈夫か、もう心配いらないよ」
シードが手を差し出した瞬間、後ろからエリヤが進み出て、突然剣で少女の首をはねた。シードは驚いてエリヤを見た。
「何するんだ」
「よく見ろよ。魔物の擬態だ」
ヨウ、シード、リュウナが少女のいた場所を見ると、砂となって消えていた。三人は驚きの表情でエリヤを見た。
「この村が滅ぼされたのは昨日今日のことじゃないだろう。子供がひとりで生き延びられるわけがない」
「なんだか、ますます腹が立ってきた。これ以上、魔物をのさばらせてたまるか」
シードはいきり立った。
「ああ。絶対、光の玉を取り戻して、あいつらを皆殺しにしてやる」
ヨウも決意を新たに、村を見つめた。