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トランス・パレント・ストライク ―神宿る左腕ー  作者: のんぐら
そして青年は牙を剥いた
7/13

そして青年は牙を剥いた(7)

 4年が過ぎた。

 エルソン医師のもとで、受付や事務、助手として生活していたリヒターは、20歳になっていた。

 身長は185㎝ほどにまで伸びたが、中性的な顔立ちはいつになっても変わらなかった。左目が潰れているので普段は眼帯をしているし、左足も義足をつけ、左腕はいつも袖がひらひらしていたが、右半分だけでも村の女の子を夢中にさせるだけの魅力があった。

「やぁ、ニコ。今日も森にいくの?」

「うん、今日は木の実を拾いに行くんだ。あとでちょっと分けてあげるね」

「ありがとう」

 特に、この『ニコ』という少女は、よくリヒターになついていた。15歳になったばかりだったが、病弱な妹を病院に何度となく連れてくるうちにリヒターと顔なじみになり、最近ではこうして食べ物を分けてあげるような間柄になっていた。

(妹が出来たみたいだ)

 杖を突きながら、病院までの道のりを歩く。距離にして数十メートルほど。かつては数十分かけて通っていた道のりも、今では5分とかからずに歩けるようになった。

(人間、片脚と片腕と片目が無くてもなんとかやっていけるんだなぁ。いろんな人に助けてもらっているのが身に染みるよ)

 病院の扉を開ける。既にマリサが掃除を始めていた。

「おはようございます、マリサさん」

「リヒターくん、おはよう」

 ニコと変わらないような、村娘のような出で立ち。年齢は不詳だという。ある日エルソンが病院を出ると、玄関先に寝かされていたらしい。以来エルソンが親代わりになり育ててきた。年数はもう覚えていないとごまかされたが、マリサの見た目は18歳と言われればそう見え、50歳と言われればそう見える。

(ニコへのお礼、考えとかないと)

 そういえば昨日、受付をしていたときにクッキーを貰ったな、それをニコにあげよう。そんなことを考えながら、リヒターは受付の席に座る。今日既に予約を取っている人を確認し、来院の時間も確認し…。


 4年間、毎日繰り返されてきた午前中が終わった。

 お昼休みが終わるなり、ニコが飛び込んできた。

「リヒター、これあげる!」

 ニコがどんと机に載せたかごには、満載の木の実。そして森では採れないはずの果物も入っていた。

「これは?」

「お父さんが持ってけって!なんか市場の人にもらったんだって。たくさんあるから、おすそわけ!」

 ニコの両親も当然のように農家であり、穀物の栽培をしている。市場ではその穀物を売るが、農家同士ではそれぞれ自宅で採れた農産物を交換することはままある。

「ありがとう。じゃあ、僕からはこのクッキーをあげるよ」

 そう言ってリヒターは用意しておいた、バスケットにたくさんはいったクッキーを渡そうとする。するとニコは手を挙げてそれを制した。

「それ、誰にもらったやつ?」

「え?えーっと、シビラ…だったかな…」

 するとニコは大きくため息をついた。

「リヒター、そんなんだから彼女できないんだからね!20歳になっても結婚してないの、リヒターくらいのもんだよ!」

 トルア村では18歳が成人とされている。村人の多くは成人と同時に結婚し、子を産み、育てる。農家では家族の働き手が1人でも多く要求される。必ずしも働き手のための結婚ではないが、農村特有の結婚動機であるのは間違いなかった。

「あはは…ニコにそう言われるってことは、僕はまたなにかまずいことをやってしまってるんだな…」

 気まずそうに笑いながら、リヒターはクッキーを1枚食べた。小麦と砂糖の香りがふわりと口の中に広がった。

「わぁ!おいしい!シビラって料理が上手なのね!」

 いつのまにかニコも1枚齧っていた。目が合うとにひひと笑った。屈託のない笑み。とても純粋で、邪気のない笑み。

「リヒター、悪いけど、ちょっと買い物に行ってきてくれないかな。市場まで」

「はい」

 エルソンからの呼びかけ。リヒターは振り返って返事をし正面に向き直ると、ニコが手を振って病院を出て行くところだった。

「じゃあねリヒター!またねー!」

 リヒターが右手を上げて応える。またにっこりと笑ってニコは駆けて行った。


 トルア村の人間として生活をしていくうちに、世界の状況はだいぶ掴めた。50年の時間差やそれに伴う多くの齟齬を、周囲の人々には「記憶の混濁がある」と言い訳をしてごまかしながら、リヒターは4年間を過ごした。「神聖デグラバオル帝国」というものがどういう国家ということもじわじわとわかっていった。

 国家の主権は「主卿」と呼ばれる役職の人間が持つ。現在は「スレニア」という男がその立場に就く。その主卿の元で各政治分野に分かれた大臣が数名いて、それぞれが省のトップとして国家運営をおこなっている。

 その省の中で力があるのは主に国内の政治を司る「内政省」、軍部を動かせる「軍務省」であった。内政省は特に、他の国家を吸収し巨大化していった神聖デグラバオル帝国にとって生命線といえ、ここが一歩間違えるだけで旧国家からの反感を招きかねないからだ。スレニア主卿はこの内政省大臣から主卿に25歳の若さで成り上がった。

 リヒターが村を見ていてわかったことがある。週に1度の市場の日でも、男手は少ないように感じる。店先に立つのは老人や女性が多い。

(男は軍に徴兵されて旧国境の警備や荒地の開拓に回されているらしい)

 村ひとつとっても、その村の経済力や収穫能力を調べあげ、存続ギリギリのラインを保てるように調整しながら働き手を奪っている。このおかげで、村にはもはや経済的余裕はなかった。

(壊れた村の防壁が、直せないまま放置されている。帝国はこの村程度見捨てても痛くもかゆくもないということか)

 村の少しさびしいメインストリートをよたよたと歩く。リヒターは時折石畳の段差に杖を取られながら、しっかり進んでいく。4年間で読めるものは何でも読んだ。病院の受付は忙しさに激しい波があり、今のような収穫期を境に年を跨ぎ雨季がくるまでの数カ月は来院が絶えないが、それ以外の時期はめっきり人が来ない。受付机の前で本や新聞を読みふけった。

(4年間抵抗していた、最後の一国。デリアスト暫定政権が、昨日負けた)

 朝読んだ新聞の第一報でそれを知った。ぼんやりとそんなことを考えながら、市場を目指す。

(デリアスト公国は聞いたことがある。トルア村にも良く行商人が来ていた。穏やかな国だと聞いてた。戦争が国を変えてしまったのか。長期間の戦いが出来る戦闘国家に。それとも、僕が知らないだけで元々そういう国だったのだろうか)

 もはやリヒターには生きる理由がない。故郷も友人もすべて失った。今歩くこのトルア村には、ところどころにシャンテ村の面影が残っている。土地割や道路、広場。村の役所。それでも、リヒターの知る顔はひとりとて現れない。

(まぁ、なるようになるさ)

 戻ったら昼食だ。今日の食事はなんだろう。自然と足は速まった。 


 そんなことを思いながら広場にたどり着くと、なにやら騒がしい。普段からにぎやかな広場ではあるが、怒号が飛び交い悲鳴が響くような喧騒は聞いたことがなかった。

「そこのババァ、知ってんだろ?デリアストのクソスパイのことをよぉ!」

「し、知ってたら教えます!!でも知らないんです、ほんとうなんです!」

 帝国内はかつてそれぞれ独立国だったため、統治上多くの兵士が各地に駐屯地を作り、村や街の警備や治安維持に当たっている。これが問題であり、内政省の管轄下に置かれた軍務省の兵士という2重構造は結果として兵士を権力を持った無法者として野に放ってしまった。

「ほぉ、シラを切るか。そうかそうか。よし」

 中年女性の髪を掴み、帝国の兵士が下卑た笑いをあげている。5人で女性を囲んでいる。足元には血だまりの中に倒れる男性。その女性の夫だった。すでに息は無い。

「旦那によろしくなぁ、ババァ」

 兵士の1人がロングソードを振りかぶった。

「ひぃいい!!」

 両腕で顔を覆い隠す。

 もうだめだ。殺されてしまう。

 ぼんやりとリヒターはそう思った。いや、あとから思えば、この時きっとこういう風に思っていただろうと回想しただけで、実際には何も考えていない。ただ、目の前で起こっている出来事を見ているだけに過ぎなかった。


 ここで止めに入っても自分が殺されるだけだ。


 僕は死にたいわけじゃない。

 死にたいわけがない。

 生きる理由が見当たらないだけ。死にたい理由があるわけじゃない。

 おばさんを見捨てるわけじゃない。助ける力が僕にはないだけだ。

 視線は石畳に向けられている。踏み倒された雑草が石の隙間でひしゃげている。

 

 数十人が集まった広場の中で誰もが屈していた。諦めていた。己には力がないのだからと。

「やめなさい!!なんてことするの!!」

 鋭い声が響いた。若い女子の声だ。

「あ…ニコ…?」

 リヒターの口から零れ落ちる、その子の名前。

 この群衆のなかでたった一人、強い気持ちを持っていたのは、ニコ。姓もない家に生まれ、村の端に放り出されるように与えられた痩せた土地で麦を育てる両親を手伝いながら、誰よりも妹の面倒を見る。村の誰からも好かれ、すれ違えばにっこり元気にあいさつをし、悲しいことがあれば少しだけ泣いて、あとは周りの人間を励ます。

 太陽の子のような、少女ニコだけが。

 理不尽な暴力に立ちあがれた。その底抜けの優しさゆえに。

「知らないって言ってるじゃない!放してあげなさいよ!」

 あらん限りの声を張り上げる。語尾は震えている。ニコの両膝もがたがたと揃わない。

「んだとこのガキ。50年前に滅ぼされたお国の子はこんな風に反抗的な態度をとってもいいとおしえられるんですかねえええ?」

 中年女性を投げ捨てるように放り出し、兵士はニコに歩み寄った。

「俺たち帝国兵士はな。配属地での権限を保障されてるんだよ。三権すべてな。わかるか?俺のこの兵証を出すだけで、俺の言葉は主卿閣下の言葉も同義なんだぜ?その俺に、やめろ、だぁ?」

 ニコを右足が蹴り飛ばした。痩せた体はずいぶん遠くに飛んだ。

「ぐっ…」

 腹を抱えて丸くなるニコ。苦悶の声が歯の間から漏れた。

「んじゃあひとつゲームをしようぜ、ガキ」

 ニコの赤茶の髪を掴んで無理矢理引き起こすと、兵士はニヤリと笑った。

「3分待ってやる。それまでに誰か人間を用意しろ。ここに連れて来い。誰でもいい」

 それだけ言うと、兵士はニコを放した。何が起こるかわからない恐怖に、ニコの顔は歪んでいる。表情筋は極度の緊張でこわばり、ニコの口角を持ち上げたまま固めてしまった。

(あれは、間違いない。殺す。ニコが連れてきた人間を殺すに違いない。ニコの目の前で)

 リヒターは一連の様子を傍観とも呼べる態度で見ていた。そして、途方に暮れるニコを眺めていた。

(…)

 人々はニコから視線を逸らす。誰も死にたくない。選ぶなと言わんばかりにニコを睨む者もいた。あのニコを。かわいい、皆の太陽を。

 兵士たちはその様子を見てゲラゲラと笑っている。

「アイツ漏らすかもな、ハハハ!!」

「ったくテメエはやることがエゲつねえわ、真似できねえ」

「鬼!悪魔!ワハハハハ!!」

 5人の兵士たちはフルプレートメイルに身を包み、帝国軍支給のロングソードを抜いて手に持っている。手持ちぶさたにしているが、すべてよく砥がれた業物だった。その輝きでリヒターは目を細めた。

(そうか)

 この広場には部外者がいる。たった一人だけ、5人の兵士とその支配下の民という構造に囚われない人間がいるではないか。

 そいつが死ねばよいのだ。

(そのための命か)

 なぜ生きているのか、エルソンも不思議がっていたではないか。こんな状態で生きているなんて信じられないと。自分でも思っていた。かつて片腕や片脚がない人間は見たことがある。しかし、両方一度に失った人間の話は聞いたことがない。それはつまり、一度に腕と足を一本ずつ失った人は皆、死んでしまったということだ。

「ニコ」

 狼狽したニコの耳にリヒターの声は届かなかったようだ。

「あと10秒」

 兵士がだるそうに怒鳴った。

「ニコ」

 ニコと目が合った。横に首を振った。「来るな」と言いたいのか?良い子だな、ニコは。

「僕が代表になろう」

 大声を出した。リヒターの前にいた人々が自然とはけ、広場の中心への一本道が出来た。

 誰に聞いたか、昔話を思い出した。英雄トータルの伝説。人々を苦しめていた魔物の王に対して、クライマックスのシーンで「俺が戦おう」と1人名乗り出た。そして見事に魔物の王を倒し、凱旋するのだ。

(まぁ、僕は死んでしまうだろうけどね)

 リヒターは一本道を進む。不思議と落ち着いている。死を目前にして慌てないのは、彼の特性だったのかもしれない。

「小僧。お前が代表ってことか」

「はい」

 兵士はリヒターを2人がかりで掴んだ。

「リヒター!ダメ!やめて!やだ!!」

 ニコの叫びが聞こえる。

「アイツ、お前の彼氏か?」

 兵士が泣き叫ぶニコを見てニヤニヤと笑う。リヒターの前にリーダー格の男が立つ。

「お前も勇気があるなぁ。この状況で余裕じゃねえか」

 リヒターは何も言わなかった。なんと答えても無駄な気がしたからだ。兵士は舌打ちしてから、人々に向けて声を張る。

「この村にデリアストのスパイがいる!匿っている者もいる!今すぐにここにそいつらを連れてこないとこいつらの命はないぞ!ハハハ!」

(嘘だろう。たぶん、こいつらはただの腹いせ。気まぐれでこの村に来たんだ)

 普段は村の外の駐屯地にいる。数十名の兵士の中で、彼らが首脳と呼べる立ち位置に就き、政治を行っている、ことになっていた。

「なぁガキ。あの男、お前の知り合いか?」

 ニコの反応が面白いのか、兵士の1人が質問を繰り返していた。大きく頷くニコ。目から涙があふれ、可愛い顔をぐしゃぐしゃにしていた。

「やだ!やだよリヒター!助けて!誰か!誰か助けて!」

 ニコの悲鳴は空しく響いた。リーダー格の兵士がリヒターに問う。

「自分から立候補したってことは、お前、あのガキの知り合いだろう?妹か?彼女か?」

 剣を突き付けられ、仕方なく答える。

「世話になった家の子です。その子には手を出さないでください」

 やはりしっかりと声が出た。一切震えていない。僕はおかしくなってしまったのか?

「ふうん」

 リーダー格の兵士はそれだけ言うと、剣を振りかぶり、そして。


 そこから先の光景は、リヒターにとって一生の爪痕を残した。

 兵士は剣を投げた。そして、くるりと一度空中で回転しながら飛んで。


「かひゅっ」


 リヒターはすべて見ていた。瞬きひとつすることなく。ロングソードの切っ先が、ニコの胸に突き刺さるのを。剣の重みで肋骨は砕けた。心臓は刃によって破かれ、動きを止めた。

 ニコの口が動いている。


最期の声は兵士たちの爆笑にかき消され、まったく聞こえなかった。


 べしゃりとニコは倒れた。


 空虚な鼓動が1度。呼吸が出来ない。酸素が足りない。脳に血が集まる。

 押さえつけられている両肩が震えている。

 鼓膜が音を拾っているはずだが、その意味が脳に届かない。ただ、兵士の(わら)いがこびりつく。


 肺が空っぽだ。打ち上げられた魚の気持がよくわかる、なんてことを考えていた。こんな時に何を思っているんだ。僕は。


「ああああああああああっ!!」

 声帯が音を発する。意味を持たぬ慟哭。いつのまにか眼帯が落ちていた。

「俺はなぁ、お前のような余裕たっぷりの人間が泣き叫ぶ様が大好きなんだよぉ」

 リーダー格の男が嗤う。

「本当はあのガキが選んできたヤツをガキの前で殺して悲鳴を聞きてえと思っていたが、テメェの余裕ぶっこいた態度が気に入らなくてなぁ。ハハハハ」

 

 こいつは


 なにを


 言っている?


「リヒター……大好き……だよ……」


 今際の際の、ニコの言葉。リヒターにだけはっきりと聞こえた、その言葉。

 なぜ言葉が聞こえたのか、今のリヒターにはわからなかった。

 

「うわっ!」

 リヒターを抑え込んでいた兵士2人が何かに弾かれたように、数メートルの高さに飛ばされた。そのまま広場を囲む建物にぶつかり、柱が身体を貫き絶命した。

「なんだ…?」

 リーダー格の兵士がニコに突き刺さったロングソードを引き抜く間、横で笑っていた2人の兵士は剣を構え、リヒターを睨んでいた。

 そこに()()()()()()()、リヒターの姿があった。

「絶対に」

 左足は青白く光っている。左腕が持ち上げられる。同じ様に青く光っている。手のひらを兵士に向けてると、剣を構えた2人の兵士は首が折れ、その場に崩れ落ちた。

「許さない」

 真っ赤な瞳がリーダー格を睨みつける。リヒターの右目は蒼い。睨み付けているのは左目だった。赤く輝く瞳。

 踏み出す。爆発的な加速でリヒターは兵士に肉薄すると、右拳を顔面に叩きつけた。恐ろしい勢いでリーダーは後方に吹き飛ぶ。

 地面に転がり、ようやく止まったかと思うと、すかさず立ち上がり剣を中段に構えた。隙のない構えだが、動揺からか脳震盪からか、焦点が定まっていない。

「くそったれ!」

 斬りかかる。単純に突撃し、袈裟斬りにロングソードを振り下ろす。リヒターは後方に跳び剣を交わすと、再び右拳を顔面にぶつける。兵士は縦に1回転して地面に潰れ落ちた。

 ロングソードを杖代わりにして立ち上がると、兵士は逃げ出そうとした。しかし、リヒターは落ちていたロングソードを拾い上げ、リーダーを追いかける。

 リヒターは歯を食いしばっている。声が出ない。「待て」の2音も発せない。

 それでも、足は前に。ただ目の前の敵を討ち滅ぼすために。

 ニコのために。

 あの、笑顔で逝ってしまったニコのために。

 左手を持ち上げる。

 

「結果」を「世界」に「出現」させる。過程を飛び越えて、現実に結果のみを顕す。

 その理のことを、人々は「この世ならざる法理」と畏れ、「魔法」と名付けた。

 

 本来、複雑な準備を重ねた上で選ばれた者だけが発動できる魔術を、リヒターは左手から射出した。


 撃ちだされた「結果」は、リヒターの右手のロングソードが兵士の心臓を貫くこと。右手から消えたロングソードは、次の瞬間に兵士の体を貫いた状態で現れた。


「ぐっ…ごはッ!」


 崩れ落ちる兵士。

 

 伝説の魔術師、リヒター・アスベルク。これが最初の戦いだった。

お読みいただいて本当にありがとうございます!

終わるとおもったんですがまだ1章終わりません!もう少し続かせてください!


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