アビとの約束
そして、カレンに自分が転生者と語った日の夜
ノアは家族が寝静まったのを見計らって静かに静かに寝室から出ていった。気づく家族は誰もいなかった。
そう、能力を行使して音もなく去ることが成功したのである。
「よし、こんなもんか、にしても本当に空間移動は便利な能力なこった。誰にもばれずに寝室から脱走できるとはな。5歳にもなったから意識を失うこともないし。多少は体力上がったのかな?まぁ、それにしても今日起こったこと、聞いたことの状況確認が必要だよな。実験もしたいし。よし、それじゃ!」
ここからは思考加速でいくかな
こんな物音の一つもない真夜中に声が聞こえるのもホラーで笑えないし。
そんなことしたら、アルフォード家の七不思議に認定されるのはごめんだからな。
その七不思議も主に俺が原因だったりするが。
閑話休題
でも、ホント今日の出来事は胃がひりひりする思いだったよなー。なにせ俺の一世一代の大告白を沙織の転生者という告白で上書きされてなし崩しにされるかとびくびくしたし。沙織・・・解せぬ。
それに加え、俺もそのことは初耳だったし。65歳の精神をもっと労わってほしいものだよ。
沙織が何歳か分からなかったけど・・・あっ!そうだアビ!
沙織が記憶が曖昧になってきたとか言ってたが、転生先で前世の記憶は最終的には無くなってしまうのだろうか?もしそうならそれはもうそれは転生者とは言えないんじゃないのか?それともう一つ考えられるのは――
沙織が嘘をついている・・・か
考えたくないことだけど。
《はい。まず最初のさおり様についての貴方様の考察はわたくしでも応えかねますね。なんでも、さおり様の発言が真実だとしたらおそらく、さおり様は貴方様の前世の世界線とは違う日本から来たと思われます。一応貴方様の前世の世界からここの世界にの転生者は世界による慧眼がつくことになっているので、11歳で忘れることはないかと思います。
結果、この世界と貴方様の前世の世界がパラレルワールドとして存在するという事は日本という国は生物達の行動、思考、事象の分岐点の数だけ存在します。言わば、無限大に日本が存在するという事。なので、どこの世界から転生したかによって転生の仕様もとい神様も違うので貴方様の世界とこの世界しかわたくしは知覚できませんので、さおり様の前世の世界での転生様式は分かりかねます。
それはもうさおり様も気づいておられるかと。それにより次の虚偽していることに繋がりがみえます。》
沙織はここの世界でもない、ないし自分の前世の世界でもない日本の転生者とみるべき・・・か
それと、能力開花みたいな馬鹿げた能力みたいなのが沙織にも存在するかもしれないよな。
《はい。それも念頭に入れといた方が賢明かと存じます。》
でもま、現状沙織の事をそこまで不審がる必要はない。
転生者でもお姉さまのお友達なんだから、お姉さまの人を見る目はあると俺は信じているからね。
俺にあそこまで言ってくれた姉なんだそうに決まってる。
それだから、沙織に何かしてお姉さまが悲しむところは見たくない。
だから、大丈夫。姉が信じるものを俺も信じるというだけだ。
内心、聞きたいことが山ほどあるし。
《はい。わたくしもそうと思います。》
よし、アビのお墨付きも得たという事なのでこの事はもう終わり!
次はミーシャさんのことだよな・・・
沙織やお姉さまとは違いまるっきり転生とは関係ないからな。他人行儀で言えば部外者というわけだ。そんな人を巻き込んでしまったのだからな。今更になって、責任感を実感している・・・
知ってしまったからには、はい、そうですかで終われるわけないし。
どうしたものか。
・・・
・・・
《はい。貴方様に一つ献策を出すなら、いっその事何か理由をつけて転生に関わった人で共同生活ないし、近くに生活するのが良いかと、それなら何か不測の事態でも対応が出来ると思います。例えば、貴方様やさおり様が生活しておりました日本への留学という名目でなど。それなら、ここの世界の違い違いがよくわかるので一石二鳥となります。》
なるほど、なるほど
俺たちが留学することで共同ないし近くでの生活が可能か、それに俺の日本の知識との整合性の確認もできるしな。いいアイデアとは思う。いいアイデアとは思うが・・・
それを両親や彼女たちの両親は許すだろうか・・・
お金もかかるだろうし、彼女自体の合意も必要となる。
これを成すには茨の道を歩くことになるのは必然だな。
実際問題俺の身体はまだ5歳児なわけだし、絶対に許されないよな。てか、5歳児が留学行きたいとか言ったら色々とヤバいにおいしかしない。
《はい。それをするにあたり幾つかの問題、懸念があります。なので、今しばらくは待つしかないと思います。せめて、彼女たちが高校生、大学生ぐらいになれば留学の話が出てもおかしくないかと。それくらいになれば貴方様も留学可能なお年頃でしょうし。》
その方針が今の中の最善手かな。
明日にでもお姉さまにでも言ってみるか。
《はい。それが良いかと。》
さて、諸々の状況整理は終わったが残すは能力開花の使用問題になる。
現状は使えるようになった、能力もあるが大半は使えない。
アビこれは体力づくりのほかに近道みたいのはないのか?
こんなにあっても、使えないと意味ないし。
《はい。能力開花に近道なしです。これからも地道に精進あるのみです。》
それしかないかーー
ま、これまた一興だ。
チートをはじめから使えるテンプレも俺からしたら味気ないもんな。
獲得できただけよしとするか。
よし!大体は思考できたし少し運動したら、寝ようとするか!
(しかし、今日のアビやけに話してくれたよないつもこんな感じだったっけ?)
そしてノアは小一時間夜中の走り込みの特訓をしてまた空間移動をしてクレアとカレンが寝ている布団にもぐりこんだ。
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翌朝
ノアは昨夜夜更かししたのにもかかわらず一番乗りで目が覚めた。
そして・・・
起きた瞬間ノアは感覚で分かったのである。
「アビがいない・・・」
その声だけがこの寝室にいる家族の耳に入ったと思うがだれ一人気づかないで寝ている中ただそれだけの言葉が部屋に木霊した。
そしてそれから、8年が経とうとしていた。
やっとというか少ないかな?でもこれで幼少編は終わりです。ようやく本編を書いていきます。
これからもお付き合いのほどよろしくお願いいたします。
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