Part36 死の道化師・黒の巨人/フォーメーション
プリシラがその目に捉えていたものを皆に伝える。
〔カエルがでてった――〕
それにエルバが指示する。
〔よし、3カウントでアタック〕
4人の連携システムが一斉に同じ時を刻む。
――3――
全員が息を潜める。
――2――
全員が体内装備を全起動させる。
【 身体機能・強制ブースト 】
【 全筋力出力倍加率:×4.2 】
【 神経系統反応加速係数:×5.2 】
筋力を増加し反応速度を強制的に底上げしているのはブレードテクニックを得意とするエルバ。またの名を『セイス・コルテス‐エルバ』〝6つの斬撃〟の字名を持つ。
【 視覚・聴覚・3次元空間把握中枢系 】
【 強制拡張アクセス 】
【 視力最大感度:5.2相当作動開始 】
【 全筋力出力倍加率:×2.1 】
【 神経系統反応加速係数:×7.8 】
エルバとはまた違った形で筋力増加と神経反応強化を行い、視聴覚と空間把握能力を強制的に拡張開放したのは銃器類のスペシャリストのイサベル。またの名を『ヴィスタ・デ・ディオス‐イザベル』 その意味は〝神の視座〟
【 曲射レーザー攻撃システム 】
【 レーザー回折マイクロマシンミラー 】
【 高速レビテーション展開開始 】
【 全マイクロマシン高速リレーショナル 】
【 同調・動機リンケージ作動開始 】
マリアネラは両腕から微細なマイクロマシンを散布した。それは両手の十指から発射される高出力レーザーを反射・回折させ、狙った位置への狙撃を容易にするものだった。多目標を同時に攻撃するともできた。その踊るがごとくの華麗なる攻撃能力から付けられた異名は『アズール・ロンド‐マリアネラ』 その意味は〝蒼の輪舞曲〟
そしてもう一人――
――1――
プリシラは意識のトリガーを引く。
【 PROGRAM ―OZ― 】
【 超高精度仮想実体ホログラムフィールド 】
【 >作動開始 】
【 >仮想実体フィールド 〝発動〟 】
プリシラが意識のトリガーを作動させれば、周囲一帯に散布・展開しておいた仮想実体再現ナノマシン群体《ELEMENTS‐OZ》が、今、この時限りの仮想実体を伴った立体映像空間を完璧なタイミングで発動させるのである。外部からは突如として目的人物の姿が掻き消えたように見えるだろう。そして攻撃を仕掛けられた当人からすれば何が起きているかなど把握することはほとんど不可能なはずなのだ。その見事なまでの事実隠蔽能力から誰が言うともなく彼女プリシラをこう呼ぶのだ。『アンヘル・ディ・エスペジスモ‐プリシラ』 ――蜃気楼の天使――と。
そして今、ミッションが開始されたのだ。
















