人物紹介?
のような回です。グダグダです。
別大陸に行った経緯から旅している間に起きた出来事、この大陸に帰ってくるまでの話をレアに聞かせる。さすがに二年近くのことを話すとなると、けっこうな時間がかかる。話し終わって水を飲んだ時には、話し始めてから一時間近く経っていた。
「これが俺が行方不明だった理由だ。他にも聞きたいことはあるか?」
「えっと、フェイフェイさんは今どうしてるの?」
「分からない。また会いにはいきたいと思っているんだけど、どうやったらいいか分かんないし...」
「そうなんだ...。また会えるといいね。今度行く時には、私も一緒に行くから!紹介してね!」
笑ってそう言うレア。・・・そうだな。いつか、一緒にあの大陸に行きたいな。
「そんじゃ、次はレアの番だ。何があったのか教えてくれ」
「そんなに面白いことはないよ?リューが行方不明だって知ってから、すぐに親衛隊に入ったし...」
「特別なことじゃなくてもいいんだよ。どんなことがあったのかが、知りたいんだから」
「なら話すけど、あんまり期待しないでね。私が飛び級したのは知ってる?」
「ああ、タマモから聞いた」
「なら、そこらへんの説明は省くね。帝国に行って親衛隊に入ったのは、リューの情報を集めるためって、言わなくても分かるよね。グルドに『親衛隊に入ったら、ある程度自由に諜報部を使っていいぞ』って言われたから」
情報を集めるためなら、最高の手段だろうな。さすがに別大陸の情報までは、調べられなかったんだろうけど。
「親衛隊に入った後は?」
「特に言うようなことはないんだけどな...。訓練三昧の毎日だったし...」
「なら、親衛隊の人について教えてくれ。二年も一緒だったんだから、少しは知ってるだろ?」
「本人を見たほうが早いんじゃない?」
「明日、作戦決行なんだから、そんな暇はないだろ」
「戦いが終わって、リューが無事だった時は?」
「・・・無事だったとしても、作戦が成功したら、グルドはすぐに帰るだろ。帝王もいるんだし、長い間国を空けるわけにはいかないだろうし」
「あー、そうだね。確かにすぐに帰るかも。じゃあ、またリューと離れ離れになっちゃうの?」
涙目で俺を見るレア。一緒に帝国に来てほしいと、顔にありありと表れている。
「そうだな。親父や母さんにも、会ってこなくちゃならないし、しばらくは離れ離れだな。でも、やることやったら、必ずレアに会いに行くよ。約束だ」
「・・・分かった。約束だよ。じゃあ、誰から説明する?私と一緒にいた人だけだよ」
行方知れずだった俺と、また離れ離れになると聞いても、レアは文句も言わないで待ってる、と言ってくれた。俺の言葉を、信用してくれている。・・・嬉しいな。全然変わってないや。レアには、ずっとこのまま人を信じられるままでいてほしい。
「それなら最初は・・・俺を案内した、あのリシシューさん」
「リシシューさんだね。あの人は、親衛隊の参謀役なんだ。頭もすごくいいし、色んなことを知ってるんだよ!でも、何を考えてるか分からないから、ちょっと怖いかな」
リシシューさんは、腹黒眼鏡ってとこか。眼鏡をかけた男って、みんな腹黒にみえるのは、俺だけか?
「次は・・・金髪のドリル女だ」
「彼女は、フェルヘイラ。フェルって呼んでる。帝国の侯爵家の長女なんだって。親衛隊に入った初日に、試合を挑まれたのには驚いたな」
「試合を?強かったか?」
「うーん...。最初は瞬殺出来たんだけど、今はけっこう打ち合えるよ。負けることはないけど、今もどんどん強くなってる」
「ライバルなんだな」
「私はそういうふうには、思ってないんだけどね。向こうが一方的に、そう思ってるみたいだけど」
「悪い気はしないだろ?」
「・・・うん。悪い人ではないし、何かにつけて勝負を挑んでくることさえなければ、もっと仲良くなれると思うんだけどなー...」
金髪ドリルは、強敵と書いて友と読むみたいだな。素直になれないお年頃だもんな。これからも、レアといい友達であってほしいよ。
「そんじゃお次ぎは・・・二枚目の男だな。デカいほうじゃないぞ?」
「ああ、彼ね。自称イケメンのセドリックさん。あの人は好きじゃないな」
自称イケメンって...。普通にかっこいいと思ったんだけど、性格に難ありか?
「そいつのどこが気に入らないんだ?」
「沢山の女の人たちと付き合ってて、その日の気分でとっかえひっかえ遊んでた。全員大切にしてるらしいけど、それでも何かヤダ」
モテモテなんだな。大量の女性と同時に付き合うなんて、大変だと思うけど...。・・・俺も人のことは言えないけどな。
「けど、俺も今四人同時に付き合ってるけど、それはいいのか?」
「桁が違うの!二十とか三十人と同時に付き合ってるんだよ!?四、五人なら気にしないけど、さすがに多すぎるよ!」
二、三十人か...。それは大変そうだ。四人で苦労している俺から見たら、とんでもないことだな。
「嫌いなら、無理に話すことはないよ。最後に、デカいおっさんのことを教えてくれ」
「ごめんね。大きいおじさんは、ヘカイルさん。よくお酒を飲んでるけど、泥酔してるところは見たことがないな。いつもほろ酔いだけどね」
「・・・そんなんで、仕事が出来るのか?」
「ちゃんとしてるよ。いつも遊んで、ギリギリまでやってこない誰かとは違ってね」
ずいぶんと嫌われたもんだな、自称イケメン。何かやらかしたんだな。
「色んな相談も聞いてくれるんだ。リシシューさんが知識なら、ヘカイルさんは経験談だよ」
「亀の甲より年の功か。俺も話を聞いてみようかな」
「何か困ったことでもあるの?私でよかったら、相談して!気の利いたことは言えないけど、誰かに話すだけで楽になるよ!」
「ああ。どうにもならなくなったら、レアにも相談しにいくよ」
これで全員聞いたな。もう日を跨ぐ時間だし、そろそろ寝たほうがいいだらう。
「じゃ、俺は部屋に戻るな。しっかり寝ろよ」
「え!?一緒に寝ないの!?」
「悪いな。今日は駄目だ。俺は、まだしたいことがあるし」
「で、でも!もしリューに何かあったら!」
「大丈夫だって。俺がそう簡単に、死ぬかと思うか?」
「思わないけど...。・・・死なないで、絶対。私、リューがいないと生きていけないから...」
「・・・そんなことない。俺がいなくても、ちゃんとやってこれてたじゃないか」
「それは、リューが帰ってくるって信じてたから!」
「信じるだけで、二年も耐えられるのか?俺だったら無理だな」
「そんなこと...」
「レアも成長したんだ。俺がいなくても生きていける。それはレアが一番分かっているはずだ。目をそらさないで、少しは自分を見てみろ」
「・・・うん。ちゃんと考えてみる」
レアの頭を一撫でして、部屋を出る。早くビアンカと話さなきゃな。