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波乱の予感


依頼の内容は、どこにどういう魔獣が出てきてたか、を調べてくる事だった。範囲は王都から、北東の国境まで。どこで調べてもいいので、とりあえず王都の近くから見ていく事にする。

「私も一緒に行って、いいんですか?ギルドに登録してませんよ」

「いいんじゃない?バレなければ。バレたら怒られるかもしれないけど」

「そうだなー。バレない反則はテクニックってな」

みんなで平原を歩いていく。今日はこの辺りの平原と森を探索していこうか。

しばらく歩いていると、魔獣とエンカウント。久しぶりの魔獣戦。最初のお相手は!?

「「「グルアアアア!!!」」」

「むう。なんで平原に、フォレストウルフがいるんだ。これじゃあ、ただのウルフだぞ」

ウルフどもが飛びかかってくるので、居合いで一体斬り伏せる。左右から噛み付いてくるウルフをジャンプで躱し、飛ぶと同時に二連シュート。二体の頭を撃ち抜いた。

強さは餓狼とほとんど同じだな。雑魚い。

「リューさん、今の魔術って...」

「ああ、初めて見せるんだったな。色々魔力を混ぜたら、新しい魔術が出来たんだよ。魔力消費が大きいのが難点だけど、けっこう強いぞ」

「・・・新しい魔術って、そんな簡単に作れるもんなんですか?」

「作れないわよ。そもそも、今の魔術は古代の失われた魔術を改良したものよ。文献や遺跡から情報を集めて、術式を再現したの。だから魔術はあまり進歩したとはいえないわね」

そうなのか。それは知らなかった。・・・ということは、俺は新しい体系の魔術を開発しちゃったってことか?

「そうね。リューの魔術は魔力をそのまま加工して撃ちだしている。属性はつけられるの?」

「無理だ。属性をつけようとすると、魔力のバランスが崩れる。あれは三属性の魔力を気でくっつけたものだからな。どれかが少しでも大きくなると、すぐに霧散したし」

「三つ以上の魔力を混ぜると、魔力は属性を失う。これは昔から分かっている事だわ」

「ふーん。俺の魔術は、魔力で攻撃している。そりゃ、魔力消費が多いよな」

「よく分かりませんけど、すごいですね、リューさん。新しい魔術を作っちゃうなんて...」

まあ、気を使えばトリプルの人なら出来ると思うけどな。できるまで、集中力が保たせるのさえクリア出来ればな。

「それより、さっさと魔獣を調べちゃうぞ。今日中に王都近辺を洗い尽くす!」

「王都近辺って...。外から見ただけだが、けっこう広いぞ。一日で終わるのか?」

「終わるのかじゃない。終わらせるんだ」

「ようはひたすら頑張るってことですよね...。手分けしませんか?ミズキちゃんは分からないだろうから、私と一緒にいればいいですし」

「そうね。そうしないと、一日じゃ終わらないわ。何かあったら、空に魔術を撃ち上げて」

「おう。それじゃ、気をつけてな」





そうして夕方まで王都付近を探索した。結果、北東の方から魔獣が中心に向かってきていると判明。恐らく、中心を抜けて南西に向かってるんだろう。

そう分かったのは、ビアンカが王国の北東に生息する魔獣を覚えててくれたからだ。ビアンカ曰く「王国の北東辺りは山岳地帯だから、魔獣にも特徴があるのよ」らしい。言われてみれば、なんとなく灰色や茶色い魔獣が多かったな。

ギルドに報告しにいく。こんくらいの情報、もう出てると思うがな。

「あ、リューテシアさん。ギルド長が許可してくれました。これからは、普通に調査依頼を受ける事が出来ますよ」

「そうですか。とりあえず、今日調べた中で分かった事を報告しますね」

魔獣の特徴から、北東に何か異常があるのでは?ということを話す。すると

「それは本当ですか!?本当ならすごい進展ですよ!推測とはいえ、異常の元となっている場所が分かったんですから!」

あれ?すごい喜ばれてる。もしかして、誰も気づいてなかった?

「えっと、誰も報告してなかったんですか?出てくる魔獣の特徴とか...」

「それはありましたけど、こうして特徴ごと報告してくれたのは、あなたたちが初めてです。大体倒した順やうろ覚えな人が多いですし...」

「それはまた...。大変そうですね」

同情するよ...。そんな中から規則性を見つけるなんて、ウォー◯ーを探せの最後のページ並みに難しいじゃないか。

「でも、これでなんとかなりそうです!場所さえ分かれば、王国が人海戦術で捜索するでしょうし」

「そうですか。異常が解決するなら、それにこした事はないですしね。それじゃあ、失礼しますね」

ギルドを出て行く。これで、何が原因か分かるかもな。それがなんなのかは分からないが、もし元老院だったら...。今考えてもしょうがないか。そうなったら、そのときに考えよう。





タマモとは王都の門で分かれた。タマモは寮に住んでるからな。

「じゃあねミズキちゃん。また今度の光の日に会いましょうね」

「ああ、またな。今日は楽しかったぞ」

「リューさん、また会えてすごい嬉しかったです。もういなくならないでくださいね」

「ああ。しばらくは王都にいる予定だよ。古代の気道具なんて、そうそう見つかるもんじゃないしな」

「ふふふ、そうですね。それでは」

チュッ...。

「また光の日に。うふふ、久しぶりのキスですね♪」

軽く唇に口づけされ、したり顔のタマモ。

「そうだな。じゃあな、タマモ」

「はい。ビアンカもね」

「ええ。勉強、頑張りなさいよ」

そうしてタマモは帰っていった。来月、撃退百周年祭があるらしい。昔、ノエルさんがそんなのと言ってたな。そんなことをやるのかな?






<side 王国北東部に潜伏する元老院残党>


「どうやらギルドがここを嗅ぎ付けたようだ。ギルドから騎士団に、ここらが怪しいと情報が入ったらしい」

「ふむ。騎士団がここを探しにくるのを、どれだけ遅らせられる?一ヶ月は保つか?」

「ああ、一月なら保つだろう」

「ならばよい。あの方は、あと一月でお目覚めになる。そうすれば、兵など恐るるにあらず」

「そうじゃな。若造にしてやられここまで追い込まれたが、最後には我らの勝ちじゃ。素晴らしい世界が待っていよう」

「そうだ。あの方さえおられれば、この世界は私たちの物」

「それにしても、一体誰がここに我々がいると気づいたのだ?最新の注意を払っているのだろう?」

「我らに気づいたのではあるまい。あの方に、魔獣どもは敏感に反応する。恐れて逃げ出した先が、王都の方だっただけだ」

「そうじゃな。気づいたのもたまたまじゃろう。気にする事はあるまい」

「・・・そうですね。問題ないでしょう。今はあの方をお目覚めさせるのに集中しましょう」

全員が立ち上がり、右手を高く掲げる。

「全ては、邪神様の為に」

『全ては、邪神様の為に』





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