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懐かしの、あの人Part2


翌日、タマモと一緒に王都を散策する。タマモはもう授業に出なくてもいいらしい。それだけ優秀だってことだな。飛び級も出来たらしいし。

「タマモ!あれはなんなんだ!?」

「あれは魔術具を売ってる露店ですよ。帝国から持ってきたみたいですね」

「魔術具か!この大陸では、その魔術がとても発達しているのだな!私のところでは、気導具なんて滅多に見れなかったぞ!」

「そうなんですか!?気は人間自体の力ですから、加工が難しいんでしょうね。魔力は、鉱石や宝石とかにも宿ってますから」

「ほう。自然に魔力が存在するのか。それなら、これだけ発達するのにも頷けるな」

ミズキとタマモは、会ってすぐに仲良くなった。今も、こうして話しながら手をつないで歩いている。

「お!甘い匂いがするぞ!あそこからだ!」

「あれは、ケーキを焼いているんですね。見にいきましょうか!」

「けーきか!おいしそうだな!」

タマモとミズキが、ケーキ屋に向かって走り出す。忙しいなー。

「あういうの見てると、和むよな。癒されるわー」

「可愛いのは正義だものね。見てるほうも、楽しくなってくるわね」

二人を見ながら、ビアンカと和む。向こうでは、こういうのはあまりなかったからな。眼福眼福。

「・・・それにしても、おかしなことが起こってるんもんだ。魔獣が追いやられるなんてな。昔もあったのか?」

「たまにね。はぐれ竜が住み着いて、その付近の魔獣が逃げてくるってことはあるけれど。今回みたいに、国をまたいで起こるなんて、範囲が広すぎるわ」

「だよな。ということは、原因は他にあるんだと思ってるんだけど...。何があるかな?」

「気象異常・突然変異種の魔獣・毒物が発生した、とかいろいろ考えられるけど、どれもイマイチピンとこないわ。どれも調べれば分かることだもの。一年前から起き始めたらしいし、ギルドや国が調査しているはずだわ。それでも分からないとなると・・・何か大きなものが関わっているのかもね」

「・・・元老院か」

コクリとビアンカが頷く。時期的にも一致するし、可能性は十分ある。ラルカさんやグルドが、ミスるとは思えないけど...。そこは、元老たちが一枚上手だったんだろうな。

「ラルカさんなら、全員殺してでも潰すと思うけど」

「人を他人に偽装するなんて、簡単なことよ。大きな権力を持つところなら、なおさらね。最近は落ちてたらしいけど、かなりの力を持ってるらしいじゃない、元老院って」

「そうだな。元老院の仕業だとしたら、一体何がしたいんだか...。何の得があるんだ?」

「そうねー...。不老不死とかかしら?」

「ありきたりな夢だな。いつまでも生きるなんて、そんないいものじゃないのにな」

「まったくよね。いいことなんて・・・リューと会えたことくらいしか無いわ」

「・・・それは良かった。あの時、途中で引き返さなくて正解だったよ」

嬉しいことを言ってくれるじゃないか。思わず俺の顔まで熱くなったよ。やっぱり可愛いのは正義だな!

それは置いといて、この異常はなんか嫌な感じがする。俺も個人で少し調べてみようかな...。





ミズキをタマモに預けてギルドに向かう。タマモなら問題ないだろうし、ミズキが聞くような話でもないしな。こういうことは、大人がやらなきゃいけない。

ギルドの受付にいた男性に、魔獣の異常について尋ねてみる。いつも男に聞いているのは、どこも男のとこは空いているからだ。断じて男が好きな訳ではない。

「確かに最近、生息外のところに魔獣が現れることがありますね。そういう魔獣に殺される冒険者も増えているので、注意してくださいね」

「いや、そうじゃなくてですね...。原因は分かっているんですか?」

「鋭意調査中ですが、今のところ詳しいことは分かっていません。王国の方でも調べているので、もうしばらくしたら分かると思いますけど」

なるほど。ギルドは当てに出来ないってことだな。これは、もう自分で調べるしかないな。

「その原因を調査する依頼って、ありますか?」

「ええ、ありますよ。でも、あなたたちはEランクでしょう?受けられるのは、Cランクからですよ」

くそ、まじか...。何が出るか分からないんだから、当然ちゃあ当然だけど...。どうしようか..。

打開策を考えてると、ビアンカが前に出る。何か言い訳を考えたのか?やけに自信ありげだったけど...。

「彼はEランクの冒険者だけど実は・・・」

「・・・ええっ!?・・・なんですか!?あの有名な!?」

「そうよ。だから、実力的には問題ないわ」

うん?よく聞こえなかったな。何を言ったんだ?俺を見てたけど...。

「そうですね。それなら、許可ももらえるでしょう。・・・ですからね。いいでしょう。異常調査の依頼を、特別に受注することを許可します」

「悪いわね。後は頼んだわよ」

ビアンカが戻ってくる。依頼を受けることは出来たみたいだけど、何で許可をもらえたんだ?

「一体、何を言ったんだよ。EランクがCランクの依頼を受けるなんて、聞いたこと無いぞ。二つ返事了承してたし」

「大したことは言ってないわよ。そうね・・・良い事はしておくものよ」

「良い事?俺、ギルドに恩でも売ってたか?」

覚えが無いな。何かやったっけ?

「そうねー。覚えてなくても、仕方ないかもね。モブだし」

モブ!?なんだ、気になるぞ!どいつだ?・・・モブだから、思い出せん!

「ビアンカ!一体誰のことだか教えてくれ!気になって眠れそうにない!」

「教えるようなことじゃないわよ。ミズキたちが待っているわよー」

ギルドに戻って話を聞こうとしたら、ビアンカに引っ張られて連れて行かれる。うおおおー!!!気になるぞー!!!





<side ギルドの職員>

ギルド長に先ほどの方のことを報告しにいく。どんな反応をするでしょうね...。

知るド長室の扉をノックしてから、中に入る。ギルド長はここのところ異常の対応で忙しく、ずっと部屋に籠りっぱなしです。

「ああ、あなたですか。どうしました?何かトラブルでも?」

「そうではありません。特例がありまして。こちらで許可したのを、報告しにきたんです」

ギルド長は、今年で28歳。茶色い長髪を大ざっぱにまとめた、知的な男性といった風貌です。元はギルド職員だったのですが、昇格してギルド長になりました。そのためか、もっぱら実務ばっかりやっています。

「特例ですか。一体どういう?」

「Eランクの冒険者なのですが、Cランクの依頼を受ける事を許可しました。これがその冒険者の詳細です」

「Eランクの冒険者がCランクを?その方を殺す気ですか?」

そう言いながらも、私が持って来た書類を受け取る。ギルド長はしばらく書類を読んで

「・・・なるほど。玉潰しですか...。確かに彼なら、Cランクでも問題ありませんね。何の依頼を受けたんですか?」

「最近起きている異常を調べてくるやつです。王都近辺の調査ですね」

「そうですか。いいでしょう、許可します。彼にあったら、ちゃんと伝えておいてくださいね」

許可をもらうことが出来ました。ここでもらえなかったら、どうしようかと思ってましたよ。

「それにしても、リューテシアさんですか...。生きてたんですね。私の仮説は正しかったんでしょうか...」

部屋から出る際に、そんな声が聞こえました。ギルド長とあの人は、知り合いなんでしょうか?



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