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帰って来たリューテシア

新章突入です


「・・・んあ...。着いたのか...?」

目を覚ますと、森の広場に寝ていた。隣には、ビアンカとミズキが寝ている。・・・成功したのか?

とりあえず、ビアンカとミズキを起こす。二人とも、特におかしなところはないようだ。

「ふう...。ここはグリュネの森であってるの?他の森って可能性は?」

「標識を確認して来た。ここはグリュネの森で間違いない」

「そうなのか。良かったな、兄者。早く行かなきゃいけないのだろう?」

「ああ、そうだな。さっさと王都に向かおう。馬がなくても、強化して走れば二日くらいでで着くだろう」

ビアンカとミズキなら、馬車より速く走れる。まあ、演習の時はけっこうゆっくり進んでいったからな。馬だけで行ったら、一日と数時間で着くと思う。

「そうね。私たちは気を併用すれば、長時間走り続けることが出来るしね。あ、でもミズキは魔力は使えないか。どうしましょう?」

「そうだな...。二人で交互にミズキを抱っこすればいいんじゃないか?ミズキは軽いから、大した負担にはならないだろ」

「むう...。魔力か...。その王都というところに着いたら、是非教えてくれ。興味がある」

そうしえ、俺たちは走り出した。レアたちが待っているであろう、王都に向かって。





そうして走り続けること、二日間。道中大したこともなく、俺たちは王都に到着した。ようやく帰って来れた...。城壁が見えたときには、少しウルッときた。色んなものを乗り越えてきたからな。

「ここが王都か...。変わった建物だな。あそこに王様が住んでるのか?」

「そうだな。あれが王様の家だ。ほら、兵士が見張ってるだろ?」

「おお、警備が厳重だな!あそこにも、あそこにもいる!流石は王様だな!」

「はいはい、そんなの毎日見れるでしょ。もう学院に行くの?」

「うーん・・・いや、まずはギルドに行く。どんな扱いになっているか気になる」

二年も行方不明だったんだ。もしかしたら、死んでることになっているかもしれない。

「そうね。レアたちがギルドで、私たちのこと聞いてるかもしれないしね」

「ぎるど?」

「この大陸の、組合みたいなもんだよ」

向こうの大陸に無いような物を説明しながら、俺たちはギルドへと向かった。




「お待たせしました。リューテシア様は、死亡扱いになっております。今、修正しておきました。これで、ちゃんと依頼を受けられるはずです」

「そうですか。ありがとうございました」

受付を後にし、ギルド内のベンチで待っているビアンカたちの元へ戻っていく。

「どうだった?」

「案の定、死んでることになってた。もう修正してもらったから大丈夫だけど...」

「問題は、それをレアたちが知ってるかどうか、ね。知らないならそれでいいんだけど知ってたら・・・学院を辞めて探しにいく、くらいはするわね」

「まあ、知らなかったらそれでいいじゃんか。学院で聞けば分かるし」

「そうね。行ってみましょ」



そうして学院にやってきた。相変わらず無駄に広い敷地。せめて校舎は入り口の近くにしてほしいな。

「ここが学院か...。広いんだな」

「鍛錬場に実験室、森まであるからな」

「森まであるのか。・・・すごいな。兄者はこんな所で勉強してたのか...」

ミズキがキョロキョロ辺りを見渡しながら、歩いていく。昼過ぎだからか、道には人がいないので大丈夫だとは思うが...。転ぶなよ?

校舎に到着し、受付に歩いていく。校外から来た人は、ここで名前と生徒との関係、用事を言わなければいけないんだったな、確か。

「あらー、リューテシア君じゃない!どうしたの?もう卒業したじゃない。あ、卒業式を見に来たの?けど、それもまだ早いわね。それで、何しに来たの?」

怒濤の質問攻めに、少したじろく。どの世界でも、おばさんは変わらないんだな...。

「え、えっと。レアたちに会いに来たんですが...」

「レアちゃんたちに?それは残念だったわね。一年くらい前に、飛び級して卒業したわよ。リュー君が行方不明になったらしいけど...。そこんとこ、どうなの?どこ行ってたの?」

「どうしてそんなに知ってんですか!?ギルドは関係者以外には、個人情報を教えないはずなのに!?」

「そんなに大したことはしてないわよー。食堂のおばちゃんや掃除のおばちゃん、あとギルドのおばちゃんとか色んな人から小耳に挟んだ話を聞いて、そこから推理してそれをまた尋ねてみただけよー。誰でも出来ることでしょ?」

この世界にも、おばちゃんネットワークは構築されているのか...。恐ろしい。あやゆる人脈を使って、情報を集めるからな、この人達は。最強のスパイだぞ、ある意味。問題は、それを拡散することだな。

「そ、それでレアたちはどこに行ったんですか?」

「えっと、確かレアちゃんは帝国、シャネルちゃんは皇国に行ったらしいわ」

帝国と皇国か...。二手に分かれて探そうとしたのか。

「タマモはどうしたんです?どっちかと一緒に行ったんですか?」

「タマモちゃんは、学院に残っているわよ。ちゃんと卒業したいんですって。ここのキャリア、馬鹿には出来ないくらいの影響力を持ってるのよ?あなたたちは飛び級しちゃったけど」

まあ、日本風に言うと、ここは難関国立大学クラスの学院だからなー。日本と違って国がしっかり保証してるから、信用もある。職には絶対に困らないだろう。

「それで、どうして行方不明になっちゃったの?何かあったの?どこに行ってたの!?」

「そ、それはまた今度!卒業式は何時ですか!?」

「一ヶ月後よ!さあ、話を聞かせなさい!一体何が起こったんだい!?」

「失礼します!いろいろ教えて頂いて、ありがとうございましたー!」

これ以上追求される前に、受付から逃げ出す。このままじゃ夜まで拘束される!




ビアンカたちを連れて、逃げること十分。ようやくおばちゃんを撒くことができた。あっさりと引いてくれたのは、仕事中だったからかな。何時までも受付を空けておくわけにはいかないんだろう。休憩中だったらと思うと、ぞっとする。

今は校内を散策中。タマモと会いたいけど、授業中だろうしな。放課後になったら会いに行こう。

しばらく歩いていると、見慣れた場所が見えてきた。鍛錬場だ。

中からは、大きな音が響いてくる。魔術の授業で使ってんのかな。

「懐かしいな。ここで、試合をよくやったな」

「そうね。なんだかんだで無敗だったわね」

「試合形式だったからだよ。冒険者になって、試合と実戦の違いを思い知ったよ」

雰囲気というか殺気というか。まあ、学院にいた時も俺を襲って来た奴らは、みんな殺気立ってたけどな...。最初の方は、かなり怖かったなー。今となっては、良い思い出だ。

「邪魔しちゃ悪いから、入るのはまた今度にしよう」

そうして、俺たちは鍛錬場を後にした。さて、タマモはどこにいるのかな?



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