爆発しろ!
〈side 討人Aと討人Bの会話〉
「いやー、今日は死ぬかと思ったわ。大量の怪に囲まれたんだよ」
「本当か!?よく生きて帰ってこれたな...」
「ああ。俺もあの時は死ぬかと思ったよ。だけどな、ある組に助けられたんだよ。そいつらは、あっという間に怪を殲滅しってったんだ!三十体以上の怪をだぞ!」
「三十体!?どういう怪がいたんだ?」
「武士小鬼だろ。大鬼だろ。あとは豚鬼に血吸蜘蛛もいたな」
「まじかよ...。そいつらを殲滅するなんて、どんな討人だったんだ?」
「えーっと、銀色の髪の男と金色の髪の女。魚のヒレみたいなのを付けた幼女と、変な服を着た黒髪の女がいたな」
「な!そいつらって、今噂になってる奴らだぞ!」
「へー、どんな?」
「って、知らないのかよ!かなり有名だぞ!今、迷宮を破竹の勢いで潜っていて、既に百五十階を突破したらしい。一年でだ」
「一年で百五十階!?今のところ到達している階層は、確か百九十五階までだろ。なんでそんなに急いでるんだ?」
「急いでいるって訳じゃないんじゃないか?敵が弱ければ、それだけ早く進めるだろ」
「そういうものか。よく分からないな」
「まあ、いいじゃないか。助けてもらったんだから」
「そうだな。いつか礼を言わないとな!」
迷宮都市に入り、迷宮に潜ること約一年。未だにフェイさんの試練の品も、転移の気導具も見つかってない。
ここの迷宮は地下にのびている。最奥には、まだ到達していない。一体どれだけ深いんだか。
なんでも、迷宮というのは一つの生き物のようなのらしい。一番奥には心臓に当たる核があるらしい。迷宮内にいる怪は白血球のようなものなのかな。その核は高値で売れるらしく、多くの討人がこれを狙っている。
一年間迷宮に潜り続けた結果、かなり名が売れてしまった。俺たちの迷宮踏破速度が、かなり速かったらしい。といっても、最初は雑魚しか出て来なかったから、ゆっくり進むほうが難しい。
「兄者、どうしたんだ?疲れたか?」
「いや、大丈夫。早く宿に戻ろう」
ミズキは少し背が伸びて、髪もセミロングになった。可愛い。
「お腹空いたネー。晩ご飯はなにかナー」
フェイさんはあまり変わりない。いつも通り、明るくて忙しい人だ。長いサイドテールがピコピコ動いて可愛い。
「本当にここの迷宮にあるのかしらね。全然、見つからないじゃない」
ビアンカも変わりなし。もともと身長と髪は伸びないしな。相変わらず可愛い。
「まだ最奥まで行ってないじゃんか。というか、一番奥にあるだろ。普通」
「そうなノ!?この迷宮、何階まであるか分からないんでしょ?」
「そうだな...。それが分かれば、多少はやる気もでるんだがな。探知出来ないのか?」
「うーん。やったことはないけど、いけるかな?迷宮って気を反射する?」
「どうかしら?魔力は反射されるけどね」
そんなとりとめのないことを話しながら、宿に戻っていった。
「そね、りゅー君。二人っきりで話があるんだけド...」
夕食の後、フェイさんに呼び出される。なんだろう、話って。
「どうしたの、フェイ。リューと二人でどこ行くの?」
「エ!?えーっと、ちょっとそこまデ?」
「なんで疑問系なんだ。まさかとは思うが、兄者に何かする気じゃ...!」
「へ、変なことはしないヨ!ちょっと話があるだけデ...」
「ふーん。早く済ませてね。明日も早いんだから」
ビアンカとミズキが部屋に戻っていく。それじゃあ、さっさと済ませましょうか。
「それで、話したいことって何ですか?」
「えっとネ?その、えーっト...」
宿の裏に回って、フェイさんと話をしようとしたのだが。なんかもじもじして、しゃべろうとしないフェイさん。どうしたんだ?
「フェイさん?どうしたんですか?早く話してくださいよ」
「そ、そんなこと言ったっテー...。緊張してるんダヨ!こんなこと言うの、初めてなんだかラ!」
急に怒りだすフェイさん。緊張、初めて...。・・・!まさか!
「え!?ちょ、マジですか!?」
「・・・ウン」
顔を真っ赤に染めて、俯きながら答えれるフェイさん。おいおい、本当かよ...。いつか来るとは思ってたが、まさか今とは...。もう少し後だと思ってたのに。
「・・・りゅー君、気づいてたノ?」
「そりゃー、フェイさんですし。前から予想はしていましたけど」
「そ、そうだったんダ。そんなに分かりやすかったかナ?」
「分かりやすいっていうより、だだ漏れですよ。ビアンカ達も分かっていると思いますけど...」
「エエ!?そんなに分かりやすイ!?ウウー、恥ずかしイ」
「まったくですよ。ちゃんと謝ってくださいね」
「エ?・・・そうだネ。ビアンカも好きなんだもんネ...」
はあ。覚悟はしていたが、言われてみると結構ショックだな。黒いスーツを着た強面のお兄さんとか、出て来ないよな?
「それじゃあ、今から行きますか。一体いくら借りたんですか?」
「エ?私、何も借りてないヨ?・・・りゅー君、一体私が何を話してたか言ってみテ」
「そりゃあ賭けとかで有り金全部すって、巻き返そうとお金を借りたけどそれもすってしまいお金を返せないから、俺に立て替えて欲しいんじゃないんですか?」
「・・・ハイ?」
本当にこの人は...。賭けるのは自由だけど、ちゃんと勝ってほしいよ。あ、でも賭けってホストしか勝てないようになってるんだっけ。・・・もう賭けなんてしない。させない。
「それで?いくら借りたんですか?俺が一人で払える額だといいけど...」
「・・・りゅー君のバカー!!!」
「ヒデブ!」
フェイさんに左アッパーカットを顎に決められる。見事脳を揺らし、俺の意識を撃沈させる。
「はあ、はあ。ウワ!りゅー君、大丈夫!?ワー!!!泡吹き出しター!!りゅー君、気をしっかリー!」
そんなフェイさんの悲鳴を聞きながら、俺の意識は完全に遮断された。お、黄金の左...。
顎に痛みを感じながら、目を覚ます。周りを見た限り、宿の裏にいるようだ。
柔っこいものが頭の下にしかれている。むにむに、すべすべだ。
「あ、りゅー君。目覚めタ?」
「フェイさん?」
上から声をかけられる。どうやら、俺は今膝枕をされているようだ。
「あの、どうして俺、倒れてたんですか?」
「エ!?えーっと...。そう!あの石が急に飛んできて、りゅー君の顎に命中したんダヨ!びっくりしたナー」
フェイさんがそばに落ちていた石を指差し、身振り手振りを交えながら俺に説明する。まったく。どこのどいつがそんなことを。
「・・・そういえば、話って何ですか?」
「アー、それネ。うーん・・・りゅー君、ちょっと目を瞑ってて」
「?はい」
言われた通り、目を瞑る。なんでこんなことするのかなーと思っていると
ちゅっ...。
唇に柔らかい感触。しっとりと濡れていて、少し甘い味...。
「ん...。ちゅ。りゅー君...」
「って、フェイさ。むぐぅ!」
無理矢理口で口を塞がれる。フェイさん!?
「うん...。好き、大好きりゅー君...!」
何度も何度も繰り返し口を吸われる。軽く唇をつけるものだが、必死に唇を貪るフェイさんの姿と合わせて、欲情をそそられる。
「フェイさん...!」
「うん!?ん、ちゅう...。りゅー君...!」
俺も負けじと、フェイさんの唇を吸い返す。闇の中、俺たちがキスしあう音だけが響いていた。
自分で書いてて何ですが...。爆発して欲しいです。このリア充め!