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閑話2 帝国の親衛隊


〈side 帝国の親衛隊兵士〉

こんにちは、おはようございます。僕はしがない帝国の親衛隊員です。あ、帝国の軍について知ってますか?知りませんよね。今から説明します。

帝国には騎士団に加えて、帝都と王族を守る親衛隊という部隊が存在します。王国では近衛隊、皇国では神聖隊と呼ばれていますね。

親衛隊は、騎士団や訓練学校から成績優秀者のみを選出したエリート部隊。家柄は関係なく、実力のみが審査の基準です。

そんな部隊なので、なかなか癖の強い人が集まってます。縦ドリルとや酒乱、自称イケメンとか...。いろいろです。

そんな親衛隊なのですが、急に一人増員されるみたいなのです。こんな時期に、珍しいです。

隊長のラルカさんが、その方と一緒にやってきました。

「この子が新しく入隊するレアよ」

「初めまして、レア・ライジルトです。これからよろしくお願いします」

そう挨拶したのは、竜人族らしき少女でした。見た感じ、二十歳にはなっていません。ライジルト...。もしかして、あのライジルト公爵の娘さんでしょうか?

「彼女は、王立学院を飛び級で卒業した逸材よ。あなた達にも、遅れをとることはないと思うわ」

飛び級ですか。ここ数十年でていませんでしたね。確かグルド王子がその学院に留学していましたが、そこで引き抜いてきたんでしょう。王子が目をつけるくらいですから、かなり強いんでしょうね。

「あなた、ライジルトと言ったかしら?あのライジルト公爵の娘なの?」

「・・・そうらしい。私もよく知らない」

縦ロールがレアさんに突っ掛かる。数年前に元老院に羽無しの子がいる、と地方に飛ばされてましたね。羽無しの子は、結局見つからなかったみたいですけど...。本当にいたんですね。羽がありませんし。

「知らない?そんなんでは、とても信用出来ませんわ。飛び級したと隊長は言ってますが、本当なんですの?」

「何が言いたいんですか?」

「私と勝負しなさい。あなたが信用に値するか、私が見極めて差し上げますわ!」

相変わらずめんどくさい人ですね。レアさんも絡まれて大変ですね。飛び火したら厄介なので、フォローはしませんけど。





その後勝負をした結果、レアさんの圧勝でした。鍛錬場に着き勝負が開始されると、次の瞬間縦ロールが吹き飛びそのまま壁に激突、気絶して医務室に運ばれていきました。

凄いですねー。あれでも彼女は、訓練学校では負け無しだったんですけどね。

「お強いんですね。どなたに武術を教わったんですか?」

「えっと、あなたは?」

「おっと、失礼しました。私は、親衛隊で参謀を務めています。名前は・・・まあ後で隊長にでも聞いてください」

これだけの子を育てられるのなら、かなり強いに違いない。私たち側に引き込んでおく。引き込めないにしても、接点を持っておく。いずれ役に立つ日がくるかもしれませんしね。

「私が武術を教わったのは、ガランド伯爵とその息子です。小さい頃に引き取られて、一緒に育ったんです」

「ガランド伯爵...。確か、第三次魔獣襲来で武功をたて、伯爵家になったんでしたね。現当主も、かなりお強いと聞きますし。息子さんのことは、聞いたことがありませんが...」

「あまり目立ちたくないって言ってた。地位やお金にも、興味はないって」

「そうですか。お名前はなんと言うんですか?」

「リューテシア。リューと会いたいの?」

「まあ、会えるなら会ってみたいですね。レアさんをこれだけ強く出来るんですから、リューテシアさんはもっとお強いんでしょう」

「うん、凄い強い。そしてかっこ良くて優しい」

「そ、そうですか...」

恋をしている人の目ですね...。まだ十代ですから、当然といえば当然なんですけどね。

「でも、会えないよ。リューは今行方不明だから。二ヶ月間、生死不明って言われた」

「ということは、リューさんはギルドに所属している冒険者なんですか...。二ヶ月生死不明だと、死亡扱いになりますよね。リューテシアさんは、お亡くなりに...」

「なってない。絶対に死んでない。リューはどこかに転移しただけ」

「どういうことですか?転移って」

「ギルドの職員さんに聞いたんだけど...」

古代の魔術具で転移うんぬんの説明を受ける。・・・可能性としては低いですが、なくはない話ですね。

「それでは、レアさんが親衛隊に入ったのは」

「リューを探すため。ここにくれば、ある程度自由に諜報員を使えるって聞いたから」

たしかに、諜報員についでに調べてもらうことは出来ますけど。わざわざそのためだけに?

「あなたにとってはそうかもしれない。でも、私にとってリューはそれだけの価値があるの。また会いたいの...」

「そうですか...。それなら、私も探すのをお手伝いいたしましょう。一人より二人のほうが、見つかると思いますよ」

ここでレアさんやリューテシアさんに恩を売っておくのも、悪くありませんね。それを抜きにしても、会ってみたいですし。

それでは、さっそく探させましょうか。善は急げ、です。




〈side 縦ロール〉

なんなんですの、あの娘は!この私を誰だと思ってますの!?

あのレアという小娘と勝負していたはずが、気がついたら医務室で寝ていた。医師に聞いたところ、私は吹き飛ばされて気絶していたらしい。

何かの間違いですわ!この私が!帝国中から強者が集まる訓練学校で、ただの一度も負けなかったこの私が!あんなポッとでの小娘に一撃で倒されるなんて!あれはまぐれ!次やったら、私の圧勝ですわ!

もう一度勝負を挑みに、小娘を探す。いた!あそこで、腹黒とくっちゃべってますわ!

「そこのこ...」

「なってない。絶対に死んでない。リューはどこかに転移しただけ」

急に小娘が声を荒げる。・・・様子が変ですわね。少し話を聞きましょう。


物陰に隠れて話を聞いたところ、どうやらあの小娘の想い人がどこかに転移してしまい、小娘はそいつを探すために親衛隊に入ったようなのです。小娘の様子から察するに、相当大切な人そうですわね。・・・調べてみましょうか。あの小娘が惚れた男。気になりますわね。



諜報部に資料を借りてくる。リューテシア・ガランド。ジェイル・ガランドとファイーナ・ガランドの息子であり、ガランド家の次男。

王立学院の入学試験で筆記試験では満点をたたき出し、実戦試験では十歳にして炎槍を複数制御した。

武術にも精通しており、身体強化魔術を駆使した戦闘術は、並の兵士では時間稼ぎすら難しいと思われる。

16歳で飛び級で学院を卒業し、以後冒険者として活動。吸血鬼を従魔として所有している。その個体も通常とは異なるようで、魔力が通常の吸血鬼の倍はある。注意されたし。

現在二ヶ月間の生死不明により、死亡扱いとなっている。


・・・なんですのこいつ。とんでもない化け物ですわ。十歳で炎槍?従魔の吸血鬼は、普通の倍の魔力?訳分かりませんわ。

どんな顔なんでしょうか?これで不細工だったら笑えますわね。・・・調べてもらいましょうか。生きているかは分かりませんが、調べてみれば分かること。うちの諜報部は優秀ですからね!


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