世界、不思議、発見
それから一週間と少し、砂漠の下を魔力でスキャンしながら探索した。めがっさ疲れました...。
そして今日。ついに
「・・・うん?」
「どうしたのリュー。変な声だして」
「かなり大きな物が、この下にあるみたいなんだ。怪としては、大きすぎるような...」
「それって、遺跡なんじゃナイ!?やっと見つかったんダー!?」
遺跡、と断定していいのかな?かなり大きい。縦横100m以上はある。これが怪だったら・・・怖いな。
「これで遺跡らしきものはあると、確認出来たな。次の問題は、どうやってそこまで行くかだ」
「そうなんだよなー。どうしようか...」
地下10mくらいに、天辺がある。そこまで、どうやって掘り進むか。ドリルもないし、どうしようかな。
「フェイの仙術で、砂をどけることは出来ないの?」
「ムリムリ!そんなの師匠くらいじゃないと、出来ないヨ!」
「そうだなー...。・・・一応、案はある。今日はもう帰って休もう。夕食の時に話す」
「それで?どうやって、地面に埋まっている遺跡に、どうやって行くの?」
宿に帰り、夕食を食べ終わった後。食後のお茶を飲みながら、ビアンカが切り出す。
「いけるかどうかは確証はないけど...。それでも、いいか?」
「全然いいヨ!私たちには、何の案もないんダカラ」
「そう言ってもらえると有り難いです。それで、その案なんですけど」
俺の案を、みんなに説明する。いけるかどうかは分からないけど、やるだけの価値はあると思う。
「・・・リューらしい案ね。私はやってみたいけど」
「私もいいぞ。兄者の案なら、成功しそうだ」
「私は何もしないんダネ...。それなら私が反対する理由がナイヨ」
「フェイさんにも、役割はありますよ。それじゃあ明日はこの案でいきましょう。今日はしっかり寝てくださいね」
そして翌日。俺たちは昨日と同じところにいた。
「それでは、始めましょうか。フェイさん、警戒と結界の維持は任せます」
「任せといテ!砂陣!」
砂のドームが俺たちを囲う。日光が砂を透けて、中は薄らと明るい。それでは、いきましょうか。
「ミズキ、いくぞ。ビアンカ、準備しておいて」
「リョウカイシタ」
「任せなさい」
ミズキには、半竜の姿に戻ってもらっている。これからやることに、半竜ミズキの力が必要だ。
ミズキが口を大きく開き、気を溜め始める。密度がどんどん高まっていき、激しく発光する。
俺とビアンカは、魔術の準備を始める。俺は火、ビアンカは氷の魔術だ。
「それじゃあ、いくぞ!ミズキ、合わせろ!レーヴァテイン!」
「ガアアア!」
ミズキが地面に向けてブレスを放つと共に、俺もレーヴァテインをぶっ放す。俺の魔術とミズキのブレスが混ざりあい、地面にぶつかると
ズドオオオオン!!!
地面を溶かしながら、大穴を空ける。魔術+ブレスはどんどん地中に進んでいく。
「ビアンカ!凍らせろ!」
「ええ!フロスト!」
ビアンカが氷結の魔術を唱える。青い魔力が放出され、穴の中を通っていく。溶けた砂が冷やされ固まり、穴が残る。ふう、これで大丈夫だな。
俺が考えた方法とは、魔術で地面に穴を空け遺跡まで下りていくという方法だ。レーヴァテインで砂は溶けるから、ビアンカの魔術で冷やしてもらえば固めて、出入り口を確保出来る。
「フェイさん。終わりましたよ」
「ドレドレー?うわー、下が見えなイ。どれだけ深いノ?」
「下りてみないと分からんな。かなり深いとは思うが」
幼女に戻ったミズキが、フェイさんの横から穴を覗く。だいたい分かってるんですけどねー。言わないけど。
「それでは下りていきましょうか。全員、俺に掴まって」
ビアンカが右腕、フェイさんが左腕、ミズキが背中におぶさる。おい...。
「どうしたの?早く行きましょ」
服を握るくらいで良かったんだけど...。まあいいか。フライを使って、穴に入る。
「兄者は空も飛べるのか!」
「りゅー君に、出来ないことってアルノ?何でも出来そうダケド...」
「そんなことないですよ。俺にだって、出来ないことはあります。だから、こうして気導具を探しているんです。フェイさん、穴を塞いでください。見ただけでは、分からないように」
「リョーカイ。ソレ!」
フェイさんが手を振ると、砂が集まって穴の入り口を塞ぐ。まだうっすら光は入ってきてるけど、下りていったら真っ暗だろう。
松明を取り出して、火をつける。ぼうっと揺らめく明かりが、俺たちを照らす。
ゆっくりと穴の中を下りていく。イメージは、◯ヲル君が、二号機でセントラルドグマに下りていく感じだ。
十分程で底が見えてきた。穴は遺跡のある空間に到達しており、そこから光が入ってきている。
穴を出て、床に着地する。これは・・・すごいな。
「なんなのこれ...。こんな空間が、砂漠の下にあるなんて...」
ビアンカも、信じられないといった顔で、辺りを見回している。それほど、規格外の空間だった。
気で出来たドーム。一言で表すと、そんな感じだ。透明なドームが、砂から遺跡を保護している。遺跡から明かりがもれており、中に発光体があると思われる。
「すごいな...。これは神樹森のやつと、同じような物なのか?」
「あれより、よっぽど凄いわよ。砂の重量を支えているし、怪が攻撃をしてくるかもしれないのよ?馬鹿みたいな耐久力よ」
「しかも、気は補充していないんだろ?どうやってこんなに大きな結界を維持する力を、調達しているんだ...」
「ウーン・・・多分、自然の気の流れから少し拝借しているんだと思ウ。気は世界を循環しているカラネ。ここは、気の流れが集まっている所なんじゃないカナ?」
なるほど。龍脈とかスポットとか、そんなものか。けっこうヤバめな技術だぞ、これ。俺の大陸に持っていったら、国の間のパワーバランスが崩れる。
「このままここで突っ立ってても仕方ないんで、とりあえずあの遺跡に行ってみましょう。フェイさんが探している物があるとしたら、あそこでしょうし」
「ソウダネ!それじゃあ、冒険開始!」
楽しそうに遺跡に向かって歩いていくフェイさんの背中を追って、俺たちは遺跡に入っていった。
「これは想定外ナンダヨ...」
「まあ、予想はしてましたけど。ここには、あの駄馬みたいな奴はいないんですね」
遺跡に入って数分。俺たちは、入り口から中の様子を窺っていた。
何故そんなことしているかというと
「ピーピーピー」
なんかSF映画に出てきそうな機械が、入り口から入ってすぐの広場を巡回しているからだ。大きな単眼がついている。なんであんなんがここに...。古代のオーバーテクノロジーっていうやつか?
「見つかったら、応援がくるよなー...」
「そうなの?それじゃあ、どうするの?バレないように壊す?」
「そうするしかないかな。数が多くて、見つからないようにするのは無理そうだ」
センサーとかも搭載されてるのか?・・・反応するとしたら、音と魔力&気だろうな。出来るだけ見つからないように。見つかったら、他の機体にバレないように壊す。こんな方針でいいかな。
そうして、俺たちは遺跡に入っていった。中には、どんな物があるのかな?