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閑話 それぞれの話

短いですが、投稿します。


〈side ファイーナ〉

「フゥー、フゥー。ハァハァ」

「奥様!しっかり!もうちょっとですよ!」

私は今、二番目の子を出産している最中です。ジュリオの時もとっても大変だったのだけれど、この子はもっと大変ね。

「奥様。息を大きく吸ってください」

ヘレナに言われ、深呼吸をします。

「今です!力んで!」

思い切り息を止め、下半身に力をいれます。

「はあああああ!」

ズルッという音がした後、赤ちゃんの泣き声が聞こえ痛みが引いていきました。ようやく一息つけます。

「キャメル!旦那様を!」

「は、はい!」

キャメルが走ってジェイルを呼びに行ったようです。

「ハァ、ハァ。ヘレナ、赤ちゃんは?」

「奥様ご無事ですよ。元気な男の子です」

「そう。見せて」

ヘレナからわたされた赤ちゃんは、赤くてしわくちゃだったけれどとっても可愛いです。

「こんにちは♪。私の赤ちゃん」


〈side ジェイル〉

スタスタスタ、スタスタスタ。

俺は今、妻のファイーナが赤ん坊を産むのを待っている。かもう2時間は、部屋に篭っている。いくらファイーナが希代の才能をもつ宮廷魔術師だったからといって、出産のときにはなにがあるかわからない。クソッ、いくら剣術を修めってこんなときには何もできなきゃ意味ないじゃないか‥。と苛立ちのあまり自己嫌悪におちいっていると、バッ!とドアが開きキャメルがとびこんできた。

「ジェイル様!」

「ッ!産まれたのか!ファイーナは!」

「ファイーナ様も赤ん坊も無事です!」

「分かった!」

バッ!と飛び出し、ファイーナのいる部屋へ走る。

「ファイーナ!赤ん坊は!」

バン!と扉を開け、ファイーナに駆け寄る。

「あなたったら。そんなに怒らないで。ほら、男の子よ」

ファイーナから、赤ん坊をわたされる。産まれたばかりの赤ん坊は可愛いとはいえない顔だが自分の子だと思うととても愛おしくなってくる。

「ははは。ほら、高い高ーい」

腕を限界まで上げて、振り回す。赤ん坊も顔を歪めて喜んでいる。

「あなた!」「旦那様!」

ヘレナにひったくられるように赤ん坊を取られる。

「おいおい、ヘレナ何するんだよ」

「あなた?」

「ああ、ファイーナも言ってくれよ」

「座って?」

「え?えっと、ファイーナ?」

「す・わ・っ・て?」

「はい」

その後しばらくリューを触らしてくれなかった。くすん。


〈side キャメル〉

ガラント家のメイドの朝は早いです。朝5時に起床し、身だしなみを整えお水を井戸まで汲みに行きます。私はドワーフと獣人のハーフなので、力が強く水を汲むのもへっちゃらです。その後リュー様の部屋に行き、おトイレなどをすました掃除や洗濯をするのです。

ある日、いつもより早めに仕事が終わったので部屋に戻ろうと書斎の前を通りました。ふと書斎の扉を見ると、いつもは開いていないドアが少し開いていました。気になったので見てみますと、リュー様が何かなさっていました。

「あれ?リュー様、こんなとこで何をしているのですか?」

そうたずねると、

「えーとね〜、ごほんよんでたのー!」

と言って、一冊の本を私に差し出しました。その本が魔法の本だったので思わず、

「本ってこれですか?魔法の本ですよ。読めるんですか?」

とついきつい口調で言ってしまいました。そのせいかリュー様は、涙ぐみながら

「おへやにね、だれもいなくてさびしかったの」

と私を見上げながらそうおっしゃいました。

このときのリュー様のお顔は凄かったです。破壊力抜群です。めちゃくちゃ可愛かったですよ。お持ち帰りしちゃダメですか?

そんなこと思いつつすこし顔を赤くしながら、

「そうですか。じゃあ私と一緒にお部屋でご本を読みましょうね」

とリュー様を抱き上げお部屋に行きました。

お部屋につくと私はリュー様一緒に遊び、その後遊び疲れたのか私のお膝でお眠りになりました。寝顔も可愛いですよ、リュー様♪



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