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Suddenly

翌日、チロルの山に向かった。今日、受けた依頼は下記の通り。


 ・ミネラルローパーの討伐 一匹銅貨30枚

 ・アーマーリザードの討伐 一体銅貨35枚

 ・ディグモールの討伐 一体銅貨33枚

 ・パウダーリーフの採取 五束で銅貨30枚 五束以上は一束銅貨五枚

 ・岩塩の採取 大きさ・質による。


ミネラルローパーとアーマーリザードは、石の装甲をまとった尺取り虫と蜥蜴。ディグモールは地面を掘って、奇襲してくる土竜だ。

パウダーリーフは火をつけると、激しく燃え上がり火が長持ちする草。チロルの山は休火山らしく、火の魔力が集まりやすいようだ。その魔力を吸収した草が、パウダーリーフになる。鍛冶屋がよく使うらしい。

岩塩は・・・まあ言わなくても分かるだろう。鉱物として産出される、塩化ナトリウムのことだ。海から塩を運んでくるより、この山から岩塩をとったほうが安上がりらしい。見れば分かると、オビトさんには言われた。


街道を東に逸れて山に向かう。だんだん草が少なくなっていく、岩が目立つようになってきた。

目の前には、そこそこの大きさの山が広がっている。標高は・・・2000mないくらいかな?

そのかわり、山の裾が大きく広がっている。それじゃあ、行くか!

「リュー、張り切ってるとこ悪いけど、ここじゃ私はあまり役に立てそうにないわよ」

「え?どうして?」

「私の爪は、まだ石の装甲を破れそうにないし、水と氷ならいけそうだけどそれじゃあ意味ないでしょ?」

ビアンカには、近接戦闘の実戦訓練をしてもらっている。吸血鬼である以上、体術とかも出来た方がいいしな。森のワームやゴブリン相手なら問題なさそうだったけど...。

「もっと爪に魔力を通せないのか?」

「それでもいいけど...。まだ効率が悪いから、疲れるのよね...。まあ、やってみるわ」

こうして、山の麓に入っていった。



麓に入ってしばらく歩いていくと、岩の影から何かが飛び出してきた。

「「ギチギチギチ!」」

長い体をくねらせて、丸い口に並んだ歯を鳴らせて、俺たちを威嚇するローパー達。

「んじゃ、片方は抑えとくからさっさと片付けてくれよ」

「善処するわ」

そう言って、ローパーと向き合う。ローパーは、俺に目がけて噛み付こうとしてきた。それを避けて、とりあえず斬れ味を強化しないで斬ってみる。

ガキン!音が鳴りと刃は食い込むが、通らない。剣で相手をするのは難しいみたいだな。刃が欠けそうだ。

ローパーをいなしながら、ビアンカを見る。ビアンカはローパーを上から押さえつけて、爪を装甲の隙間に突き刺していた。なるほど、そういう手があったか。これならいくら硬くても問題ない。まあ、俺も思いついてたけどね!

ローパーから手を抜いたビアンカは、俺の方に向かってきた。ビアンカにローパーを譲る。

飛びかかってくるローパーをしゃがんで躱し、そのまま下から掴み地面に叩きつける。そうして、また隙間から爪を突き刺し、ローパーを倒した。

「お見事。流石は腐っても、元宮廷魔術師。経験は無くても、対策は思いつくか」

「知ってたんなら、言ってくれれば良かったのに。考える手間が省けたじゃない」

こういう甲殻を持ってる奴には、鉄板の攻撃方法だったから言わなかったんだけど…。これは言わないでおこう。どこで知ったのか聞かれたら困るし。

「何でも、人に聞こうとするな!自分で考えないと意味ないぞ!」

「えー…」

何だよ、その微妙な顔。まるで「リューには言われたくない」って顔だな。文句あるか!?


ローパーの証明部位、歯を取って探索に戻る。とりあえず蜥蜴と土竜を探す。パウダーリーフと岩塩は、最悪無くてもいい。

山道を登っていく。十分くらい歩いた時に、地面が少し揺れた気がした。ビアンカの襟を持って、後ろに飛ぶ。

次の瞬間、地面から大きな爪がザンッ!と飛び出してきた。危ねー…。気づかなかったら、串刺しだぞ。

「ケホケホ…。ありがと、リュー。あれがディグモールね。よく気づけたわね」

「いろいろあって、慣れてるんだよ。揺れには敏感なんだ」

日本は地震大国だからなー。少しの揺れでも、けっこう気になるよ。

土竜は再び地面に潜った。また、奇襲してくるのか?足に意識を集中させる。

・・・来た!ビアンカにアイコンタクトを送って、土竜の攻撃に備える。

ザスッ!と出てくる爪を避けると、ビアンカが地面に腕を突っ込む。

ビアンカが腕を抜くと、胸を突かれた土竜がいた。



その後、アーマーリザードとも戦闘したが、これはあまり苦戦しなかった。

蜥蜴の腹には甲殻が無かったので、突進噛みをしてきた時にひっくり返して腹を一抜きだ。簡単なお仕事です。

そうして、魔獣を倒しつつリーフと岩塩を集めていく。が、リーフは見つかるのだが、岩塩が見つからない。どこにあるのかな?

「リュー、あそこに洞窟があるわよ。あそこなら、岩塩があるんじゃない?」

「そうだな。行ってみるか」

洞窟に入ると、ムワッと熱い空気が俺たちを覆う。火山の下のある溶岩で暖められてるんだな。

「暑いな。体力が奪われそうだ」

「そうね。とりあえず、軽く中を見てみましょうか」

洞窟の中に入っていく。しばらく奥に進んでいくと、何か薄汚れた白い石が落ちていた。

拾って表面を軽く擦って汚れを落とし、ペロッと舐めてみる。

「塩っぱい。これが岩塩かな?」

「それが岩塩なのね。確かに、見たら分かるわね」

白くて暗いとこなら目立つな。これで、依頼は完了だな。今日は帰るとするか。

「ビアンカ。今日はもう帰るよ」

洞窟の壁を見ているビアンカに、声を掛ける。けど、ビアンカは壁を見たまま反応しない。

「ビアンカ?どうした、壁に何かあるのか?」

「・・・ここ、古代文明の遺跡よ」

古代文明とは、昔この世界で栄えていた文明のことだ。かなりの魔術技術力を持っていたらしく、稀に見つかる遺物はどれも強力な効果を持っている。何かが起こって滅びたらしいけど、隕石でも降ってきたのだろうか。

「いや、そんなわけないだろ。こんなところにあるんなら、誰かが気づいてるだろ」

「見て、ここに崩れた跡がある。何かで隠蔽してたのね」

ビアンカが指差す所を見ると、確かに崩れた跡がある。うーん、本当にあるのか?

「もう少し、奥まで行ってみましょう。何かあるかもしれないわ」

「はあ、もう少しだけだぞ?何も無かったら、すぐに帰るからな」



奥に進んで行き、数十分程で最奥に到達した。が、そこは鉱石の採掘場になっているだけで、他には何もない。

というか、ここは採掘場だったのか。魔獣が出ないわけだ。

「ほら、何もないだろ。さっきの遺跡の一部も気のせいだよ」

「・・・」

ビアンカは何も言わず下に降りていき、壁に手を当てた。なんでここまでビアンカは、執着するんだろうな。

「・・・リュー。ここに魔力を通してくれる?何か変なの」

ビアンカが触っているところは、採掘場の片隅。あまり掘られてないから、鉱石があまりでないんだろう。

「変って、何が?」

「何というか・・・魔力の流れがおかしいというか…」

そう言われて、俺も魔力を見てみる。目に魔力を集中させれば、見ることが出来るのだ!

「・・・確かにおかしいな。魔力の流れは完璧だ。いや、完璧すぎる」

そこを流れる魔力には、何の乱れもない。均一な流れを保っている。

通常、こういう人の手が加わったところには、魔力の流れに何らかの影響が出る。ある一定のリズムで流れたりな。

だが、ここにはそれがない。ここの魔力の流れは、無だ。何の特徴もなく、何の影響も受けていない。

ということは、この奥にこういう魔力の流れにさせる、強い影響力を持つものがある、ということだ。

そこに手を当て、魔力を流し始める。


そこで、俺の意識は途絶えた。




今回で三章はお終い、次から四章にはいります。


突然ですが、四章に入るに当たって、新ヒロインのアンケートを行います。

今考えているのは、三人。テーマは『和風』です。四章は和風テイストになります。概要はこちら。


1,柴犬系ワンコ侍 そうだ、武者修行の旅に行こう!

2,気まぐれ鬼仙術師 ぶらり秘境巡りの旅

3,せっかち虎忍者 異世界版キャッツ♥◯イ!

4,その他良い案があったら、お書きください。テーマや倫理から外れない様に!


このような感じです。

どれが良いかは、活動報告のコメントに送ってください。

期限は4/21 12:00までです。この時間までに、コメントに送られているものを集計します。

短いのは承知の上ですが、書く時間があるので…。申し訳ありません。

なお、要望数が少なかった場合には作者の独断と偏見で決定するので悪しからず。

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