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日溜まりの子犬亭


日溜まりの子犬亭は、組合から五分程歩いたとこにあって、大通りに面していた。

「ここかな?」

「そうみたいね」

入り口をくぐって中に入る。正面にカウンターがあり、そこに恰幅の良いおばさんが座っていた。

「いらっしゃい!泊まりかい?」

「はい。あ、ここ従魔は一緒に泊まれますか?」

これは聞いとかなくきゃ、ダメだな。魔獣が嫌いな人だっているんだし。

「大丈夫だよ。ここは、魔獣使いがよく泊まる宿だからね。そいつは・・・吸血鬼だね」

「は、はい。よく分かりましたね。ほとんどの人は気づかないのに」

「昔取った杵柄だよ。代金は三食、風呂込みで一泊で銀貨一枚。何泊する?」

「えーと、とりあえず一週間で。延長するかもしれません」

「了解。料金は・・・少しオマケするよ、銀貨6枚だ」

「はい」

料金を払う。まあ、良心的な値段かな?味や設備を見ないと、何とも言えないけど。

「はい、確かに受け取ったよ。これが部屋の鍵だ。部屋は二階に上がって右奥の部屋だ。鍵はなくすんじゃないよ」

「食事の時間は鐘が鳴ってからだ。ここなら聞こえるよ」

「鐘?」

「この街にある鐘楼だよ。六時・十二時・十八時に鳴るんだ」

「そうなんですか。分かりました」

鍵を受け取り、階段を昇る。右奥の部屋だったな。

鍵を開けて、部屋に入る。中はベッドが二つあり、扉の反対に窓と机があった。大きさは六畳くらいかな?

「へー、良い部屋じゃない」

ビアンカがベッドに座ったので、俺も反対側のベッドに座る。

「さて、方針の確認だ。まずは、この街である程度までランクを上げる。これはいいか?」

「ええ。ランクは上げとくに超したことはないわ。それで、どのくらいまであげるの?」

「護衛系の依頼を受けれるのは、Dからみたいだし、とりあえずDまでかな。それで、護衛依頼を受けて別の街に行く。そうして」

「二年経ってレア達が卒業したら、もう少し遠くに行ってみる、ってことね」

レア達が卒業するまでは、王都に行く為にあまり離れられないからな。遠方に行くのは、二年後からだな。

今後のことについて話し合っていると、

ゴーーン、ゴーーン

と鐘の音が聞こえてきた。

「これが鐘の音かな?もう、夕飯が食べれるのかな?」

「そうみたいね。行きましょ」


下におりると、おばさんが

「もう晩飯はできてるよ!右に行ったら食堂だよ!」

言われた通りに右に行くと、数人が食事をしていた。ここは酒場も兼ねてるのか。

カウンター席に座って、メニューを見る。うーん、このハミングバードの香草焼きって奴にするか。

「ビアンカは決まった?」

「アサルトブルのステーキっていうのにするわ」

肉食系女子だな...。まあ、吸血鬼だしな。

「注文は決まったか?」

顔を上げると、ダンディなおじ様が厨房に立っていた。ひげがイカすね!

「はい。ハミングバードの香草焼きと、アサルトブルのステーキをください」

「飲み物はエールでいいか?」

「あー、酒はやめてください。まだ成年してないので」

ビアンカには、酒を飲ましたことがないからな。またの機会にしよう。

「そうか。なら果実水にしよう」

そう言って、おじ様は奥に下がっていった。あの人は、おばさんの旦那さんかな?

しばらく待っていると、おじ様が料理をもってきた。

「香草焼きと、ステーキだ。パンはおかわりしたくなったら、呼んでくれ」

そう言って、おじ様は下がっていった。それでは、いただきます。

ナイフで肉を切って、口に運ぶ。

「ッ!こ、これは!?」

口に広がる鶏肉の旨味。上にかかったソースがピリッとアクセントをきかせている。後から鼻を通っていく、香草の香り。野鳥の臭みを打ち消して、後味が爽やかだ。

「あ、味のパラダイムシフトや...」

「何言ってるの?あ、このお肉おいしいわね。良い宿屋ね、ここ」

は!変なこと言ってた!パラダイムシフトとは時代の変遷につれる革命的な変化と言うことなんだから、間違えだ!まあ、革命的ではあったけど。

「うまいな!これは良い宿屋を紹介してもらえたな!」

「満足してもらえてるようだね!」

後ろにはおばさんが立って、給仕をしていた。

「はい、美味しいです」

「それは良かった。そういえば、まだ名前を言ってなかったね。私の名前はバゼットだよ。さっき料理を出してたのは、セバス。私の旦那さ!」

あ、やっぱり旦那さんだったんだ。というか、セバスって。まあ、執事みたいな感じだったけど。

「無愛想だけど、悪い奴じゃないからな!勘違いしないでくれよ?」

「しませんって。料理が上手いんですね、旦那さん」

「ああ、昔は有名なとこで腕を鳴らしてたんだけど、私と結婚してからはこうして宿屋で料理をしているんだ」

「へー、そうだったんですか。道理で美味しいわけだ」

香草焼きを食べ進めていく。お、パンにもあう。

そうして、あっという間に食べ終わった。ふー、ご馳走でした。

「美味しかったわね。これは離れられなくなりそうだわ」

「ははは、それはそれで困るな…」

そう言いながら、席を立つ。いつの間にか、周りの席は全部埋まっている。人気店なんだな。

この宿屋に泊まれて良かったなーと思いながら、部屋に戻っていった。


夕食を終えた俺は、風呂にはいることにした。

「おばさん、今風呂空いてる?」

「ああ、空いてるよ。入るのかい?」

「はい。それじゃあ、入りますね」

食堂とは反対側の部屋に入る。鍵を掛けて、服を脱ぐ前に気になっていたことがある。

「ビアンカはいつまでついてくるの?」

「え?一緒に入るんじゃないの?」

「いや、入らないよ」

「そんな!?一緒に入ってくれるって言ったじゃない」

あー、言ったねー。そんなこと。学院にいた時に。はあ、まあビアンカが入りたいって言ってるしいいか。

「はあ。さっさと脱いで入るぞ」

「え、ええ!そうしましょう!」

ビアンカがいそいそと服を脱いでいく。・・・このまま見てるのもいいけど、先に入っておこう。

風呂場に入る。風呂は木張りになっていて、床は何かを塗っているのか、滑らないようになっている。風呂桶は、大人三人が充分に入れるような大きさだ。床には椅子と桶、ソープの実が置いてある。これでお湯を掬うのか。

「リュー…」

ビアンカの声がしたので、後ろを向くと

「その…、あんまり見ないで…。まだ恥ずかしいの…」

ビアンカが、大事なところを手で隠しながら入ってきた。

「ほら、洗ってやるからこっちにおいで」

「うん…」

俺の前に座るビアンカ。俺はソープの実から泡をだし、ビアンカの背中にぬりたくった。

「ん…」

ビアンカが声を出すが気にしない。そのまま、手で洗っていく。

首・肩・背中と手でこすっていく。腰に移ろうとしたら

「り、リュー…?その、優しくしてね…」

うーん、さっきの隠していることといい、この台詞といい、誘ってるのか!って感じだな。本人に自覚はないんだろうけど。

腰から腹に手を回す。ビクッとビアンカが震える。

腹を、撫でながら洗っていく。優しく、壊さないように。

「うんん、はあぁ。あん!」

ちょっとビアンカが変な声をあげるが、気のせいだな。うん、気のせいだ。

手を上に上げていく。腹から水月、胸には触らず腋に手を入れる。

「ふわ!り、リュー!くすぐった、んあ!」

腕を洗った後は、足へ手を伸ばす。太ももを手で撫で洗い、脛から足の指までまんべんなく綺麗にしていく。

というか、ビアンカの太ももとってもムニムニだな。すごい触り心地が良い。掴むと指が食い込み、エロチックだ。

「あん!食い込ませないでぇ…」

そういうことを言うから、苛めたくなるんだよなー。

流石に、大事なところは洗わせてくれなかった。俺は背を向けて湯船に浸かり、ビアンカは残りを洗い始める。

体を洗う音が風呂場に響く。しばらく経ったら、ビアンカが湯船に入ってきた。

「酷いわよ、リュー。弄ぶなんて…」

「人聞きが悪いな。洗ってあげたんじゃないか」

その後は特に何もなく風呂に浸かり、部屋に戻って寝た。一緒に風呂に入っただけだよ!変なことはしてないよ!

愛とは育むものだからな!これから、楽しみだ。


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