玉潰し、爆誕
三振りの剣を見る。右から、銀色の長剣・青味がかった黒の片刃の剣・緑色の諸刃の剣だ。銀色の長剣を手に取る。
「そいつは鋼で出来ている剣だ。この中では一番安いな。銀貨八十枚だ」
「特にこれと言った長所はないが、安くて丈夫、使いやすいのが売りだな」
ふーん、ステータスは見れるかな?
銘 無し
種類 長剣
値段 銀貨八十枚
材料 鋼
属性 無し
制作者 ガントル
丈夫さ B
斬れ味 C
使いやすさ B
おお、見れた。物にも使えるんだな、これ。
この長剣は、丈夫だけど斬れ味は普通って感じか。まあ、他の二つも見てみよう。
銀色の長剣を置き、青黒い片刃の剣を見る。
「そいつは、蒼黒鋼っていう鉱石を使った剣だ。蒼黒鋼で出来た剣は、魔力を通すと斬れ味が良くなるんだ。けど、あまり丈夫じゃないから気をつけろよ」
銘 無し
種類 片刃剣
値段 金貨一枚
材料 蒼黒鋼
属性 無し
制作者 ガントル
丈夫さ C
斬れ味 B(魔力強化時 A)
使いやすさ D
ふむ、斬れ味重視の剣か。斬り合いには向いていない、刀みたいな剣だな。
というか、この性能で金貨一枚は安くないか?
「これ、金貨一枚って安すぎません?二、三枚はすると思うんですけど」
「それはな、斬れ味を強化するには、魔力が結構必要なんだよ。普通の剣士じゃ、魔力が足りないくらいな」
「普通、身体強化に魔力をまわすから、斬れ味にまでまわせないって訳だ。だから、安いんだよ」
使える人がいないから、安くなったのか。・・・かわいそうな剣なんだな。
次に行こう、次に。緑色の両刃剣を持つ。
「それは、流星カジキの吻(尖ってるとこ)を集めて、鍛え上げた剣だ。斬るだけじゃなく、刺突も強力だ」
銘 無し
種類 両刃剣
値段 金貨一枚と銀貨二十枚
材料 流星カジキの吻
属性 無し
制作者 ガントル
丈夫さ B
斬れ味 B
使いやすさ C
これは、頑丈で斬れ味が良くてそこそこ使いやすいのか。値段も割高だな。
「俺は出来れば、蒼黒鋼の剣を買って欲しいと思っている。リューは魔力が多いだろ?魔力が多くて、剣術をやってる奴は少ないんだよな。この剣を生かして欲しい」
生かして欲しいか。活用するだけじゃなく、生かす。・・・ふう、負けたよ。
「分かりました、買います」
「おう、毎度あり!もう佩いていくか?」
「はい」
鞘を持ってきてもらって、腰に差す。うん、かっこいい。
「よし、次は防具だな。良い奴を知ってるから、負けるよう言っとくわ」
「ありがとうございます」
こうして、蒼黒鋼の剣を買ってしまった。金がなくなっていく...。
防具はガントルさんの紹介された人のとこに行ってきた。革の鎧があったので、それにする。お値段は、金貨一枚。
肘とか膝が金属で強化されてある。肘鉄とか膝蹴りもできそうだ。動きを阻害しないように、軽めの鎧を選んだ。
サイズを調整してもらう為に、明日受け取りになった。さて、冒険者デビューをするとしましょうか!
冒険者組合の前に着いた。三階だての大きな建物だ。よしっと気合を入れて入る。
中に入ると、視線が俺に集まる。好奇や興味が多いな。ビアンカにも視線が集まっているようだ。こちらは情欲のが強いみたいで、嫌そうにしている。さっさと登録しちゃおう。
受付にまっすぐ向かう。何個か受付があるが、女の子の所は大体埋まっているので、男の人がいるとこにしておく。
「すいません。組合に登録したいんですが…」
「はい、分かりました。こちらの用紙にご記入お願いします」
一枚の紙を差し出されるので、受け取ってペンで記入していく。
書くことは、名前・性別・年齢・使用武器・特技・従魔を書く場所があった。どんどん書いていく。その結果がこちら。
名前 リューテシア
性別 男
年齢 16歳
使用武器 剣・拳・槍・棒などなど
特技 魔術 火・風・闇
従魔 吸血鬼ビアンカ
武器はいろいろ使える。中国拳法は剣・槍・棍など、様々な武器を使うことを念中に入れている。師匠には空手・柔術・ソバットからカラリパヤットまで様々な地球の武術を習わされた。いやー、途中から時間の感覚が無くなってたね。なんで色んな武器が使えるよ☆
「リューって槍も使えるの?そんなの訓練してなかったと思うけど…」
「え!?あ、ああ前に練習したんだ。使えるっていっても、使えるってだけだから…」
「ふーん…」
そういえば、ビアンカには言ってなかったな…。
「それではお預かりしますね。・・・あの、嘘はついてませんよね?」
「失敬な。嘘なんてつきませんよ!」
紙を見た職員に、嘘じゃないか問われる。まあ、気持ちは分かるけど。
「そ、そうですか。失礼しました。それでは、この玉に血を垂らしてください」
そう言って、水晶玉を出してくる職員。また水晶玉か…。
針を受け取って、血を垂らす。水晶玉に血が垂れると、そのまま染み込んでいった。
「はい、これで登録が完了しました。これがあなたのギルドカードです。失くすと再発行に銀貨二十枚頂くので、失くさないでください。あと、登録料銀貨一枚頂きます」
銀貨を渡す。再発行料高いな。失くせない。
「はい、これであなたは冒険者組合に入りました。説明はしますか?」
「お願いします」
「はい。まずランクについて・・・」
説明を受けています。しばらくお待ちください。
「・・・です。これで説明は終了です。質問はありますか?」
「いえ、ありません…」
お、思ったより長かった...。簡単にまとめると
・ギルドにはF〜Sまでランクがあり、Dで一人前と認識される。
・犯罪を犯したら、除名。以後、登録が出来なくなる。あの水晶玉になんか細工がしてあるな。
・Eまでは一定数依頼をこなしたら、ランクが上がるが、Dになるときからは試験を受ける必要がある。
・組合内でパーティーを組むことが出来る。二人から。従魔は含まない。
・組合内での暴力沙汰は御法度。襲われた場合は、自衛すること。
こんなところか。パーティーはいつか組みたいな。まあ、しばらくはソロだろうけど。
「そうですか。それでは、これからよろしくお願いします。私の名前はオビトです。リューテシアさん」
「よろしくお願いします、オビトさん。俺はリューでいいですよ。あ、安くて安全な宿屋って知りませんか?」
「安くて安全ですか...。それなら、日溜まりの子犬亭がオススメですよ。前の道をまっすぐです」
「日溜まりの子犬亭ですね。ありがとうございます。行ってみます」
日溜まりの子犬亭か。行ってみるか。
そう思って、出口に向かおうとしたら
「おい、兄ちゃん。かっこいい剣を持ってるじゃねえか。ちょっと見せてくれよ」
「なあ、姉ちゃん。こんなガキと一緒にいないで、俺たちと一緒に行こうぜ。気持ちいいことしてやるよ」
柄の悪い男達に囲まれた。計五人。ああ、久しぶりのテンプレだなあ。
「おい!聞いてるんのか!痛い目見たくなきゃ、さっさと剣と女を置いてけってんだよ!」
「えーっと、ゴメン、無理」
だってビアンカは従魔だからあまり俺から離れられないし、この剣はガントルさんから託された大切な剣だからな。
「というか、一昨日来やがれ。鏡見てから、出直してこい」
「ははは、てめぇ死にたいようだな...。てめぇら!やっちまえ!」
五人の男達が殴り掛かってくる。はあ、目立ちたくないけど仕方ない。降り掛かる火の粉は・・・薙ぎ払う!
正面の男を右足で蹴り、金的!左後ろから殴ろうとする男を鞘で金的!右前と左前からの攻撃を避け、二度蹴りで金的!最後に残った右後ろの男は、思いっきり蹴り上げて金的!潰れたな、これは。もう使いもんにはならないだろ。
「「「「「ごあああああぁぁぁ!!!」」」」」
男どもが股間を抑えて、泡を吹いている。最後の男は股から、血を流している。ああ、無情...。俺がやったんだけどね!
「はあ、行こうかビアンカ」
「鬼畜ね、リュー...」
なんだかんだあったが、日溜まりの子犬亭に行った。どんな宿屋かなー?
そして、伝説へ...。