ガントル再見!
冒険者編の始まりです。
道中、特に問題は起きず実家に着いた。魔獣は俺が始末したよ!狼とかマジ雑魚い!
・・・何かテンションが’おかしい。レア達がいないからかな...。さみしい...。
家に着くと、ヘレナさンとキャメルさんに迎えられる。
「お久しぶりです、リュー様。ご無事でなによりです」
「リュー様、荷物をお持ちいたします」
キャメルさんに荷物を渡す。ここで断ると向こうが困るからな。
「それでは、参りましょう。奥様と旦那様がお待ちですよ」
ヘレナさんに連れられて、屋敷へ歩き始める。キャメルさんと一緒に後を追う。
「リュー様、シャネルがご迷惑をかけてはいませんか?」
「そんなことないです。いつもお世話になってますよ」
「そうですか。よかったです」
キャメルさんも大人になったなー。こう。働くお姉さん!って感じがするよ。
久しぶりにキャメルさんとの会話を楽しみながら、屋敷へと向かった。
屋敷に着いたら、広間へと向かう。だいたいここで待ってるしな。
広間の扉についた。ノックして入る。
「母様、父様。リューです」
「入っていいぞ」
部屋では少し老けた親父と、前と変わらず綺麗な母様がソファーに座っていた。あ、老けたって悪い意味でじゃないよ?ダンディになったって感じ。
「お久しぶりです、父様、母様」
「久しぶりだな、リュー。元気にしてたか?」
「はい、御陰様で」
親父の机を挟んで、反対側に座る。待機していたヘレナさんが、お茶を持ってくる。
「リュー、学院はどうだった?」
「色々、学べました。数年通うだけの価値はありました」
「それは良かったわ。もういいの?」
母さんが単刀直入に切り出す。まあ、息子が学校を中退するようなもんだしな。心配なのか。
「はい。俺は冒険者になって、世界を見てみたいんです」
「・・・そう。リューがそこまで決めているなら、私は何も言わないわ。あなたは?」
母さんが親父に話を振る。さて、どう出る?
「・・・俺も、リューがしたいようにすればいいと思う。もうリューは子どもじゃないんだしな」
思ったより、早く親父が折れてくれた。てっきり、俺を倒してから行け!とか言ってくると思ったんだけど...。まあ、いいか。
「出発は一日休んでからにしなさい。お話も聞きたいし」
その日は母さんに学院でのことを話して、夕食を食べて寝た。明日は早い。
次の日、まだ日が昇り始めた頃に家を出ることにした。まずはチロルの街に向かう。
「リュー、本当に金はいらないのか?少しくらいなら、やるぞ?」
「大丈夫です。学院で稼いだお金がありますから」
学院で魔獣の素材を売ったお金は、結構多い。防具と宿に泊まるくらいは出来るだろう。剣は今のがあるし、最悪アビスウェポンを使えばいいしな。
街までは、また御者さんに馬車で送ってもらう。連続ですいません...。
ビアンカはもう馬車に乗っている。気を効かせてくれたようだ。
「それじゃあ、もう出発します」
「たまには帰ってこいよ。顔を見ないと生きてるって分かんないんだからな」
「体には気をつけるのよ。無理だけはしないでね?」
「ご武運をお祈りしています」
「リュー様...。いってらっしゃいませ、いつでもお帰りを待ってますからね?」
親父、母さん。ヘレナさん、キャメルさんに別れを告げる。しばらく会うことはないだろうから、しっかりと心に刻み込む。
「はい。行ってきます」
馬車が出発する。ガタガタと揺られながら、俺は見えなくなるまで手を振っていた。
「それでは、私はここでお別れですね。坊ちゃん、頑張ってください」
「はい、ありがとうございます送っていただいて」
昼前にはチロルの街の近くに着いた。懐かしいな。全然変わってない。ここで、レアと会ったんだよな...。
門より少し前で下ろしてもらい、馬車が引き返していく。さて、それじゃあ、行きますか。
俺の今の服装は、普通の人が着ているような黒いシャツと紺のズボン。いつも着ている奴は質がいいので、貴族とバレるかもしれない。
貴族は、いろいろと恨まれていることもあるので、バレたくない。なので、格好は庶民みたいにした。キャメルさんが買ってきてくれた。
街の少し前で馬車を降りたのもその為だ。普通の人が、馬車なんて持ってる訳が無い。
チロルの街に向かって、街道を歩いていく。この距離なら、三十分くらいで着くかな?
予想通り、三十分くらいで街の門の前に着いた。何人かの人が鎧を着た門番の前に並んでいるので、俺も列の最後尾に並ぶ。
少し待っていると、俺の番がきた。
「何をしにこの街に来たんだ?」
「冒険者になって、一稼ぎしにきました」
少し理由を変えさしてもらおう。結果は同じだしな。
「ふむ。身分を証明するものは持っているか?犯罪歴はないな?」
「身分を証明するものも、犯罪歴もありません」
「分かった。なら、滞在許可証を買ってくれ。銅貨十枚だ」
銅貨を支払って、許可証を買う。これで、一日街にいれるらしい。
「冒険者になるなら、一日分でいいだろ?カードがあれば、入街料は免除なんだし」
「そうですね。ありがとうございます」
お礼を言って、街の中に入ろうとしたら
「待て、その女は誰だ?」
ビアンカを見て、門番さんが引き止める。おっと、言い忘れてた。
「俺の従魔です。吸血鬼なんです」
「・・・そうか。従魔が面倒を起こしたら、主の責任だからな」
「分かってますよ。お気遣い有難うございます」
さて、ガントルさんのとこに行こうか。
前着た時の記憶を思い出しながら、道を歩いていく。しばらく歩くと、マリー武具店があった。前と変わらず、剣をクロスした意匠だ。
店の前で突っ立ってても邪魔なので、さっさと入ることにする。
「こんにちはー。ガントルさん、いますかー?」
カウンターが空だったので、奥に向かって声をかける。
「おう、いるぞ。一体誰だって、お前リューテシアか!?」
「はい。お久しぶりです、ガントルさん」
奥からガントルさんが出てきて、何故か驚かれる。まあ、十一年ぶりだからな。見違えたとかそんなんかな?
「いや、あの小ちゃかったリューテシアがこんなにデカくなるなんてな!見違えたぞ!」
おお、予想通りだ。
「ん?その女は?彼女か?」
「違います。俺の従魔ですよ。ビアンカって言うんです」
「そうか。それで、何のようだ?武器でも売って欲しいのか?安くしとくぞ」
「いえ、武器はまだいいです。この剣がありますし」
といって、腰に佩いている剣を撫でる。この剣にも、いろいろお世話になったなー。
「見せてみろ。・・・手入れはされているが、かなりの間使ってるな?」
「ええ。入学祝いで貰った剣なので。六年くらいでしょうか?」
「六年か。・・・リュー、どんくらい金を持っている?」
「えっと、まとまったお金は金貨二枚ですけど...」
五年も魔獣を倒し続けてたら、金貨二枚も貯まってしまった。銀貨も四十枚近くある。
「そうか。冒険者組合の登録金は銀貨一枚だからいいとして、防具もそろえなきゃいけないからな。使える金は金貨一枚くらいか」
「そうですね。だから、ある程度金が貯まってから、武器は新調s」
「・・・よし、ちょっと待ってろ!リューは剣を使うんだったな!」
「はいそうですけど・・・って行っちゃった。どうしたんだ?」
ガントルさんが奥に走り去ってしまった。時々、ゴトン!バギン!ズガガガガーン!!と変な音が聞こえる。・・・何をしてるんだ?
十分ほどでガントルさんは戻ってきた。手には三振りの剣を抱えている。
「悪い、待たせたな。あまり整理してなくて、探すのに手間取ってな。後で片付けなきゃな...」
「はあ...。それで、この剣は?」
「金貨一枚で買うことが出来る中で、良いやつを持ってきた。けっこう負けてるんだ、今買わなきゃ後悔するぞ?」
「むむう...」
要は「今買わなきゃ、次は安くしないぞ!」ってことか。はあ、とりあえず見るだけ見てみるか。
剣の絵とか欲しいです。