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行こうよ学院の森


レアたちのお嫁さん宣言の翌日、放課後に職員室を訪ねた。サン先生に森に入っていいか聞くためだ。

「失礼します。サン先生はいますか?」

扉をノックしてから、入る。職員室はたくさんの机が並んでいて、上には結構な枚数の紙がのっている。先生はいるかな?

「おや、リュー君ですか。珍しいですね、こんなとこに来るなんて」

「ちょっと、聞きたいことがありましたので」

好き好んで職員室に来るような生徒はいないだろうな。

「聞きたいこととは何ですか?」

「学院にある森に入りたいんですけど」

学院には薬学で使うキノコや薬草、それと部位が材料になる魔獣がいる。広大な学院の中にすら収まらず、外に飛び出している部分もある。外の森からは学院内には入れないけどね。侵入禁止の魔術が張ってあるらしい。どんだけ広いんだか。

「森に?リュー君は薬学は取っていませんよね?」

「薬の材料じゃなくて、ビアンカを育てるためにです。従魔は魔獣を倒すと強くなりますので」

「ああ、従魔ですか。そうですね・・・良いですよ。リュー君は実戦経験もあるようなので。でも、あまり奥には行ってはダメですよ」

「分かりました。ありがとうございます」

「これは許可証だよ。なくさないでね」

サン先生から紙を受け取り、職員室を出た。



「と、いうわけで早速行こうか」

「いきなりね。まあ、私も願ったり叶ったりだからいいけど」

あの後、寮に戻って装備を用意しビアンカを連れて森の入り口にまで行った。装備っつても、剣ぐらいしかないんだけどね。

入ろうとしたら、そばで座っていた男性に止められた。

「おいおい、なに入ろうとしてるんだ。許可証はあるのか?」

「許可証?ああ、これか」

と言って、サン先生からもらった紙を森番?さんに渡す。森番さんはしばらくその紙を見て

「・・・本物のようだな。こんな子を森に入れるとか、サン先生は何考えてるんだ」

こんな子とはなんだ!もうすぐ150cmになりそうなんだぞ!

そう言いながらも森番さんは道を譲ってくれた。

「いいか。許可証があるから森には入らせるが、絶対無理はするなよ。まだいけるは撤退の合図だ」

なんだっけそれ?サバイバルの鉄則だっけ?

「分かってますよ。無理はしません」

そう言って、俺とビアンカは森に入っていった。


しばらく道に沿って進んでいく。すると、道のそばで草を食っている大きな角を持った鹿がいた。

『サイレント』

と、消音の魔術を無詠唱で俺とビアンカにかける。そのまま出来るだけ近づき、手でビアンカにGOサインをおくる。

ビアンカは頷いた後、いつも通り氷柱を鹿に向けて飛ばす。氷柱はまっすぐ鹿に向かって飛んでいき、ふと頭を上げた鹿の首に突き刺さった。

「キュ!キューキュー!」

と苦しんでいた鹿だったが、しばらくすると動かなくなった。

「こいつ、食えるのかな?薬に使う部位は角?」

「そうじゃないかしら。でも、大きすぎるわね」

相談の結果、角だけ持って帰ることになり帰るときに回収するため隠しておくことにした。肉は燃やしてしまおう。

肉を燃やし尽くしたら、どんどん奥に進んでいく。あまり行き過ぎるとマズいので、途中で横に逸れた。さあ、狩りの始まりだ!



そうして暗くなるまで狩りを続けた。倒した魔獣は、鹿とかお化けキノコもどきとか変な虫やら、色々倒した。とにかく数が多い。

薬の材料になりそうな部位だけとっておき、残りは全部燃やしました。これが一番大変だったかも...。

「どう?ビアンカ。存在進化(ランクアップ)しそう?」

「いいえ。まだかかりそうだわ。でも、リューの家の森よりは早く済みそうね」

「それは重畳。今日はもう帰ろうか。暗くなったら危ない」

俺とビアンカは入り口に戻っていった。


「お、戻ってきたか。大丈bってなんだその大荷物!?」

「あ、森番さん。お疲れ様です」

入り口に戻ってきたら、森番さんに驚かれた。魔獣の部位が多すぎたようだ。

「ああ、お前もお疲れってなんだよそれは!」

ビアンカと持っている、布に包まれた魔獣の部位を指差している森番さん。そんなに驚くようなことか?

「えっと、多すぎました?」

「多すぎだよ!どんだけ魔獣を倒したんだよ!?」

「けっこう倒しましたね。そういえば、これどうしましょう?」

「そ、それなら購買で買い取ってもらえると思うぞ。安いけどな」

「本当ですか!?教えてくれてありがとございます!早速行ってきますね!」

「あ、ああ。頑張れよ...」


購買で魔獣の素材を買い取ってもらった。値段は少しおまけしてもらって、銀貨1枚と銅貨50枚。約15000円。たしかに命を張って取ってきたにしては、安いな。けっこう量はあったのに。

「魔獣ってこんなに安いんですか?」

「この値段は学院だけだよ。冒険者ギルドではもう少し高いかな。まあ、こいつらはそんなに高くないけどね」

ふむ、学生が取ってきたのを安く買い取って高く売る、とかしているのかな?

「それじゃあ、また倒したら持ってきてね」

と言う購買のお兄さん。うーん、なんか損したみたいだな...。

そんな気分になりながら、寮に戻った。



森に入れるようになってから、数日たったある日。再び魔術の授業だ。この前は馬鹿に絡まれたから、あまり考えられなかったから今度はちゃんとやろう。

そういうわけでタマモはノエルさんにまかせて、訓練所にきている。さて

「どういうふうに改造するか」

この前はファイアトルネードだったから、今度は雷でやってみるか。うーん・・・こんなのはどうかな?

サンダーランスとライトニングボルトを発動する前に混ぜる。すると

バチン!

「うわ!」

目の前で、電気がはじけた。手で顔をガードする。幸いにも怪我は無い。

「うーん。うまく混ざらなかったな...。雷って属性が強すぎたのかな?」

どういうわけだ?・・・形状は槍。属性は雷。槍はサンダーランス、雷はライトニングボルト。このことから推測すると、槍が雷に耐え切れなかった?サンダーランスはライトニングボルトより、下位の魔術だからな。どうしよう...。

うーん、サンダーランスがだめならフレイムジャベリンならどうかな?同じランクくらいの魔術だし。けど、火と雷かー。ムズそうだがやってみるか!

魔術を発動する前に混ぜる。むむむ!うまく混ざらん!これは結構ムズイぞ!

その状態のまま、魔術が発動しないくらいの魔力を注ぎ維持しつつ、混ざるところを探す。無数にある鍵の中から、鍵穴に合う鍵を探す感じだ。くそ、集中しないと暴発しそうだ。

意識をすべて魔術にむける。聞こえる音はBGM。後は何にも感じない。

そうしていると、まるで自分が深い海の中を漂っているような感覚になっていく。周りを見渡し、魔術が混ざり合うという出口を探す。

四肢に力を込めて、海の中を泳いでいく。なかなか見つからないな...。本当に出口なんてあるのかな...?

全然見つからないので弱気になっていると、パッと光が射してくる。上を見ると、暗い中にポウッと明るい場所があった。あそこが出口か!全力でそこにむかい、海から飛び出る!と

バン!

「うお!」

沈んでいた意識が一気に覚醒する。目を開けると炎を纏った雷の長槍ができていた。派手になりすぎないくらいの装飾がしてある槍だ。

「な、なんだこれ?」

これがフレイムジャベリンとライトニングボルトの複合魔術か?なんだかえらく立派な槍になったな...。

「ほう...。随分と強力な魔術じゃな。まあ元の魔術もそこそこじゃし、混ざり方も完璧じゃ。これは合格じゃな」

「はあ、そうですか。ってなんで先生がいるんですか!?」

いきなり現れたアルバス先生に高評価だ。まあ、かっこいいしいいか。しかし、魔力消費が多い。あまり撃てそうにないな。

「まだ誰かが訓練所におったから、気になってきてみたんじゃ。それよりほれ、さっさと撃たんか」

「は、はい。それじゃあ」

手をひょいと反対側に振る。すると

ヒュオン!ズガアァン!!

目にも見えない速さで飛んでいき、爆炎と雷をおこしながら壁に突き刺さった。壁には罅がはいっている。

「うおおおお!!!なんだこの威力!?」

「ほほほ、まあこんくらいの威力は出るじゃろ。名前を考えておけよ。今日はもう帰れ。もうすっかり日は落ちとるぞ」

「え?うわ!真っ暗!す、すいません。もう帰ります!」

そう言って慌てて寮に戻った。晩ご飯は食べれませんでした。くすん。




次話で時間がとびます

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