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離れて近づいて

レアたちから距離を取り始めて数ヶ月、だんだん成果がでてきた。

まずレアたちに女友達が出来た。最近は教室でよく話している。そのため俺と話す機会が減り、食事も一緒にしている。

俺と一緒にいる時間も減った。光の日に友達と王都に出かけたり、放課後に一緒に勉強したりしている。俺から離れられたのは良かったけど、何だかさびしいな。これが親の気持ちか。

そんな俺には特に変わったことはない。知り合いは増えたけど、友達はいないな。作ろうとしていないしな。

なので、今日もさびしく一人飯だ。食堂の隅のほうに行き、昼ごはんを食べる。今日はパスタか。

ふと入り口を見ると、レアたちが入ってきた。シャネルちゃんとタマモも一緒だ。十人くらいで集まっていて、みんなで一緒に食堂のおばちゃんのとこにパスタを貰いにいっている。

見つかったら面倒臭いので、さっさと食べることにした。


〈side レア〉

リューから距離を取ろうと決め手から数ヶ月たち、今まで知らなかった物が見えてきた。

お姉ちゃんとタマモにも、協力してもらっている。二人とも思うところがあったらしい。

リューから離れると、同じクラスの女の子達と仲良くなった。なんでも、リューから近寄りがたい空気がでているらしい。そんなことないのに...。

いっしょにいると、流行の服とかアクセサリーの話を良くする。このような話はリューはしないので、とても興味深い。お姉ちゃんたちも真剣に聞いている。

王都にもみんなで行ってみた。ここは私をリューが見つけてくれた特別な街だ

流行の服を試着してみた。大人っぽい黒いワンピースだ。みんなに見せたら、絶対買うべきだともの凄くすすめられたので買ってしまった。きれいだけど可愛いのがよかったな...。

みんなで行くのも楽しいけど、やっぱりリューと二人きりで行きたいな。

こうしてみんなとすごしていると、改めてリューが凄いと思い知らされる。

みんなが今勉強しているとこを、リューは5歳の時にできた。私が思っていることを予想して、私に都合がいいように合わせてくれる。

でも、そんなリューでも持っていないものがある。心を許せる友達だ。リューは凄い、凄いからみんなが離れていく。それに、リュー自身がそうするよう動いているようにも見える。

リューは私なんかじゃ理解できないくらい先を見て、動いているんだろう。そしてそれはきっと私たちのためだ。自惚れてるかもしれないけれど、ずっとリューと一緒にいたんだ。そのくらい分かる。

リューが、大切に思ってくれてるのは嬉しい。嬉しいけど、もう私は大きくなったんだよ?

リューがいなきゃ生きていけなかったあの頃とは違う。もう自分で考えて行動して、その責任もとれるんだよ?

リューから離れれば少しは大きくなったって分かってくれると思ったけど、あんまり分かってないみたいだし...。どうしよう?

またビアンカに相談しようかな?...そういえばビアンカが言ってたっけ。我慢できなかったら...。

...よし!とりあえずやってみよう!でも、上手くできるかな...。お姉ちゃんとタマモとも相談しよう。



数日後、俺はレアたちが部屋に来た。話したいことがあるらしい。ビアンカはいない。

俺が部屋で待っていると、ガチャとドアを開けレアとシャネルちゃん、タマモが入ってきた。

「あれ?お姉ちゃんとタマモもいるの?」

「私にも関係あることなのよ!」

「私もです」

みんなに関係あることか。何だろう?

「それで、話したいことって?」

「えっと、最近リューが私たちから距離をとってるなって思って」

あら?俺に直接聞きにきたのか。ビアンカの方に行くと思ったんだけどな。

「うん、とってるよ。それが?」

「リューはどうしてそんなことすんの?私たちのこと嫌いになっちゃったの?」

シャネルちゃんが泣きそうな声で聞いてくる。

「そんなことないよ。ちゃんと別の理由だよ」

「理由ってなんですか?」

「俺とレアたちはかなり仲が良いよね?ずっとこのままじゃ、レアたちに良くないと思って」

「良くないって?」

「俺はいつまでもみんなと一緒にはいられない。自分だけで、歩いていけるようになって欲しいんだよ」

前から考えていたことを言う。実際、これも理由の一つだしな。

「そんなに私たちの心配をしなくても大丈夫だよ。リューと離れて気づいたもん」

「私はリューのことが好き。大好き!」

うお!いきなり告白された!初めてだよ!

「私たちはずっとリューに甘えてた。リューに任せれば、何でも大丈夫だと思ってた」

「けれど、それはリューの後ろにくっついているだけ」

「そんなんじゃ、リューのお嫁さんにはなれない。隣で一緒に歩けなきゃ駄目なんだよ」

お嫁さんか。レアは昔、赤ちゃんを産みたいって言ってたしな。

「だから、私はリューから離れるよ。リューに相応しい女になるためにね!」

...レアもいろいろ考えてるんだな。本当に子ども扱いはできないな。

「わ、わたしもリューが好きよ!リューと一つになりたい!」

「私もです!大好きです、リューさん!」

レアの告白に負けじと、シャネルちゃんとタマモも告ってくる。モテモテだ。

「あ、ありがと...。がんばってね?」

「うん、頑張るよ!それでね...」

レアが顔を赤くしながら

「その、頑張るためにキスして欲しいな...」

「え?」

何言ってんの、この子。

「あ、あのねしばらくリューとそんなに会えなくなっちゃっても、リューとのキスを思い出せば元気でるかなって思ったんだけど。ダメかな?」

頬を染め、上目使いで聞いてくる。クッ!レア、恐ろしい子!

「い、いいけど...。それじゃあ、目を瞑って?」

レアは目を瞑り、唇を尖らせながら俺を待っている。そ、それじゃあ...

「ん...」

「ふ!んー♪」

顔を近づけ、チュっと軽く唇をつける。俺が離れると、レアはゆっくり目を開き唇に指をそえる。目はトロンとして息が荒くなっている。

「んはぁーーー♪えへへ、リューとキスしちゃった♪こーふんするよーー」

すっかり出来上がっちゃったな。後でまたねだられるかも。

「レアばっかりずるいわよ!私にもしなさい!」

シャネルちゃんが俺に飛びかかり、顔を近づけてくる。しょうがないお姉ちゃんだな。

シャネルちゃんと口付ける。している間に、舌で唇をなめる。

「ん!んふん!」

ビクビクっと体を震わすシャネルちゃん。唇を離すと

「ふわ...。リューぅ」

すっかり甘えん坊になったシャネルちゃんが抱きついてきた。頭を撫でると、尻尾がフサリとゆれる。

「ううう、みなさんずるいです。私だってしたいのに」

出遅れたタマモは、すっかりいじけてしまっている。そんなタマモを呼び寄せる。

「おいでタマモ。キスしよ」

「は、はいリューさん!」

タマモが急いで駆け寄ってきて、俺の足の膝の上に座る。対面座位みたいなかんじだ。

「タマモ。ん」

「ああ、リューさん...。ふむっ」

チュっと唇を交わして、すぐに離す。タマモの不満そうな顔をみたら、またキスをする。

そのままついばむようなキスを何回もする。尻尾をニギニギするのも忘れない。

「ん、ちゅ。ふあああ、リューさーん...」

「よしよし、どうだった?」

「きもちいいれふー」

俺の肩に頭をのせ、幸せそうなタマモ。こっちまで幸せな気分になってくる。

ゴゴゴゴッ

「ひ!」

後ろのほうから、恐ろしい気配を感じる!こいつはやべぇ!

「いいなー、タマモは何回もしてもらえて」

「私たちにもしてくれるわよ。ねぇ、リュー?」

「ははは。モチノロンデスヨ」

その日は、晩御飯までずっとキスをさせられた。嫉妬って怖い...。


ねみーです

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