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初めて

「リュー、森で言ったこと覚えてるわよね?」

学院に帰ったらもう夜中だったので、すぐに寝ようと部屋に戻ったらビアンカに止められた。

「森で言ったことって・・・あれ?分かってるわよねってやつ?」

「ええ、そうよ。分かってるわよね?」

「・・・ごめん、分かんない」

ヤバそうだとは思ったけど。

「・・・」

ギリギリギリ

「痛い痛い!頭グリグリしないで!!」

ビアンカにグーで頭をグリグリされる。これマジで痛いんだって!ビアンカの力は半端じゃないし!

「はぁ、はぁ」

い、痛かった…。

「まったく、リューは…。分かんないなら、分からないっていいなさいよ」

「あの空気じゃ言えないよ…」

「はあ。私はリューがいないと、生きていけないの!だから無理をしちゃだめでしょ!」

「無理はしてないよ」

「それでも、心配させないでよ!不安なのよ…」

ビアンカに抱きしめられる。ビアンカは小刻みに震えている。

「ビアンカ…」

「私にはもうリューしかいないの…。一人にしないで…」

「ごめんな、ビアンカ…。大丈夫、一人になんかしないよ…」

ビアンカを抱きしめ返す。背中を撫でて落ち着かせる。

「よしよし。落ち着いて」

「リュー…。」

ビアンカが熱っぽい目で俺を見てくる。少し涙がにじんでいる。

「・・・ん…」

「うむ!?」

突然ビアンカにキスをされる。ちょ、まっ!

ビアンカの舌が俺の口に入る。それは俺の舌に絡み付き、唾液を吸っていく。

「ふ、んん。じゅる…」

「んー!んー!」

頭を離そうとしても、ビアンカは手をまわしガッチリとつかんでいる。

「じゅる、ふふ。ん、ちゅ」

こんどはビアンカの唾液を俺の口に入れてきた!熱い液体が口の中に侵入してくる。かなり入ってきたところで、俺は唾液を飲み込んでしまう。なんか、甘いな…。

俺もビアンカの口の中に舌を入れる。口の中って暖かいんだな…。

「はぁ、ん。にゅる」

「ん!んーんー!」

ビアンカが何か言ってるが無視し、舌を絡め唾液を注ぐ。逃げないように、頭をつかんでおく。

「ん、コクコク。ん〜♪」

ビアンカが俺の唾液を飲むのを見ると、興奮する。俺の唾液を飲んだビアンカは、さらに俺に舌を絡めてきた。

クチュクチュと舌が重なる音が、部屋の中に響く。今の俺の頭の中には、ビアンカしかいない。

「ん、ぷはー。ビアンカ…」

「はぁ、はぁ。リュー」

息が続かなくなり、俺から口を離す。舌の間には、銀色の橋が架かっている。

「いきなりなにすんだよ…」

「い、いやだった…?」

泣きそうな目で、ビアンカが俺を見る。そんな目で見られたら何も言えねえよ…。

「はあ。嫌じゃないよ。気持ちよかった」

「うん、私も…」

「それは重畳。これで怒りも収まった?」

「もう、怒ってないよ。ありがと、キスしてくれ。初めてだった」

「俺もだよ」

前世でもね。

「ふふふ、嬉しいなー。リューの初めて貰えるなんて」

「それは、男が言う台詞だよ」

そうして、俺のファーストキスはビアンカに奪われた。



次の日、いつも通り授業を終えた俺は図書館に向かっていた。ノエルさんと帰ったら、図書館で一緒に勉強する約束を無理矢理(・・・・)とりつけられて。無理矢理ね、ここ重要。約束破りたくはないしな。

「ここだったな」

図書館についた。王都の図書館よりは小さいが、十分立派な所だ。入り口の奥には長机が何個か置いてあり、数人の生徒が勉強している。周りの本棚には、たくさんの本がはいっており、高いとこの本を取るための梯子がそばにおいてある。ジャンル別に別れており、魔術書や指南書、伝記もおいてあった。

「ノエルさんはいるかなー?」

と本棚の間を行き来する。あ、物語の棚にそれっぽい人が…。

「あら、リュー君。来てくれたの?」

「一応、約束しましたからね」

「ふふふ、それじゃあ席に着きましょ」

机の端っこの方に座る。

「何から教えて欲しい?」

「そうですね・・・歴史でいいですか?」

「歴史ね、分かったわ。王国建国からでいいかしら?」

「はい、お願いします」


・・・・・


「・・・それで第一次魔獣襲来は王歴何年?」

「72年です」

「今は何年?」

「522年です。流石に今の年は覚えてますよ」

「確認よ、確認。それじゃあ、第二次は?」

「241年です。169年振りの魔獣襲来で、ウェストン将軍が活躍したんですよね」

「そうね。稀代の名将と言われているわね。第三次は?」

「432年です。今までで最大の規模でした」

「正解。532年には、撃退百周年祭があるらしいわよ。楽しみね」

「十年後じゃないですか…。早すぎです」

いや、十年だけなのか?どっちだろう?

「ふう、ひとまず歴史はここまででいいと思うわ。次は何をする?」

「えーっと・・・それじゃ、魔術で」

「魔術ね。リュー君は火・風・闇のトリプルなのよね?」

「はい」

「私は水と回復魔術だしね〜。どうしましょう?」

「それじゃあ、回復魔術を見せてくれませんか?あまり見たことないので」

「それだと、リュー君に怪我してもらわなくちゃいけないわ。そんなのいやよ。それより、闇魔術が見てみたいなー」

「そんなに面白いもんじゃありませんよ?見たいってんなら、見せますけど」

そう言って、俺とノエルさんは訓練場に向かった。


訓練場に着いたら、早速闇の魔術を見せることになった。

「・・・っていうか、人多くないですか?」

「闇属性は珍しいからねー。何を見せてくれるの?」

「そうですね…。それでは、ダークウェーブを」

的を用意し、周りの人に離れてもらう。そこから無詠唱でダークウェイブを放つ。

ゴウッ!と黒い魔力が波うって的に向かっていく。木で出来た的はダークウェイブを正面からくらって、直に吹っ飛んでいった。

「これが、ダークウェイブです。あまり使い道がないですけどね。致死性もないので」

人がまともにくらったら、危ないけどな。牽制には使えるかもな。

「そうなの?けっこう凄そうな魔術だけど」

「火の魔術のほうが、攻撃性があるので。闇の魔術は、相手を狂わせるものですから」

「ノエル先輩の魔術も見せてくれませんか?」

「私の?そうね・・・こんなのはどうかしら?」

ノエルさんが手をかざし

「ウォータースピア!」

と唱えると水で出来た槍が数本発生し、的に向かって同時に撃ちだされた!

ドドドッ!と的に槍が突き刺さり穴だらけになった。

「どう?水の魔術もけっこう凄いでしょ?」

「はい、ノエル先輩は複数制御もできるんですね」

「ふふふ、ちゃんと勉強もしてるのよ?次はリュー君の番よ。風の魔術を見せてくれる?」

「はい。それじゃあ」

サンダーランスを、また無詠唱で発動する。6本作り手を的に向けて振ると、高速で飛んでいきぶっ刺さった。槍が刺さったところは、焦げている。

「速いのねー。さすが雷ってところね」

「ええ、使い勝手のいい魔術です。熱を持っているので、焼き刺すこともできますからね」

「やっぱり、トリプルは凄いのね。いろんな魔術を使うことができるし」

「そうですね。風魔術は便利ですよ。風での補助とかも出来ますから」

「良いわねー。私もそのくらい才能があったら良かったのに…」

「けど、使える魔術が多いと訓練するのも大変ですから。闇の魔術は習得するのが難しいですし」

「贅沢な悩みねー」

「ノエルさんも十分才能があると思いますよ?二年生でそんだけ出来るじゃないですか」

もっと訓練したら、もっともっと強くなれそうだしね。

「嬉しいことを言ってくれるじゃない。そんなリュー君はなでなでしてあげるわー」

ノエルさんに頭を撫でられる。この人といると、俺が10歳だったと思い知らされるな…。

この日から、たまにノエルさんと勉強をすることになった。



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