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中ボス戦


朝になりました。あの後はずっとノエルさんに抱かれていた。

この演習の期限は今日の正午までなので、その時までは課題を行ってもいいことになっている。

「それじゃあ、今日も元気に猿を狩ろう!」

「頑張ろう、リュー!」

「はい!頑張りましょう!」

「ええ、出来るだけ狩りましょう」

「ああ、今日はしっかりやるぜ!」

みんなも張り切っている。

「俺たちは今日も見てるな」

「・・・ガンバ」

「怪我をしないようにねー」

先輩方は今日もついてくるようだ。恥ずかしいとこを見られない様に頑張りますか!



「お、いたな」

森を進むこと十数分、アランが早速猿を見つけた。それじゃあ、落としますか。

ウィンドボールを強めに撃つ。猿が地面に落ち、アランがすぐに接近して片付ける。一丁上がりだな。

アランが猿を倒した直後、突然森の中に「ギャア!ギャア!」と甲高い声が響きわたる。この声は、猿か!?

声は森の中に響いていく。どんどん声が大きくなっていく。

「な、なんですかこの声!」

「みんな、離れるな!お互いに背中をカバーしろ!」

リカルド君の声で、みんなが輪になる。が、俺はみんなから少し離れた場所に立っている。

「リュー、何してるの!早くこっちに来て!」

ビアンカが珍しく焦った声で、俺を呼ぶ。けど、

「みんな、そこから動かないでね」

体の中の魔力を練っていく。既に人刃一体まで持っていっている。

森の中から視線を感じる。なにかが俺を見ている。おそらく、猿たちのボスだ。かなりの数を殺ったからな。

すると、

ダン! ザン!

「く!」

ボスが飛び出し、ギィン!と剣とボスの爪が交差する。ボスは全長1mくらいの大きな爪と緑色の体毛を持った猿だ。

「ギイアア!」

とボス猿が俺に飛びかかってくる。右に躱すが、猿はそのまま森の中に入ってしまった。くそ!奇襲してくるつもりか。

剣を構えて奇襲に備えていると、後ろから大きな魔力が高速で俺に迫ってくる!

「せあ!」

とボスの攻撃をしゃがんで躱しつつ、剣を斬り上げる。

「ギャア!!」

ボスが悲鳴をあげる。後ろでボスが着地し、俺はボスの方を見る。ボスは胸に斬り傷があるが、浅い。

「ギャウ…」

ボスが顔を真っ赤にして俺を睨む。どうやら、俺に傷つけられたことが悔しいようだ。

「おいおい、そんなもんか?とんだ雑魚猿だな。他の奴のほうがまだ骨があったぞ?」

かるく挑発してやると

「ウギャア!」

と突っ込んできた。言葉の意味が分かったのか?・・・違うな。俺の態度で馬鹿にされたと感じたんだろう。

頭に血が上って突っ込んでくる猿ほど、やりやすい相手はいないな。

風装を使い足に風を集め凝縮する。一気に爆発させ、次の瞬間ボスの後ろで剣を振り切っていた。瞬動はなんとかできるか。コントロールもムズイし、時間もかかるけど。

剣についた血をふるい、鞘に戻す。うしろでドサッっとボスが倒れる。瞬動で横を通った時に、そのままの勢いで腹を斬った。

ふうと息をつく。けっこう集中してたな。こんくらいの相手なら、魔術を使わなくても問題ない。

「リュー、何してるのー!!」

「ごはぁ!」

レアにタックルをされ、まともに腹にくらう。い、息が…。

「もう心配させないでって言ったのに!」

「ご、ごめん。でもあんくらいなら、大丈夫でしょ?」

「大丈夫じゃない!心配させるなっていったでしょ!」

思い切り怒られる。心配しないと思ったんだけどなー。

「もう絶対こんなことしないでよね!分かった!?」

「・・・はい」

レアは俺を正座させ、腰に手をあてて怒っている。かわいい。

『リュー(君、さん)…?』

あ、みんな来た。おでこに青筋がたって、怒り心頭だなー。

「え、えっとね?これには深い訳が」

みんなの方に行こうとしたら

『正座』

「・・・はい」

その後、二時間は怒られていた。みんなが交互に怒るのを交代するから、全然休めなかった…。



「点呼は終わったか!?」

『終わりました!全員います!』

「よし!それでは、課題の物を担任の先生に渡せ!課題の紙も一緒にだ!」

ボスを倒してから数時間、演習が終わり生徒は森の入り口に戻っていた。まだ足がしびれてる。

俺たちが集めた猿の尻尾は60本、きりが良い数字まで集められた。多いのか少ないかは分からない。ボスを倒した後は、あんまり集められなかったしな。

サン先生の前に並ぶ。待っている間にみんなが集めた物を見てみる。

「牙に皮に、キノコ。お、あそこは蜘蛛の脚かな?」

「いろいろあるのね…。私たちは良い方だったのかしら?」

「あそこみたいな、何かの目とかよりはマシですよ…」

目って…。何に使うんだろ?

「お、リュー君たちだね。それじゃあ、紙と物を見せて」

順番が回ってきたので、紙を見せる。

「フォレストモンキーの尻尾か。大変だったでしょ。どんくらいとれたの?」

「60本です」

「へぇ〜…」

尻尾を渡しながら答える。何か気になる反応だな…。

「少なかったですか?」

「ううん、大丈夫だよ。お疲れさま」

少なくはなさそうだ。結構猿はいたから、とるの自体は簡単だった。素早いって言っても拘束すれば問題ないしね。

「あ、そうだ。こいつはどうしましょう?」

ボス猿をだす。周りにいた生徒たちがギョッとしている。どうかしたのか?

「うーん…。一応僕にくれる?帰ったら返すから」

「いえ!いりませんから!あ、でも爪と皮はください。肉はいりません」

「猿の肉は食用じゃないけどね…。分かった、帰ったら渡すよ」

こいつは魔力を爪に集めて攻撃してきたから、爪になんかありそうだ。

そうした後、馬車に乗り込み学院に帰った。帰りの馬車も詰め詰めだった。



〈side サン〉

演習が終わって、学院に帰ってきました。相変わらずあの馬車は狭いですね…。

帰ってもまだ先生の演習は終わりません。夜の学院で課題の物を集計し、成績をつけなければいけません。

「大変そうね。私は担任だけはしたくないわ」

「エリザ先生、いたんですか」

「宿直なのよ。それで、今年の一年生はどう?」

「まあまあですね。そこまでひどい子はいませんよ」

「それは良かったわね。それでリュー君たちは?」

「リューテシア君ですか?どうして?」

「レアちゃんとかを前に見てたのよ。そこで知り合ってね。私、リュー君に警戒されてるから」

リュー君に警戒されるって、何をしたんでしょう?

「えっと、リュー君たちのグループはフォレストモンキーの尻尾ですね」

「ふーん、何本集められたの?」

「60本です。多いですよね」

「あら、あの糞猿の尻尾を60本も。よくやるわね」

フォレストモンキーに何か恨みでもあるのでしょうか?

「それと、首領(ドン)も倒していましたよ」

「そう、まあリュー君ならそんくらいできるでしょ」

「ずいぶんと買っているんですんね。リュー君のこと」

「あの子の本気を見たら、あなたもリュー君を見る目が変わるわよ」

本気ですか。あの子の本気は魔術でしょうね。

「あ、魔術じゃないわよ。魔術もすごいけど、剣術も相当よ」

「心を読まないでください。剣術ですか…。見てみたいですね…」

「簡単には見せくれないけどね。リュー君自身見せたくなさそうだったし」

「何ででしょう。力は見せるものでしょう?」

「怖がられたくないんじゃないの?リュー君の周りには、変わった子が集まっているしね」

「それが何で怖がられたくないと言うことに?」

「周りがすごかったら、自分が目立たなくなるでしょ?」

「ああ、なるほど」

そういうことなんでしょうか?

「まあこれは私の推測だから、本当のところは聞いてみないとわかんないけどね。じゃあ、がんばって」

そう言ってエリザ先生はさっていきました。私も早く終わらせますか。


リューは基本無敵です。

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