師匠
最始は早め。
俺は今扉の前に立っている。この中には、俺の技の師匠 熾天使セラフィム様がいる。ふぅ、とひと息ついたあと
トントン
「失礼します」
「お入りなさい」
ギィ と扉が開く。扉を開けるとそこには長い金髪を下でまとめた碧眼の美女が座っていた。俺の師匠だけどね。
俺は、扉から数歩歩き跪いた。
「天使長市野 一誠 ただいま参上いたしました」
「立ちなさい」
俺は立ち上がって目の前師匠を見た。
「あいかわらず固いわね。二人きりのときくらいもう少しくだけてもいいんじゃない?」
「師匠〜。誰が見てるかわかんないんですよ。最初くらいはマジメにやってください」
「大丈夫!そんな奴ら私が潰してあげるから♪」
「はぁー」
これが俺の師匠、愛と焔の天使セラフィム。見た目はおしとやかっぽいけど中身はバイオレンスな人だ。
「酷いわね、バイオレンスなんて。全部愛弟子のためと思ってやってるのよ?」
「…ありがとうございます。けど心は読まないでください」
「素直でよろしい。一誠のそーゆーところ好きよ」
「・・・」
「照れちゃって。かわいいわねー」
はぁ。この人には一生かなわないな。
「で、なんの用ですか?」
「用って、それはあなたと会うことよ」
「冗談ですよね?」
「冗談なんて!そんなひd」 「冗談デスヨネ?」ニッコリと笑う一誠。 目が据わっている。
「冗談よ。そんなに怒らないで」
「怒ってません」
あいかわらずお茶目だ。そっぽ向いてやる。
「まぁいいわ。そういえば一誠、あなた異世界に転生したかったのよね?」
「なんです藪から棒に。そりゃ転生したかったですよ。もう無理ですけどね」
「もし出来るとしたらどうする?」
「…はい?」
思わず師匠をみる。目つきからして冗談じゃなさそうだな。
「そのまんまの意味よ。転生したい?」
「…詳しく説明してください」
「もちろんよ。担当者がいるからそこに行きましょ」
師匠に連れてこられたのは、人事課。新しい天使の選出や、異動を取り仕切っているとこだ。
「師匠、なんで人事課に」
「この人が説明してくれるわ」
そこにいたのは、
「…この人?」
「…この人のはずなんだけど」
見事に真っ白に燃え尽き口から魂が飛んでいきそうな人事部長だった
「いやー、ありがとねー魂戻してくれて。あのままだと天に召されるとこだったよー」
「そ、それはなにより」
部長の魂を口の中に戻してしばらくしたら戻ってきた。
「でも君がどうしてここにいるんだい?箱庭だろ」
「言ったじゃない。転生候補を連れてくるって」
「あぁー!そういえば君言ってたね。転生できないんですかって」
「えっと、そのことについて説明してもらってもいいですか?」
「うんりょーかい。じゃあ」
ここからは長いので要約せせてもらおう。
俺に転生してほしいというのは、世界に大きな影響を与える人間を育ててほしいらしい。世界という物は生き物に似ていて、ある程度の刺激を与えてやらないと発達しないらしい。んで、刺激を与える人が必要になってくるわけだがそう都合よく現れるとは限らない。そこで天使が転生して、英雄を育てるわけだ。
「でもこういうこと自体あんまりおきないし、みんなまた人生やり直すとか面倒臭いとか言って誰も行ってくれないんだよ。それでセラフィム様に誰かいませんかって聞いたら」
「一誠が異世界に転生したいとか言ってたなーって思い出して」
「白羽の矢がたったわけですか」
そゆことと師匠が言うのを聞きつつ、聞かなきゃいけないこと考える。
「その世界の名前ってなんていうんですか?」
「イグナシア。剣と魔法のファンタジーな世界だよ。魔物とかもいるけど、これといった危機はないね」
「知的生命体はどういった種族がいるんだ?」
「一番多いのが、ヒューマン。君みたいな人間だね。次に多いのがビースト。人間に動物の耳や尻尾がついたやつ。獣人って言われて身体能力が高いけど、魔法は得意じゃないかな。ビーストは蔑称だから言わないように。あと、エルフとドワーフが同じくらい。エルフは、精霊と会話できて、ドワーフは手先が器用。一番少ないのが、ドラグーン。竜の角と翼、尻尾があって鱗も所々にあるよ。身体能力は、獣人より高く独自の魔法も使う強力な種族だね。人口比は、大体4:2:1.5:1.5:1くらいかな」
「あら?そんなこと聞くなんて行く気マンマンね。部長も行くかどうかわからないのに、そんなこと教えちゃっていいの?」
「大丈夫ですよ。テンプレだから」「テンプレですね」「そういうものなのかしらねー」
「で、どうなの?いくの?」期待に満ちた目で聞いてくる。 断り辛!
「どうすんのー」ニヤニヤして師匠が聞いてくる。 面白いがってんなこの人!
あーもう!「行きます!」
「よっしゃー!ありがとー!」「頑張りなさいよ」なんか乗せられた感じだなぁ。
「よし!行こう!早速行こう!」ノリノリな部長さん。
「すいません。部下に引継ぎとしたり、友人にも挨拶したいんで明日にしてもらっていいですか?」
「ああ、そうだね。わかった じゃあ、明日ね。書類とかまとめてくるからー」と走り去っていく部長。
ずいぶん元気になったもんだな。
「じゃ、私も行くわ」
「もう行くんですか?」
「ええ。一誠も気をつけてね。修業やめんじゃないわよ。バイバイ」と言って、師匠が消えた。 転移か。
さて、俺も行くか。
「はー。転生っすか。大変っすね先輩も」「その世界に行っても、体調には気をつけてくださいね」
「おう。お前らも俺がいなくなった後もちゃんとやれよ。今度からはお前らが上に立つんだからな」『了解です(っす)!』
仲良し姉弟のとこにも行くか。
「そういうわけで、しばらくいなくなるわ」
「そうですの・・。ならこれを渡しますわ」と言って蒼い鱗を渡すリア。って、
「これってお前の鱗じゃねーか!いいのかよ渡しちゃって!」
「いいんですの。必要になったら使ってください。できればとっといて欲しいですけど」少し頬を赤らめて言うリア。かわいいな畜生!。
「んじゃー俺もやるよ。ホレ」と何か小さい欠片を渡すベス。
「これは?」「爪だけど?」「汚ね!」ヒューン キラン☆「アー!!なにすんだよ!勿体無い!」「汚ねーよ!なにすんだこの野郎!」ダッシュで取りにいくベス。\
リアは半眼で呆れたようにこちらを見ている。
「汚くないんだな?」
「汚くないって!昨日は風呂入ったし」
「わかった。使うときはこっちを先に使うようにしよう」
「...態度がちがう」
ベスが、ぶつくさ言ってるけどどうでもいい。
「そんなことよりイッセー!しばらく会えないなら相手してくれよ」
「えー。やだよ」「いいだろ!一回だけ。頼む!」頭をさげるベス。
「…全く。分かったよ。一回だけだぞ?だから頭上げろ」
「うっしゃー!ありいがとないっせー!」
「はぁベスったら。悪いわね一誠」
「別にいいよ。さて、やるからには頑張るか」
ベスとはしばらくできそうにないからな。いっちょいいとこ見せるか!
長くなりそうなので分割します。
次話は早めに出します。
出して欲しいキャラの案などがあったらおくってください。