10歳になって
いきなり5年飛びます。
魔術を考えるのは、本当に大変です。
10歳になったぜー!
あれからは、複数制御を中心に訓練していったのであまり新しい魔術を覚えてない。上位互換の魔術は覚えたけどな。
火の魔術では、「フレイムバレット」「フレイムバリスタ」「エクスプロージョン」「フレイムジャベリン」それぞれ上位互換だ。
あと、「バーニングフレア」半径10mくらいを火の海にする魔術。俺は熱くない。「レーザー」細い熱線を飛ばす魔術。
風の魔術では、「ゲイルバレット」「ゲイルスライサー」ここまでは上位互換。「サンダーランス」雷の槍を放つ魔術。「フライ」空も飛べるはず。「ライトニングボルト」落雷を発生させる。「サイレント」風で音を抑える。雷は難しい。
闇の魔術では、「ナイトメア」悪夢を見させる魔術。「シャドウバインド」影で出来たロープで敵を拘束する。「チャーム」かけた相手を魅了する。全く好意がないと効かない。気軽に使うなと書いてあった。「ダークウェイブ」闇の波動を放出する。や○のは○うみたいな感じ。闇の魔術は難しい。
・・・ゲオルグさんから貰った本にのってる魔術が、ここからだった。難しいよ!成長したけどさ。
レアは身長が130cmまで伸び、体つきも少し丸くなってきた。髪は背中あたりまで伸び、角も結構見えるようになってきた。尻尾も伸びて、スカートに専用の穴を開けていた。かなり強くなり、剣だけの勝負だと人刃一体を使わなければ勝てなくなった。本当に強くなったな。
シャネルちゃんは140cm近くまで身長が伸び、スレンダーな美人さんになってきた。シャネルちゃんも強くなり、魔術を使わなきゃ勝てない。最近よくレアと勝負している。
ビアンカは6歳の時にランクアップし、喰鬼になった。しゃべれるようになったので、意思の疎通が楽になった。魔術もだいぶ使えるようになり、戦闘でも使っている。元々喰鬼は、魔術系のステータスは低いのだが生前の影響で物理攻撃もできて魔術も使えるグールになり、かなり強い。敵を自分で倒せるようになったしな。
そんな俺は、今なら焰纏が出来るんじゃないか?と思いやってみることにした。あまり見られたくないので、森の広場で試すことにした。
森の広場についたら、早速やってみる。まずは身体強化魔術の魔力を練る。次に練った魔力を火属性に変換する。そのまま、身体強化魔術を発動する。すると、
ボウッ!
と体が赤い炎につつまれる。熱くないな。赤い?白くないのか。温度が全然足りないな。こんなちゃっちいモンじゃ、焰纏なんて呼べないな。
そうだな、火装とでも呼ぼうか。要訓練だな。せめて蒼くしたい。
とりあえず剣を握る。剣は火を纏わない。人刃一体を使う。火がつく。人刃一体を使わないと、剣にはつかないのか…。もっと魔力を増やさなきゃ。
剣を木に向かって振る。ザンッ!と斬り後がつく。いつもより深いな。筋力がより強化されるのか。他の属性も試してみるか。
今度は、風の魔力でやってみる。体に風が纏う。足の方に集まってるな。ダッシュすると、いつもより速くなっている。こっちは素早さが強化されるのか。闇もやってみよう!
闇の魔力でやると、体が黒い靄で覆われる。剣を振ったり、ダッシュしても特に変わってない。闇は何が強化されるんだ?
闇の魔術は相手を狂わす魔術。それなら、・・・状態異常耐性か?試しようがないな。今度、闇の魔術を使える人に会ったら試すか。
風の強化は、風装。闇は影装でいいかな。別に名前なんてつけなくてもいいんだけど、出来るようになったらかっこいい名前つけたくなるじゃん。なんない?そうかな?
その後は、出来るだけ長く発動し続けられるように維持する練習をしていた。
「リュー、今度の春から学院に行くぞ」
「学院?」
昼食の後、遊びに来ていたシャネルちゃんもいっしょに親父に呼びだされた。何でも10歳の春から、王都にある学院にいくらしい。
学院の名前は、シュバルツ王立学院。この国がシュバルツ王国だからだ。国の説明は、また今度。
学院では、身分が「生徒」で統一される。貴族も平民も関係なく、徹底的にしごかれるらしい。これは、子どもの内に精神を鍛えて将来腐った貴族にならないようにするためのようだ。この学院を建てたのは、前国王だ。学院ができた頃は、かなり貴族から反発があったらしいが学院の卒業生が政界に入ると、一気に減ったのだと。腐れ貴族が賄賂とかで取り込もうとしたらしいが、逆に潰されたらしい。なのでこの王国は今、歴史上で一番安定した政治を行ってる。国王は「賢王」と呼ばれていて、前国王の意思をついで立派な王になったようだ。まあ、腐っている奴はいるがな。
こういう学院なので、授業はかなり厳しいようだ。軍隊みたいな感じかな?小・中・高学年に別れていて、一学年は3年。飛び級もありだ。俺はしないけどな。10歳から、王国民なら希望すれば誰でも入れる。卒業後は、軍・宮廷魔術師・政界が主な就職先らしい。他の職につく人もいるけどね。
「お姉ちゃんは何で去年に入学しなかったの?」
「え!?えっとそれは…」
「リュー達といっしょに入学すれば、伯爵の後ろ盾がつくだろ?」
そういうことか。俺と同じ学年になりたい、とかだったら嬉しかったんだけどな。
「そう!そうなのよ!」
シャネルちゃん、俺のライフはもうゼロよ!
「それでな、4月に入学試験があるんだよ」
「え?希望すれば誰でも入れるんじゃないんですか?」
「落とすための試験じゃなくて、クラス分けする時に使うんだ。得意なこと別にクラスを分けるんだ」
「へぇー」
「武術や魔術、商売などで分けられているんだ」
特技を伸ばすのか。
「けど、魔術と武術を両方やりたい人はどうするんですか?」
「ああ、クラス分けって言っても授業は自分で選ぶんだ。だから、問題ない。最初の年は選べないけどな」
大学みたいだな。
「それで、リュー達は行きたいか?行きたく無いなら、無理強いはしないが」
「僕は行きたいです。ちゃんとしたところで、剣や魔術を学びたいですし」
「リューが行くなら、私も行く」
「私は、リューのお姉ちゃんだからね。いっしょに行くわ」
みんな行くみたいだ。
「そうか。それじゃあ、来月までに準備しとけよ」
入学試験か。どんなことをするのかな?
「学院ねぇ。そんなものが出来たのね」
俺の部屋に戻って、ビアンカに学院に行くことを伝えた。ビアンカの生きてたころには、無かったのかな?
「無かったわね。第一、平民に魔術を教えるなんてもってのほかよ。力は、秘匿するものよ」
技術の漏洩は、敵を強化するしな。
「そういうことよ。けど、私の生きてたころにそういうところがあったら、私も殺されなかったかもね」
「・・・そうだね。ビアンカもいっしょに行く?」
「当たり前じゃない!あなたがいなかったら、私は飢え死にするわよ!」
まあ、そう言うと思ってたよ。
ビアンカは、俺の血しか飲めないらしい。しかも俺の血を飲んだ後は、様子がおかしくなる。ビアンカ曰く
「あなたの血を飲むと、その・・・気持ちよくなるの…」らしい。
麻薬みたいな効果があるのかな?
「それよりも、次は何に存在進化するの?」
「さあ?ゲオルグさんに聞かないと。それに、まだまだ時間がかかるだろ?」
「そうだけど…。早く時空間魔術を使えるようになりたいの」
「そういえば、使えたね。どんなのか見てみたいな」
「そうでしょう?だから早くランクアップするわよ!」
まったく…。血を飲んでる時との落差が激しいな。
ビアンカのランクアップ先か。学院に行ったら調べてみるかな。