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存在進化《ランクアップ》

ヒロイン登場!



「そういえば、お主闇以外にはどの魔術が使えるのじゃ?」

ゲオルグさんについていくと、周りに本がない広い場所に連れてこられた。ここで魔術の訓練をするのか。

「風と火ですけど」

「どんなのが使えるのじゃ?」

「火は、ファイア・ファイアボール・ファイアアロー・ボム・ファイアランス・ファイアバースト」

「風は、ブリーズ・ウィンドボール・ウィンドカッター・サンダー・サンダーアロー・トルネードです」

「火はいいとして、風はなんじゃ。攻撃系ばっかではないか。誰が教えたんじゃ」

「母様ですけど」

「ファイーナか。偏った教え方をしよって。・・・まったく専門ではないというのに。リュー、これからお主に風の補助魔術を教える」

「どんなのがあるんですか?」

「そうじゃな。んー、エアクッションとフロートあたりかの」

名前からして風のクッションをだすのと、物を浮かす魔術かな?

「エアクッションは、風の障壁を出して衝撃をやわらげる魔術。フロートは、物を浮かす魔術じゃ」

予想どうりだな。

「と言っても、フロートはあまり重い物は浮かす出来なくて、もっぱら重さを軽減させるために使われとる」

「じゃあ、まずはエアクッションからじゃ。やってみ」

よし。エアクッションは、風の障壁だったな。風の壁をイメージして

「エアクッション!」

すると、目の前に横1m・縦3m・奥行き30cmくらいの壁ができた。手を入れようとすると、押し返される。

「成功じゃな。次はフロートじゃな。この本でやってみるのじゃ」

そう言って取ってきたのは、何かの本。辞書くらいの大きさだ。

「はい!フロート!」

本が浮かんでいる光景を思い浮かべながら唱える。すると、本が目の高さくらいに浮かんだ。

「こんくらいは、浮かぶか。それじゃあ追加じゃ」

同じくらいの大きさの本を、浮いている本に重ねる。こんくらいなら、まだいける。

「どんどんいくぞ。ホレホレホレ」

ゲオルグさんが、どんどん本を重ねていく。だんだん下がっていき、10冊くらいで床についてしまった。

「最始はそんなもんじゃろ。使い続ければ、もっと重いものでも浮かせられる」

最始はこんなもんか。エアクッションは、無詠唱で出来るようになりたいな。いざという時に便利そうだ。

「それじゃあ、実戦にうつろうか。蘇人(ゾンビ)にしたいんじゃよな」

「はい」

「なら早速、魔獣を倒しに行こうかの」

と言って、ゲオルグさんは扉に向かった。



俺たちが向かったのは、王都から少し離れた森だ。木が鬱蒼と茂っている。

「お主、戦闘は初めてじゃろう。ワシが見てるから、一回戦ってみ」

そう言われたので、俺とビアンカは森の中に向かった。

俺は、一応剣を持ってきている。真剣で素振りをするために、親父から一本もらっていた。持ってきてて良かったな。

ビアンカは特に何もいらないらしい。魔術が使えるのかな。

しばらく進んでいくと、ガサガサと藪から音がしたので剣を構える。藪の中から、

「ギギィ?」

と緑色の肌をした、俺と同じくらいの大きさの小さいツノがはえた醜い小人がでてきた。

・・・ゴブリンかな?思ってた通りの見た目だな。

ゴブリンは、腰に汚い布を巻いただけの格好で、棍棒を持っている。すると

「ギャッ!ギャッ!」

と興奮したように鳴いて、棍棒を振りかざしてこっちに向かってきた。だが、

「フッ!」

と息を吐きながら、棍棒を持っている右手を一息で切り落とす。

「ギャーー!グギィ!」

悲鳴を上げたら、怒ったように殴ろうとしてきたので、

「セイ!」

と左手も切り落とす。

「グギャーー!」

と逃げだそうとするので、追いかけ両足を切り逃げられないようにする。

「ほら、ビアンカ。トドメをさして」

とビアンカに言うと、ビアンカはゴブリンに近ずいていき首を折って殺した。

ん?別に生き物を殺すことに、躊躇いなんてない。500年も生きてたら、流石に価値観も変わる。ビアンカを強くしなきゃいけないんだから、殺さなきゃいけない奴は殺すよ。

次に見つけたのもゴブリンで、今度は三匹だった。相手が動き出す前に身体強化をし、一気に距離を詰めて左側の奴の足を切る。

二匹から棍棒が振られるが、左に避けそいつの足も切る。最後の一匹を殺ろうとしたら、水の玉がそいつを吹っ飛ばした。

ビアンカを見ると構えてた手を下ろして、手を必死に動かして逃げようとしているゴブリンたちに、トドメをさしていった。

その後、15体くらいのゴブリンを倒してその日は王都に帰った。





それから10日間は、魔術を練習しては森へ行ってはゴブリンを倒す毎日だった。流石に10日間じゃ、闇の魔術を一つ練習するので終わってしまった。エアクッションとかフロートがすぐに覚えられたのは、あの魔術自体はそれほど難しいものではなく、使いこまなきゃあまり効果が大きくないからだ。

今回俺が覚えた魔術は「チェンジシャドウ」影の形を変えたり、尖らせて棘にみたいに物質化できる便利な魔術だ。と言っても、今のままじゃちょっと形を変えたりしか出来ない。物質化なんて夢のまた夢だ。

最後のほうになると、パラライズミストを使ってゴブリンたちを痺れさせて、その隙にビアンカが倒すということを繰り返した。

ほとんど流れ作業みたいになってたな。ビアンカは骨だから、パラライズミストは効かないし。

レアもある程度は、竜化魔術を使えるようになったようでおれに見せてくれた。手にちょっと鱗がでてきて、力が上がっていた。

シャネルちゃんもダンさんに悪い所を直されて、動きに無駄がなくなってキレが良くなっていた。

ロキはもう皇国に帰ってしまい、帰る前に「絶対に先輩のことは忘れないっす!」と言いにきてくれた。いい奴だなー。

俺は今日もゲオルグさんに会いに、図書館に向かっている。入口からゲオルグさんがいる部屋までの道も、すっかり覚えてしまった。

いつも通りドアノッカーでドアを叩く。

「ゲオルグさーん。リューですよー」

ドアが開いたので、部屋の中に入る。

「リューも、今日でワシから教わるのも最後か。ビアンカはランクアップしそうか?」

「そんなに早くランクアップってするもんなんですか?」

「しないな。聞いてみただけじゃ」

何で聞いたんだ!

「それじゃあチェンジシャドウをやってみ」

俺は、チェンジシャドウを発動させる。影の形を変えるようにイメージする。大きくしたり、小さくしたり。丸くしたり、四角くしたりといろいろ試してみる。

「物質化も試してみるのじゃ」

とゲオルグさんのアドバイスにより、影から棒がでるように念じる。だが、凸るだけで棒にはほど遠い。やっぱり上手くいかないか。

「そう簡単にはできんよ。帰っても練習を続けることじゃな」

その後、俺の魔力が切れるまで魔術の訓練を続けた。


魔力が回復するのを待ってから、森に出かけた。今日も作業ゲーか。

しかし、今日に限ってゴブリンが見つからない。おかしいな、いつもは向こうから来るのに。

しばらくうろついても、出てこないので一旦戻ろうとするとした時に、後ろから音が聞こえた。

ようやく来たかと思って振り向くと、そこには

「グルゥ」

いつもより大きくてムキムキで、キバとツノも大きいゴブリンが出てきた。

すぐに臨戦体制を整える。こいつは、ちょっとヤバイな。突然変異か?

「ビアンカ、下がってて。こいつは少し危ない」

ビアンカを下がらせる。殺させたくないしな。

ビアンカは、言われた通りに下がってくれた。良かった。下がらなかったら、無理矢理下げなきゃいけないし。

剣を両手で構える。身体の中で魔力を練り上げる。

デカゴブリンが右手で殴ってくる。一歩引いて躱す。からぶった右手は、木に当りその木はメキメキといいながら折れた。

力強いなー。当たったら死ぬな。当たらなきゃ意味ないけど。

デカゴブリンがブンブン腕を振るう。なかなか速いけど、それだけだ。こんなの当たらない。

俺はまだ子どもだけど、身体強化でそこそこ速く動けるし力だって強くなっている。負ける要素がないな。

腕を躱しつつ、少しずつ切っていく。デカゴブリンの体に小さい傷が増えていく。

これなら、持久戦で勝てるだろうけど時間がかかるな。少し挑んでみるか。

一旦デカゴブリンから、距離をとる。向こうもこっちの様子を見ている。

ふぅ、と一息ついて魔力を腕に集める。剣と腕を繋ぐように魔力を通す。強化術 人刃一体。

こうすると、まさに剣を腕の延長のように扱うことができる。剣に魔力を通すから、剣の強度も上がる。

剣を腰ダメに構える。デカゴブリンは、俺を見て突っ込んできた。攻撃される前に潰す気なんだろ。

剣により魔力を込め、横に振ると同時に魔力を解放する。すると、

ヒュン ズバ!

斬撃が飛んでいき、デカゴブリンの両足を切断した。人刃一体を使ってれば、このように飛ぶ斬撃が出せる。

「ふぅ」

問題は、魔力の消費が多いことだな。こんなんじゃ焔纒なんていつになったらできることやら。

デカゴブリンの両腕も切っておく。暴れられたら危ないしな。

「ビアンカ、もういいよ」

ビアンカが出てきて、デカゴブリンのほうに向かう。一応、頭を押さえておく。

ビアンカは、魔術で氷柱を作りデカゴブリンの首に刺した。デカゴブリンはしばらく抵抗していたが、やがて息絶えた。

「はぁ。今日は思ったより疲れたな。もう帰ろうか」

とビアンカに言ったとき、ビアンカが光り始めた。カッ!と強く光り思わず目をつぶる。目を開けるとそこには、


金髪の美女が裸ローブで立っていた。




ようやく家に帰れます。

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