ん
更に時は流れて、2019年。
ミニ四駆は、未だブームという言葉からは遠い場所にいた。
しかし、かつてのブームとは違う形で生まれようとしていた。
かつて熱狂の中心にあった子どもたちは大人になり、子どもと一緒にミニ四駆を楽しむ。
大人はあの頃を思い出し、子どもに夢を託す。
昔の車種を見た時。
古いシャーシを手に取った時。
あの音を思い出した時。
そんな夜に、またひとつスレが立つ。
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【ミニ四駆やろうぜ板】
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【名無しさん@ミニ四駆】
こんな時間にスレ立て
ジャパンカップ4連覇したユウって、マジで何者だったんだ?
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【名無しさん@ミニ四駆】
またその話か、いい加減にしろ!
でも嫌いじゃないw
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【名無しさん@ミニ四駆】
俺、96年の東京ビッグサイト行った
人ヤバかった
押されて泣いた記憶ある
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【名無しさん@ミニ四駆】
俺、あの大会出てた。
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【名無しさん@ミニ四駆】
嘘乙
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【名無しさん@ミニ四駆】
ユウ=FMシャーシ
これだけで飯3杯いける
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【名無しさん@ミニ四駆】
今でもスパ1にFMで勝つの無理ゲーって言われてたのに
普通に勝ち続けてたヤベー人
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【名無しさん@ミニ四駆】
TVチャンピオンの96年回
ガチで円盤化してほしい
ユリちゃんのコスプレ回な
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【名無しさん@ミニ四駆】
ユリちゃんが出てるのは95年回
ジャパンカップのセーラームーンコスのやつも希望
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【名無しさん@ミニ四駆】
おまいら詳しすぎ
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【名無しさん@ミニ四駆】
俺会場でユウとコウスケ見た
コウスケ気さくな奴で少し話したよ
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【名無しさん@ミニ四駆】
ユウ派?
コウスケ派?
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【名無しさん@ミニ四駆】
両方
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【名無しさん@ミニ四駆】
コウスケだな
スプリングカップのあの優勝は神速度だった
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【名無しさん@ミニ四駆】
正直あの大会だけ切り取ると
瞬間最大風速はコウスケの方が速かったと思う
ユウが隣にいなかったら
もっと評価されてたはず
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【名無しさん@ミニ四駆】
分かる
ユウは化け物
コウスケは一発の破壊力
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【名無しさん@ミニ四駆】
レーススタイルはコウスケの方が好み
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【名無しさん@ミニ四駆】
結局、ユウってなんで辞めたんだろ
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【名無しさん@ミニ四駆】
燃え尽きた説
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【名無しさん@ミニ四駆】
未来に帰った説
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【名無しさん@ミニ四駆】
お前それ言いたいだけだろw
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【名無しさん@ミニ四駆】
でも技術レベルだけ見ると
時代ズレてる感はあった
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【名無しさん@ミニ四駆】
今の上位勢のマシンと
96年ユウのマシン並べると
方向性ほぼ同じなんだよな
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【名無しさん@ミニ四駆】
当時、FMシャーシ売り切れたの
ユウの影響だぞ
ガチで
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【名無しさん@ミニ四駆】
買った
負けた
泣いた
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【名無しさん@ミニ四駆】
でも楽しかったろ
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【名無しさん@ミニ四駆】
マジあの頃に戻りたい
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【名無しさん@ミニ四駆】
赤FMシャーシ買ったやつ
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【名無しさん@ミニ四駆】
ノ
⸻
【名無しさん@ミニ四駆】
ノ
⸻
【名無しさん@ミニ四駆】
FM好きすぎw
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【名無しさん@ミニ四駆】
この前大会で、FM-Aにスピンバイパー載せた奴が優勝してたけど
まさかよね?
すんげー速かったけど
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【名無しさん@ミニ四駆】
え?いくつくらいの人?
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【名無しさん@ミニ四駆】
小中学生にみえたけど
ちなカラーは黒
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【名無しさん@ミニ四駆】
え
それガチ?
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【名無しさん@ミニ四駆】
FM-A
黒スピンバイパー
妙な一致だな
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【名無しさん@ミニ四駆】
ユウの子ども説ある?
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【名無しさん@ミニ四駆】
いやいや、さすがに考えすぎ
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【名無しさん@ミニ四駆】
でもユウの年齢考えると
子ども説は合うんだよな
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【名無しさん@ミニ四駆】
英才教育受けてたら
ああなってもおかしくない
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【名無しさん@ミニ四駆】
そんなこと言ったら俺だって
この前エアロアバンテ走らせてる子ども見たわ
コウスケの子ども説ってことになるのか?
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【名無しさん@ミニ四駆】
エアロアバンテはどこにでもいるわw
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【名無しさん@ミニ四駆】
もし、ユウやコウスケの子どもが
ミニ四駆やっててくれたら嬉しいな
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【名無しさん@ミニ四駆】
俺まだ結婚どころ彼女すら出来たことないけど
子どもが出来たらミニ四駆やらせるんだ
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【名無しさん@ミニ四駆】
がんばれ…
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【名無しさん@ミニ四駆】
実際親子連れのミニ四駆流行ってるよな
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【名無しさん@ミニ四駆】
にしても、そのバイパー気になるわ
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【名無しさん@ミニ四駆】
また始まるのかもな
あの感じ
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【名無しさん@ミニ四駆】
動画配信もSNSもあるから
見つかれば今なら一気に広がる
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【名無しさん@ミニ四駆】
ミニ四駆、まだ終わってないよな
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【名無しさん@ミニ四駆】
終わるわけない
ミニ四駆の面白さ舐めんな
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スレは静かに伸び続けていた。
書き込みは途切れず、熱を帯びていた。
スピンバイパーの持ち主の正体が誰なのか、
それを知る者はいない。
ユウの子どもかもしれない。
ただの影響を受けた誰かかもしれない。
だが、それはもう重要ではなかった。
ミニ四駆を愛する者たちは、
再び前を向き始めていた。
勝ち負け以外にも、
仲間と集まり、
一緒に笑いながら走らせる時間そのものに、
もう一度楽しさを見いだしていた。
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2026年。
オープンクラスで加速し続けた極限改造は、
なお進化を続けていた。
研ぎ澄まされた技術。
突き詰められた速度。
限界を追い続ける情熱。
その世界は、
今も確かに走り続けている。
そしてその一方で、
新たに注目され始めたのが、ストッククラスだった。
限られた改造、
限られた選択肢の中で、
どれだけ考え、工夫し、走らせられるか。
高価なパーツや、
複雑な加工だけでは決まらない。
子どもも、大人も、
久しぶりに戻ってきた誰かも、
同じスタートラインに立てる。
そこには
かつて、とある駄菓子屋のコースで盛り上がったあの頃の空気を感じることができる。
休日のコースに集まる子どもたち。
親の手を借りながら、
それでも自分でマシンを走らせようとする姿。
勝つためだけじゃない。
どうすればもっと速くなるのか。
どのパーツを選び、
どう組み合わせれば、
自分のマシンらしくなるのか。
考えて、
試して、
走らせて。
うまくいった時は、
誰かに見せたくなる。
同じコースを囲みながら、
一緒に笑い合える。
何よりも自分だけの特別なマシンがある。
そんな理由で
ミニ四駆がまた選ばれ始めているのかもしれない。
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伝説は、過去に置いていけばいい。
名前は、語り継がれなくてもいい。
コースがあり、
マシンがあり、
それを走らせたいと思う誰かがいる限り。
ミニ四駆の物語は、終わらない。
そして今日もまた、
どこかで新しいスタート音が鳴っている。
ここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。
この作品は、自分の「書きたい」をただひたすら詰め込んで書き続けてきた物語でした。
実際のミニ四駆とは異なる改造や技術描写なども多々あったかと思いますが、フィクションとして楽しんでいただければ幸いです。
この物語を通して、あの頃の思い出や熱を少しでも感じていただけたり、皆様のこれからのミニ四駆活動の活力の一部になれていたなら、作者としてこれ以上嬉しいことはありません。
改めまして、最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました。
そして――
短編のスピンオフも始まります。
もしよろしければ、そちらもぜひよろしくお願いいたします。




