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ゼロハチ隊  作者: ななわ
4/4

3話

お手に取ってくださりありがとうございます!

「月からの志願者が1人しか居ない…!?」


これにはさすがのマーレ様もびっくりしたようだ。


「そうなのだ。


しかもそいつは…汝らもよく知ってるやつだ。」


「もしかして…。」


「ああ。汝ら予想している人物と同じだ。


このルナリースのことを非常に信仰し続けいている人間だ。


その信仰心を買ってルナリースが祝福を与えた人間よ。」


「イリス、ですか?」


マーレ様がルナリース神に言った。


「ああ、あのイリスよ。」


「イリスだけって凄いなぁ。」


…恐らく、イリスが他の志願者を全員こっそりと倒したのだろう。


月の中で最高峰の医者であり、ルナリースの熱烈な信者である残念なイケメンランキング常連のイリス。


金髪の長い髪に青い瞳を持っている、ものすごいイケメンだ。


イリスはその美貌と信仰の深さを活かしルナリースを信仰している月の教団を作り上げた。


だから月ではとても影響力のある人間の一人であり、それ故にマーレ様の一族、フィールナット家とも関わり深い人物だ。


その信仰心を認めルナリース神はイリスに祝福を与えたのだが…。


それはイリスにとって神に認められた、という最大の証拠であり最大級の幸福だった。


それからというもののルナリース神に認められた教祖として名を広げ、瞬く間に月での信者を更に集め、力を増していった。


流石にこれを危険視したルナリース神が聖書をわざわざ書き、それ以降活動自体は大人しくなっていった。


そんなイリスはルナリース神のことを考えなければかなり腕の良い医者であり、マーレ様と俺の幼馴染だ。


幼い頃から医者の家系として有名なイリスの一族は代々フィールナット家と交流を行っていた。


マーレ様が小学生くらいの頃から今に至るまでランチを食べたり、遊んだりなどを定期的に行っている。


ちなみに俺とイリスの関係は簡単だ。


俺が特殊な身体で作られているから、それを直せるのがイリスしかいないからという簡単な理由で仲良くなった。


俺とイリスは幼馴染ではなく友人として適度に仲良くしている感じだ。


けれどもイリスはマーレ様と同等の存在なので、あまり話したりとかは頻繁にはできない。


「イリスと汝らしか居ないとなったら、


予定している定員に満たしているので、


本来ならこのまま実技試験もせず異界探索隊員にするところなのだが…。」


「そうもいかないのですか?」


マーレ様はルナリース神に聞いた。


「そうなのだ。


これを神らに相談したのだが、他の神からは流石に試練は1度行うべきだと進言されての。


そう言われてしまってはルナリースはそうするべきだからの。」


ルナリースは地球の衛星なので他の惑星の神よりは少し権力が弱いのだ。


「かしこまりました。


このマーレ、必ずや試練を通過し異界探索隊に入ってみせましょう。」


そう言うマーレ様に俺は


「すみません、ルナリース神、お一つ質問してもよろしいでしょうか?」


「許す。」


「ありがとうございます。


神の慈悲に感謝を。


何故、私も同行せねばならぬのかお聞きしたいのです。」


ああ、とルナリース神は言い、


「汝は異界探索隊に行く方が良いからだ。」


と言った。


「…そうなのですか?」


「ああ。」


よく分からなかったが、とりあえず俺は


「わかりました。では、頑張ります。」


と言った。


「励むが良い。」


そう微笑みながら言い、ルナリース神は神殿の奥へと消えていった。


「ルナリース神、お帰りになられましたね。」


俺はマーレ様に話しかける。


「そうみたいだね、僕らも帰ろっ。」


俺とマーレ様は神殿の外に出た。


月のメインストリートへと俺たちは出た。


「にしてもイリスだけかぁ。」


マーレ様が口を開いた。


「まさかイリス様が異界探索隊を希望するとは…少し意外でしたね。」


「ほんとにねぇ…。

イリスは月の数少ない医者だし、ルナリース神が許可するとは思わなかったな。」


「そうでございますね。」


「まあ、とりあえず僕らは実技試験のことに集中しよっか。」


「はい。頑張りましょう、マーレ様。」


「にしても今のところ判明している異界探索隊のメンバーは候補者も入れてニロとイリスかぁ…。」


「他にも他の惑星から数人来ると考えたとしても、私たちを入れて7、8人くらいにはなりそうですね。」


「多いなぁ。」


「そうですね。」


「まあ、さっさと帰ろ。

このまま屋敷で訓練したいし。」


「かしこまりました。

…また、走りますか?」


俺はマーレ様を煽った。


「お、いいね!

今度こそ負けないからな!」


マーレ様は準備運動を始めた。


「ふふ、今回も勝たせていただきますよ。」


俺は足に力を込めた。


「あ、そうだ。練習ついでに祝福を使って勝負してもいい?」


マーレ様は上目遣いでこちらを見てきた。


「それだと祝福のない私には不利ではありませんか?」


俺は困った顔をしてマーレ様を見る。


「まあまあ、いつもゼロ勝ってるんだし

たまにはハンデちょうだいよ。」


お願〜い、とマーレ様は言っている。


俺は仕方なく


「わかりました。では、祝福を使用してマーレ様は走ってください。私はいつも通り走らせていただきます。」


「やったぁ!」


マーレ様は嬉しそうな笑みを浮かべている。


「ただし、私も手加減はしませんので。

負けても文句言わないでくださいよ?」


「ああ、もちろんだ!

よーし、頑張っちゃうぞ!」


そう言ってマーレ様は足元から1つの小枝を拾った。


マーレ様はその枝を掴んだ。


“変われ”


そう一言マーレ様が言うと、その枝は瞬く間に空を飛ぶ箒へと変わった。


マーレ様はひらりとその箒に乗った。


マーレ様の異能力は


“変化の異能力”


物を頭の中のイメージのままに変化させることが出来る異能力だ。


今マーレ様は枝は、空飛ぶ箒になるというイメージを頭の中で作り上げ、そのイメージを持ちつつ異能力を発動させた。


その“変化の異能力”で枝を変化させることで

イメージ通りの代物が出来た。


マーレ様の異能力は便利で、例えば小さな石ころから城壁を築き上げることだって可能だ。


もちろん武器なども作ることが出来るので

マーレ様は月の守護者として最適だろう。


ちなみにこの異能力は今異界に居るマーレ様のお父様も持っている。


その異能力を買われてマーレ様のお父様は

異界なんとか生き延びながら異界調査を単独で行っている。


「よーし、ゼロ僕は準備出来たよ。」


「ふふ、では勝負といきましょうか!!!」


俺は足に力を込め、一気に走り出した。


マーレ様は箒に乗って俺を追いかける。


「わはぁ、やっぱり自分で走るより早いやぁ!」


「ふふ、練習の成果あり、ですね。」


「てか待ってゼロ早くない!?

箒でも追いつけないんだけど!?」


後ろからマーレ様の焦った声が聞こえる。


「でも、かなり追いつかれてしまっていますね。やれやれ、ではもう一段階…ギアを上げさせてもらいます!」


そう言って俺は更に加速した。


「嘘だあああああ!!!」


───屋敷にて


「はぁはぁ…。」


マーレ様は満身創痍のご様子だ。


「ふふ、かなりマーレ様は祝福の練習の成果が出ているご様子ですね。」


そう俺が慰めるとマーレ様は少し涙目になりながら


「もー!これで負けるの悔しいー!」


と言った。


「でもかなり頑張られていた方かと。

私、追いつかれるのではないかと思ってもう一段階ギアを解放してしまったので。」


「ええー、なんかズルくないー?」


マーレ様は頬を膨らます。


「手加減はしない、と言いましたでしょう?

これでフェアというものです。」


ブーブーとブーイングをするマーレ様を見ながら俺はマーレ様用に水を取りに行った。


「マーレ様、お水でございます。」


「ん、ありがと。」


マーレ様は水を飲んだ。


ぷはーっと言いながら


「なあゼロ、僕は異界探索隊に入れるのだろうか。」


「マーレ様ならいけますよ。

むしろ私があなた様についていけるか心配ですよ。祝福も持っていないですし。

まあ…最悪行けなくてもいいのですが…。」


そう言う俺にマーレ様は


「ゼロは僕と来るべきだ!

だって僕とゼロは2人一緒なんだからな。」


そう言いながら俺を鼓舞した。


「ふふ、そうでございますね。

私も頑張りますね。」


「ああ。」


「もう訓練いたしますか?」


「え、1回休け…いや、訓練する。」


「かしこまりました。」


「自室から剣取ってくる。

ゼロも準備しておけよ。」


そう言ってマーレ様は自室へと向かった。

お読みいただきありがとうございました!

マーレ頑張って!

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