第一話 始まり
高校に入学して早くも一カ月がたとうとしていてようやくクラスに馴染んだと思っていた5月ごろの話だ。
学校が家から近いという理由だけで選んでしまった俺だが、もう少し離れれば都会に出れるがあえて地元に来てしまったまあ田舎という田舎でもないし別に不満がなかった。
「よ、夜空」
後ろから肩をたたかれた振り返ると木島がいた。
「ゴールデンンウィークどこか行ったか?」
木島というのは中学が一緒でまあ仲が良かった方の奴だ。
「特にどこにも」
「お前せっかくのゴールデンウィークにどこのも行かないとは、どういうことだ!俺みたいに彼女の一人でも作って過ごさないか」
「うるせえ!余計なお世話だ」
彼女作っての一か月ともったことがないだろ。
教室に入るとまだ時間があった、隣で木島が彼女の自慢話さえやめれば最高なのに。
「お前の彼女作れよ結構この学校他の学校より女子のレべル高いのに、校内ランキングでいうと3位が小林さん、2位が阿藤さん、で1位があそこに座っている霧崎さんだ」
木島が指をさした方に目を向けるとそこにはハーフなのだろうか蒼髪のショートヘアーをしていて小柄な子がいた。確かにかわいい。そこらへんのアイドルよりずっとかわいいと思うだが、
「霧島さんは、ないな」
「やっぱりか、顔はいいがいまだ霧島さんがだれかとしゃべっているところ見たことないし昼休みとか放課後もずっと本ばかり読んでるし無愛想なんだよな」
そうこの霧島さんは良く言えばクール悪く言えば無愛想といった誰とも関わりあいを持たない子だ。
もったいない。
学校が終わりみんな足早に部活に行ったり帰り仕度をしていた。
「夜空!帰ろうぜ!」
「無理だ今日はバイトだ」
「そうか今日バイトだったのか、大変だな一家を支えるものは」
こいつが言ったのは大げさではない、俺の家は父親が他界してそのあと母親が働いている。その母親の仕事の都合でめったに帰ってこないし、ひどい時には仕送りを忘れて金がない時のある。家にはまだ小学6年の妹がいるのにすごい親だ。だから、俺がもしものために働いている。
「まあな、じゃあそういうわけだがらじゃあな」
「ああ、頑張れよ!」
バイト先はとある喫茶店だが、やっていることはなんでも屋だ。前はゴキブリ退治の依頼が来ていた本当に喫茶店なのだろうか?
「こんにちわ」
「あ、夜空!いいところに来た依頼が来たのだが、お前にちょうどいい仕事なんだ行ってくれるか?」
中から現れたのは30ぐらいのおっさんでここのオーナーだ。
「別にいいですけど仕事内容なんですか?」
「行きゃあ分るよ。お前って家事出来るよな?」
家事はほとんど出来る今では料理のレパートリーも100は超えている。
「掃除の依頼ですか?じゃあ、いいですよ」
「良かったじゃあ、これ地図な!後はヨロシク」
こんなとこに家なんてあったて?
そこは家から歩いて30分かかる山の中だった。ここに住んでもう16年たつがこんなところに家があるとは知らない。
だが、ふと顔を上げるとそこには洋風の屋敷があった。
「うあ、屋敷じゃん。はじめて知ったぞこんなところにあるなんて」
大きさは校舎一つ分はあるだろうか周りは塀に囲まれていて立派な屋敷だ。
こんなに大きいと使用人も必要か。納得した。
立っているのも何だのでチャイムを押した。
「すいません。今日働くことになってるものですが?」
ガチャ
そこから出てきたのは蒼色の髪のショートへアーの子だった。