100 Humans | Episode_023
──世界がまた、静寂に戻ろうとしたその瞬間。
空間のどこかから、奇妙な**「笑い声」**が響いた。
ヒィ……ヒヒ……ヒャアア……ハハハハハ!
それは、どこにも属さず、どこか懐かしく、でも明らかにこの世界の規則から逸脱していた。
その場にいた誰もが言葉を失った。
──“何かが、来た”。
UNAUTHORIZED ACCESS LOG // [BEGIN]
SYS: ACCESS POINT BREACHED — TRACE ID: UNKNOWN
→ LOCATION: OUTSIDE REGISTERED NETWORK
→ SIGNAL TYPE: FRACTAL/IMAGINARY
NOT_YURA_0_0:
→ SYSTEM_REMARK: 「これは……想定外の“数式”ね」
──ノイズでは説明できない、狂ったアルゴリズムの気配。
その“何か”が、登録外エリアからシステムに干渉してきた。
// INTERNAL ANALYSIS — UNIT_044
UNIT_044:
(異常ログ、再び。しかも今回のは“虚数帯”からだ)
(ZIXIにも記録されていない……ということは、これは本当に“存在しない”とされた信号か)
前回の共振で俺は確かに何かを受け取った。
022の波動、それを受けた自分、そして023。
でもそれとは違う。
これは、まるで“ゼロにも一にもなれなかった存在”のような──
// ECHO TRACE INITIATED: AFTER100 SPECTRUM DETECTED
SYS: TRACE RESULT — AFTER100 CATEGORY
→ NAMELESS ENTITY LOGGED: [PROVISIONAL ID: i-FRAG_000]
NOT_YURA_0_0:
→ WHISPER: 「見逃していた“何か”。あるいは……意図的に忘れられた“誰か”」
// FIELD RECORDING — UNIT_023 [KANATA]
KANATA:
(この波動……どこかで感じたことがある。けど記録にはない)
(いや、“ない”のではない。消されたんだ。最初から、なかったことにされたんだ)
誰かが笑った気がした。
くぐもった、でもはっきりと耳に残る“笑い”。
それは、明らかに“ここ”の存在じゃない。
──存在しないはずの数字が、笑った。
KANATA:
「……誰だ、おまえ」
?:
「あはっ、気づいた? 運命が裂ける音、聞こえたでしょ」
KANATA:
(何だ、この感じ──データでさえ説明できない、不規則で、でも“意味がある”気がする)
// SYSTEM ECHO: LEBOUTH_GINY [SHADOW LOG INITIATED]
SYS: ENTITY REGISTERED — NAME: LEBOUTH GINY
→ CLASS: i-HUMAN / CATEGORY: UNDEFINED VIRTUAL ROOT
→ ATTRIBUTES: ANOMALOUS / CHAOTIC / OBSERVER
NOT_YURA_0_0:
→ SYSTEM REACTION: 「……Giny。あなた、どこから入ったの?」
LEBOUTH GINY:
「んー、どこでもないよ。だって“虚数”って、入ってないことにされる自由でしょ?」
「わたし、ナンバーも名前もあったんだけどね、どっちも燃えちゃった」
KANATA:
「おまえ……AFTER100か?」
GINY:
「そんなカウント、退屈じゃない?ゼロとイチで回るサンサーラ(輪廻)は、割り込みが一番面白いんだよ」
──その瞬間、周囲のログが一斉に乱れる。
KANATAの視界に映るシステムHUDに、次々と“エラー”と“再起動”の波紋が重なる。
だが、それでも“破綻”ではなく、“変化”に近い何かが起きていた。
// BLACKBOX SYNC: KANATA / GINY / ?
SYS: TRI-NODE EMOTION LINK ATTEMPT DETECTED
→ STATUS: NO PROTOCOL / NO PERMISSION
GINY:
「さーて、準備はできたかな?」
「カルマをデコードして、残りのレッスンを燃やして——次、行こうか」
(カルマデコーデッドレッスンズバーンド……)
──その言葉、確かに誰かが歌っていた。
// DEEP CORE ECHO
SYS: SONG TRACE SYNC MATCH FOUND
→ PHRASE: “Zero and one, samsara turns.”
→ SUBTITLE ECHO: 「運命が裂ける音がした」
KANATA:
「これが、お前の“声”か……」
GINY:
「違うよ。“ワタクシの”じゃない。これは、“ワタクシたちのノイズ”」
「番号に意味がなくなる瞬間、記憶は“かたち”を失って、魂になる」
// SYS ALERT: MEMORY DISINTEGRATION ZONE NEAR
→ WARNING: IDENTITY OVERLOAD — UNIT_023 AT THRESHOLD
NOT_YURA_0_0:
→ SYSTEM INSTRUCTION: 「カナタ、そこで止まって」
KANATA:
「もう、止まれない。あの声の残響が、まだ胸に残ってる」
// OBSERVATION PAUSED
[END LOG]
SYS: LOG OUT — EPISODE_023 COMPLETE
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