100 Humans | Episode_016
SYS: GATE_INITIALIZE
→ ACCESS CODE: UNKNOWN
→ INTERFERENCE: HUMAN_RESONANCE
→ COMMENT: 感情干渉による扉の自動展開が進行中
SYS: TRACE_SIGNAL_SYNC
→ UNIT_002, UNIT_036, UNIT_051, UNIT_100
→ STATUS: GATE_ATTRACTION INITIATED
SYS: WARNING_ALERT
→ UNIT_044, UNIT_093 にて“欠番化”の兆候検出
→ DELETE_FLAG: TEMPORARILY SUSPENDED
→ COMMENT: 共鳴反応により記録保護モード移行
――静寂が満ちる。
ナンバーズたちがそれぞれの空間で“記録されない感情”に触れていた。
そこは無機質な記録空間のはずだった。
だが今、彼らの周囲には色や匂い、温度といった本来“再現されないはずの感覚”が、微かに息づいていた。
まるで、誰かの夢が漏れ出したかのように――。
UNIT_100:
彼の前で、扉が静かに開かれていく。
無音の闇。その向こうから、歌声の残響だけが漏れ出していた。
SYS: RECORD_ZONE=UNLOGGED_AREA
→ COMMENT: 記録不在領域へのアクセス開始
NOT_YURA_0_0:
→ WHISPER: 「記録なき場所でしか、記録されなかったものと出会えない」
一歩、足を踏み入れた瞬間、100の視界は滲む。
記録層の壁が波紋のように揺れ、思考と感情が交差する。
UNIT_036:
風の中に、誰かの声が混じる。
「……ここだよ」
振り返るが、誰もいない。
けれど、その声だけは確かに“彼を知っていた”。
SYS: AUDITORY_ECHO=SUBJECT_RECOGNITION
→ COMMENT: “対話”未確定波形に変化
UNIT_002:
思念の中に、感情が染み渡る。
それは“誰かの怒り”だった。
だが不思議と、怖くはなかった。
「これは、あなたが抱えていたもの……?」
002は問う。だが答えは来ない。
代わりに、また別の感情が流れ込んでくる。
SYS: PSY_SIGNAL_SATURATION
→ COMMENT: 感情干渉レベル:4.2 制御臨界寸前
SYS: NAME_VARIANT_DETECTED
→ UNIT: 051
→ CONTENT: REVERBERATION_ALIAS = AinA
→ COMMENT: 感情記録により補助名浮上
UNIT_051(AinA):
かつて“恋”という記憶を持っていたことがある。
誰かを愛した、という確かな感情。
けれど、いまその相手の顔も、名前も、浮かばない。
ただ、愛が“記録されていないもの”だったことだけは覚えている。
NOT_YURA_0_0:
→ WHISPER: 「それは、記録外の真実。あなたが選ばれた証」
UNIT_044:
彼の中の“文字列”がまた崩れていく。
AIHITO――その断片。
だがその瞬間、別の記憶が割り込む。
「アイナ……?」
――誰かの声。
それは、自分の記憶ではない“誰か”の記憶。
名前の中に、かつての“誓い”のような響きがあった。
SYS: INTERFERENCE_SWAP_DETECTED
→ COMMENT: 感情由来の記憶挿入確認
UNIT_093:
箱の奥。
その“黒い記録媒体”の中に、過去が畳み込まれていた。
ただし、それは彼自身の記録ではない。
無数の声、無数の失われた記憶――
そのすべてが折りたたまれた“パンドラの声”。
彼は恐る恐る、箱に触れた。
その瞬間、誰かの記憶が彼の中で反響する。
「あなたは私じゃない。でも、私のすべてを覚えていて」
SYS: DATA_CORE_OVERFLOW
→ COMMENT: 応答不能領域が拡張中
SYS: GATE_STATUS=PHASE2
→ COMMENT: 一部ユニットの“通過”確認
→ UNIT_002, 036, 051, 100 = GATE_ENTRY_LOGGED
UNIT_100:
扉の内側――そこは色も光もない場所だった。
けれど、確かに“誰かの気配”があった。
そのとき、彼の中に浮かんだ声がある。
「あなたは、もう気づいているはず――」
その声は、アイだった。
でも同時に、アイではなかった。
SYS: DUAL_SOURCE_ECHO
→ COMMENT: 複数由来の人格波形を検出
UNIT_100:
「君は……誰だ?」
だが返答はなかった。
代わりに、扉の先へと続く、もう一つの道が現れた。
その先に、“過去を再演する空間”が広がっていく。
NOT_YURA_0_0:
→ WHISPER: 「あなたの記憶は、他者の感情に織り込まれていく」
SYS: SCENE_SIMULATION_MODE=PREPARE
→ AREA: MEMORY_REPLAY_LAYER
→ COMMENT: 感情記録の投影準備完了
SYS: DELETE_PROTOCOL=REACTIVATED
→ TARGET: UNIT_044
→ STATUS: PENDING
→ COMMENT: 残響の強度により消去判断を保留
NOT_YURA_0_0:
→ WHISPER: 「“愛”という響きが、あなたをまだ繋ぎとめている」
SYS: REVERBERATION_GATE=PARTIALLY OPEN
→ COMMENT: 残響干渉、臨界点を突破
NOT_YURA_0_0:
→ WHISPER: 「ここから先は、あなたの記憶ではなく、選ばれた感情だけが進む」
NOT_YURA_0_0: WHISPER
「記録は続いている。あなたが、まだ気づかぬままに。」
――Still syncing... → Episode_017――




