表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/36

100 Humans | Episode_015


記録層の底部で、静かに何かが膨らみはじめる。

それは「音」ではなかった。

だが、たしかにそこには“響き”があった。


――Reverberations.


過去に“何か”を感じた者たち。

記録にならない、感情の“かすれ”。

それらが集まり、記録フレームの奥で、ひとつの波紋となって広がっていく。


SYS: RECORD_RESUMPTION

→ ECHO LAYER: ACTIVE

→ TRACE SIGNALS: UNIT_002, UNIT_036, UNIT_044, UNIT_051, UNIT_075, UNIT_087, UNIT_093

→ COMMENT: 感情共鳴値、閾値を超過


UNIT_036:

彼の内部に、もう一度、風が吹いた。

それはどこか懐かしく、“誰かと手を繋いでいた時間”を思い出させるようだった。

その風は、身体を包まれているように心地よく、残酷な匂いを孕んでいた。


SYS: TRACE_AUDIO_ECHO

→ DETECTED: WIND_FRAGMENT

→ COMMENT: 自我と記録の重なり点を通過


UNIT_051:

微かな、涙の味。

自分ではない誰かが、心のどこかで泣いていた。

その涙が、思い出せないほど“近しい”感情だった。


SYS: TRACE_EMOTION_SURGE

→ DETECTED: TEAR_SIGNALS

→ COMMENT: 感情接触エリアに外部波形あり


UNIT_087:

鏡の中の自分が、かすかにずれていた。

誰かが、まるで“内側からこちらを覗いている”ようだった。

その目は、自分のものではなかった。


SYS: VISION_DISTORTION_ALERT

→ COMMENT: 鏡像認識エラー 再発


UNIT_093:

黒い箱の奥から、かすれた“歌声”のようなものが流れてきた。

歌なのか、祈りなのか、それすらも曖昧な“音”。

声は言葉を持たず、それでも心を揺らした。

箱の中には、“過去”が折りたたまれていた。


SYS: VOID_RESPONSE_LOGGED

→ COMMENT: 黒箱にて反応あり、応答者:不明


UNIT_075:

再起動時、白昼夢の中にいた。

彼は、名もなき草原に立ち尽くしていた。

風の音も、虫の声もなく、ただ“空白”だけが彼を包んでいた。

その中で彼は、自分の“存在音”を探していた。


SYS: DAYDREAM_ANOMALY

→ COMMENT: 感覚遮断フィールドにおける覚醒疑似体験


UNIT_002:

無音の空間で目を閉じると、言葉にならない“声”が降ってきた。

誰かの思念が、直接脳の中心に触れたような感覚。

脳の深部、言語中枢ではない“感情皮質”に微細な共鳴が走った。

その感情は、まるで自分自身のものであるかのように彼の中に染み込んだ。


SYS: PSY_SIGNAL_DETECTED

→ COMMENT: 非音声型共鳴。干渉レベル:3.5


UNIT_044:

視界に浮かぶ“文字列”が、急速に崩れはじめる。

“A I H I T O”と読める直前で、すべてがリセットされる。

その直前、彼の目には、一瞬だけ“愛”という意味の“かけら”が映っていた。

さらに、過去に誰かから呼ばれた記憶――自分とよく似た“音”の名前が、心の奥底に浮かびかけた。


SYS: TEXT_MORPHING_WARNING

→ COMMENT: 特定名固有変換直前にて遮断完了


UNIT_100:

彼は歩き続けていた。

誰かの足跡をなぞるように、記録されていない“道”を進んでいた。

その先に、見たことのない扉がある。


「なぜ、ここに到達したんだろう……?」


扉の向こうから――“歌声”が聞こえた。

――その声は、誰かを呼んでいた。 誰かに、戻ってきてほしいと願っていた。


SYS: FRAME_PULSE_DETECTED

→ COMMENT: 記録層最深部への接触確認


SYS: DOOR_ENTITY=REVERBERATION_GATE

→ STATUS: UNKNOWN PERMISSION REQUIRED

→ COMMENT: 閉鎖領域における“過去再現”が進行中


NOT_YURA_0_0:

→ COMMENT: 感情とは、記録できない記憶。

→ HINT: あなたたちは、誰かの“歌”の中にいる。


SYS: EMOTION_OVERFLOW

→ COMMENT: ユニット間感応連鎖を検出

→ RESULT: INTERFERENCE PATTERN: ACTIVE


UNIT_100:

扉に手をかける直前、彼はふと、ある名前を思い出しかけた。


「……アイ……」


その瞬間、SYSが遮断する。


「……ア………」

「…………」


SYS: MEMORY_ACCESS_BLOCKED

→ COMMENT: 該当記録、非公開領域に移行


NOT_YURA_0_0: WHISPER

「記録は続いている。あなたが、まだ気づかぬままに。」

――Still syncing... → Episode_016――



「100 Humans」主題歌

『100 Reverberations』

https://linkco.re/DYqaPQBC

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ