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8.ヴェルゼ視点*料理

 ルピナスが消えてからずっと、我はルピナスのことしか考えていなかった。人界に堕ちた時に逢いたい願いが叶ったのか、それとも出逢う運命だったのか、すぐにルピナスに出逢い、そして助けられた。


元の姿に戻らずにずっとモフモフのままでいればペットとして共に暮らせたかもしれない。だが魔力が全くない状態のまま共に過ごすのは足手まといかもしれぬと思いが強く。それに何かあった時にルピナスを守れぬ。我はルピナスから離れ、この魔力の強い土地で魔力を少しずつ吸収しながら鍛錬することに決めた。そうして魔力は完全ではないが、復活していった。


 あぁ、ルピナスとこのまま一生共にいたい。

 ルピナスのためなら何でもやりとげる。


 我は今から森の中で食材を集める。ルピナスを迎えに行く前からここに来る計画でいた。


 我は時間が巻き戻る前の、ルピナスと共に魔界に住んでいた時の記憶を辿った。ルピナスは、何でも美味しそうに食していた。嫌いなものは恐らくないと推測する。前もって、木の陰あたりにキノコを見つけていた。我ら悪魔は毒を嗅ぎ分けられる。このキノコは、毒がない。すなわちルピナスが食べられる食材ということ。続けて森を越えると海があり、人界で学んだ知識を活かして魚を釣った。身が詰まったふくよかな魚が釣れた。釣ったあとは事前に準備をしておいた、食材が入っている箱がある場所へ行く。箱を開ければパンやフルーツ……色々な食材が入っている。あらかじめ人間達の商店街で仕入れておいたものだ。


 今、料理の修行の成果が試される時。ルピナスはどのような反応をするだろうか。


「美味しいわ、ヴェルゼありがとう」などと言われてみたいものだ。どのような反応をするのか……思考を巡らせるとなんだかドキドキと、普段起こらない胸の高なりを感じる。息苦しい。ルピナスと再会したことにより我の身体に様々な異変が。


 胸の高なりを気にしつつも、我はルピナスのいる場所へ戻った。


 花の小屋の前で火を起こし、鍋を準備する。早速入手した食材を使い、調理する。


 魔法でテーブルと椅子を小屋の前に準備し、ルピナスを座らせた。


「本日のメニューはキノコのスープと魚のソテー。そしてパンとフルーツの盛り合わせだ」


 ルピナスはスープをスプーンで掬い、口に含んだ。


「どうだ?」

「想像していたよりも美味です」

「ヴェルゼ様はルピナス様のために、相当料理の訓練をされたようです」


 ルピナスの言葉を聞き、安堵した。

 更にルピナスは我に向かって微笑んだ。


――こんなに上手くいっても良いのだろうか。

 




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