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5.ルピナス視点*お姉様達の考え

 頭の中にお姉様達の過去映像が流れ込んでくる。

 見覚えのある場所が……家のキッチンだ。そして、映し出されたのは昨日の夕食に食べたスープ。


「お母様のスープに毒を入れた?」

「いいえ、まだ……」


 スープの前では二番目のお姉様が何やら怪しい動きをしている。どうやら私は、一番目のお姉様の記憶の中に。


「早く、早くしないとメイドがスープ取りにくるわ」

「わ、分かったわよ」

「あの人達がいなくならないと、お父様の遺産が回ってこないからね。まずはお母様を消し、そしてルピナスが魔界に消えてからお父様もね……」

 そう言いながら二番目の姉が手に持っていた小さな瓶の蓋を開け、スープの中にそれを入れた。


 それで映像は終わった。


 お母様の命が狙われている。もしもこのままお母様が生きていられても、私はもうすぐここからいなくなる……。というか、今気がついた。お姉様達はもうお嫁に行く年齢過ぎているのに、何故行かないの? お父様の財産目当て? 我が家の財産は全て合わせると膨大な金額だから、それはありえるかもしれない。


 とにかく、お母様が危ない。

 私はすぐにお母様の部屋に駆け込んだ。


 お母様は座りながら本を読んでいた。


「お母様、お話があるのですが……」

「まぁ、どうしたの? こちらに座って」

「お母様、お母様の命が狙われているの」

「……知っていたわ」

「えっ? 知っていた?」

「えぇ、今回の毒も娘達が入れたということもね」

「……お母様は、怖くないのですか?」

「正直、怖いわ。でも、この家を出ても行くあてがないもの。それに、この家にいる限り生活自体、何も困ることないし」


 確かにそうだ。この家にいるから生活には困らない。でもこの家を出たら……。


 真実を知っても、私には何も出来ない。落ち込みながら廊下に出るとモフモフヴェルゼが足元に擦り寄ってきた。私はヴェルゼを抱き上げる。


「出会った時よりも重いよねきっと。この姿、ふわふわで可愛い」


 頬ずりすると、更にふわふわを感じ、気持ちがよい。


「ねぇ、何かいい方法はないかしら」


 私はヴェルゼに話しかけながら外に出た。少しでも頭をすっきりさせたくて、散歩をすることにした。








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