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2.ヴェルゼ視点*正直に

「もっとお互いを知っていた方がよかったとか……それはまるで、私達が会ったのは初めてではないような言い方……」

「そうなのです。おふたりは出会われていたのです。ヴェルゼ様は……」


「我が説明する。そなたとは二度会っている」


 果たして真実を話しても大丈夫だろうか。再び嫌われたりはしないだろうか。だが、正直に話をして全てをさらけ出そう。向き合おう。たとえまた、嫌われたとしても――。


 不安の衝動に駆られながらも我はルピナスに真実を伝えることにした。


「まず、我は禁を犯した。それは時間の操作だ。この世には、天界、魔界、人界があり、三界全ての場所で、決して変えてはいけないものがある。それが時間。我は、そなたのために掟を破り、時間を巻き戻し、人界へ追放された」


 そう、全てはルピナスのために――。


「ヴェルゼ様は、三界一お強いのではないかと噂されるほどの強力な魔力をお持ちでした。けれど、魔界から追放されて人界に堕ち、魔力をほぼ全て失ってしまわれ、弱ってしまわれたのです」


 ルピナスは無言で真剣に訊いている。


「そのタイミングでそなたが獣から我を助けてくれたのだ」


「その時に私があなたを?」


 ルピナスは首を傾げた。


「そうだ、助けられたのは本当に偶然だった。それが二度目にそなたと会った時だ」

「二度目?」

「そうだ。ルピナスよ、そなたには確実に記憶はないが、一度目の時は、本当にすまなかったと思っている」

「一度目の時って?」

「我は、時間が巻き戻る前に、そなたを苦しませてしまったのだ……」


 言葉が詰まる。


「ヴェルゼ様は、ルピナス様を嫁に迎え入れ、共に魔界で暮らしていました。しかし、ヴェルゼ様はルピナス様に相当冷たくされ、ルピナス様は……」

「私が、どうしたの?」

「我は、そなたを自害させた」

「えっ?」

「どうしてそなたがそうなったのか、真実を知らず。そこで気がついた。我はそなたのことを何も知らなかった」


 ルピナスは驚きの表情を見せ、固まった。我は言葉を続けた。


「そなたとやり直したく時間を巻き戻した。今回はそなたをもっと知りたい。そしてあの時は、本当に申し訳なかった」


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