最終話:少年騎士の天下取り
イヌガミの里は燃えていた。
里の男衆や女達は黒き鎧の武者や兵達に必死に抗う。
「狸共、貴様ら忍びはいらぬのだ!」
「外道共、里も家族も滅ぼされてたまるか!」
「お母さんが死んじゃう、誰か助けて~~!」
理不尽な暴力に抗うイヌガミの里の大人達。
「民に害成す悪党共、許さん! レッドスラッシュ!」
「我が里を荒らすもの、何人たりとも許しません!」
レッドが刃に炎燃え盛る剣で武者を斬る。
ポンも手下の兵達を鉄の玉を弾いて撃ち抜き倒す。
「ひ、姫様!」
「助けに参りましたわ、今治療を!」
「ポン殿、遠慮はいらんな?」
「はい、お願いいたしますレッド様!」
敵を倒したレッドは賭けだし、兵達を切り捨てて行く。
やがてポンと合流し彼女の屋敷へと急ぐ。
「おじい様、ただいま戻りましたわ助っ人付きです!」
「我が名はレッド・ファイヤーハート、イヌガミの里に加勢する!」
敵の屍を越えてポンとレッドは、屋敷の広間へと辿り着く。
「ほう、狸娘に西洋人の小僧か? 化かしよる」
「黙れ悪党、里長殿から離れろ!」
黒い面頬の鎧武者に突っ込むレッド。
切り結びからの蹴り飛ばしで武者を壁に叩きつける。
「ぐはっ! 貴様、もしやロボ乗りか?」
「だからどうした、成敗!」
レッドは、全身を炎に包み突撃して一閃。
黒い武者の首を斬り飛ばす。
生身の兵達を倒した所で地鳴りが響く。
レッドが外に飛び出せば黒い足軽ロボ達が出現した。
「来い、レッドナイト!」
レッドはロボを呼んで乗り込むと怒りを燃やす。
「いかなる思惑であろうと、民を害する者に領主の資格なし!」
レッドナイトの背中のスラスターを噴射し突撃。
大剣を一閃し、足軽ロボ達を斬り捨て爆散させる。
「な、何だあの赤いロボットは! 西洋の機体か?」
レッドナイトの大暴れを遠くから観察していた生身の兵が叫ぶ。
そんな兵の目の前に、巨大な火の玉が飛んできて彼を包み消した。
「観測兵か。 聞け、我が名は太陽騎士レッドナイト! この地は我が守る!」
大音声で叫ぶレッド。
その声と姿は里から離れた城にも届いていた。
「おのれ! よもや西洋から二つ名付きのロボ乗りをつれてくるとは!」
白い浴衣姿の男性武士が天守からレッドナイトを望遠鏡で見る。
領主であるこの男、アクエモン・ダンジョウはどうすべきか頭を悩ませた。
一夜明けたイヌガミの里。
レッドはポンと共に広間に座り里長に頭を下げられていた。
「レッド殿、此度は里をお救い下さり誠にありがとうございました」
「いえ、頭をお上げください! まさか里が攻められていたとは?」
「領主に与せぬ我らが邪魔なのでしょう」
「では、これより領主を討ち取りにまいります」
「レッド様?」
「レッド殿、正気でございますか?」
ポンと里長がレッドの言葉に驚く。
「ええ、洋の東西を問わず応報はせねばなりませぬ!」
レッドは二人に告げる。
「わかりました、私はレッド様に添い遂げます!」
「ポンよ、そなたに馳せレッド殿と主に逃げ延びて欲しいのじゃが?」
「里長殿? 逃げては意味がありませぬ、俺にお任せ下さい」
「レッド様なら、仕官のお約束の代わりにこの地をお取りください!」
「わかりました、必ずや討ち取って治めて見せます」
イースタンは戦国乱世の世だった。
レッドの義憤は終え上がり、己がこの国を統一せねばと言う気概に満ちていた。
赤き騎士王の産声が上がった瞬間であった。
里を出たレッドとポンは自分のロボに乗り込み一気に城を目指す。
行く手を阻むは足軽ロボやアクエモン尾の配下の武者ロボ達。
「イヌガミの里を荒らした罪、死をもって償いなさい!」
「この国は俺達が治めて正す、阻む者には容赦なし!」
と叫びを上げて武技や魔法を駆使して大暴れで蹴散らす二人。
「馬鹿な! 西洋のロボは化け物か?」
「鬼じゃ、赤鬼じゃあ~っ!」
猛威を振るうレッドナイトに恐れおののき、機体と共に爆散して行く敵兵達。
「現れたな西洋の騎士よ、我が名はアクエモン・ダンジョウ! この地を収める領主である!」
「レッド・ファイヤーハート、太陽騎士レッドナイトを駆りて貴様を討つ!」
「ほざけ小僧、貴様の好きにはさせん!」
「まかり通る、この国は俺が治める! ロードモード!」
アクエモンの鎧武者の上半身に巨大な蜘蛛の下半身を持つロボと相対したレッド。
「レッド様、ポンもお傍に参ります!」
「ああ、合体だ!」
ポンのチャガマㇽとレッドナイトが合体する。
レッドナイトの胴体が狸の頭を模した金の追加装甲を纏う。
「馬鹿な、進化しただと? なめるな!』
「貴様こそ、俺とポン殿をなめるな!」
「悪因悪果ですわ、成敗いたします!」
三十メートルから五十メートルまでサイズアップしたレッドナイトロード。
アクエモンのロボの突進を抑え込み、上手で城へと投げ飛ばす。
巨体が落下して城が崩れる。
「天下を取る王の刃を受けて見よ! グレートエクスプロージョン!」
レッドナイトロードが金色に輝く超巨大な大剣を大上段から振り下ろす。
アクエモン斧ったロボは城と共に爆発炎上。
巨大な光の柱を天衣向けて立ち上げた。
「やりましたな、ポン殿♪」
「ええ、ここからが私達の天下取りの始まりですわ♪」
光の柱を機内で見つめるレッドとポン。
やがて二人は、赤き騎士王と忍者王妃としてイースタンを統一するのであった。