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第一話:騎士と忍者

 「ファイヤーボール!」

 「あば~~っ!」


 真昼の草原に響く、魔法の呪文と悪党の断末魔。


 「畜生、よくも子分をやりやがったな!」

 「女子を害そうとする悪党に容赦はせん!」

 「うるせえ! 俺達モブ山賊団をなめんじゃねえ!」


 林に囲まれた花咲く草原に倒れる悪党の骸。


 モヒカンな悪党達に剣を向けて対峙するは真っ赤な髪の少年騎士。


 銀の鎧で武装した少年騎士の後ろに隠れるのは、金髪で狸耳の美少女。


 狸耳の美少女の髪型はおかっぱ頭。


 着ている服は緑色の着物、風呂敷を背負ってと東国の旅姿。


 「我が名はレッド・ファイヤーハート、太陽騎士の名の下に貴様らを討つ!」

 「しゃらくせえ、こっちにゃロボがあるんだ!」

 「そうか、ロボがあるなら猶更容赦はいらんな♪」


 剣も魔法も腕が立つレッドに対してまだ強がるモブ山賊団。


 「お嬢さん、失礼! 行くぞ、レッドナイト!」


 レッドが狸獣人の少女をお姫様抱っこして叫び、天高くジャンプ。


 「げげっ! お頭、まさか?」

 「あ? びびるな! ロボ出すぞ!」


 地上ではモブ山賊団達が懐からカードを取り出す。


 山賊団のカードが光ると、五メートルほどの黒い人型ロボットが召喚された。


 だが、太陽から落ちるように真紅の騎士型の巨大なロボットが降臨。


 その大きさ、三十メートルと敵の六倍。


 胸に刻まれるは黄金の太陽の紋章。


 レッドの愛機、スーパーロボットのレッドナイトが参上した。


 「太陽騎士レッドナイト、見参! このお嬢さんは俺が守る!」

 「あ、あの? ここは一体、何ですの? 機械、魔法の術式?」

 「魔法と科学の混ざったロボットの操縦席だ、山賊退治までお静かに♪」


 レッドの言葉に少女が従う。


 「くそったれ!勝負は図体だけじゃねえ!」

 「囲め! ぶっ放せ!」

 「デカブツは関節やら接合部が的なんだよ!」

 「元兵士をなめんな!」


 モブ山賊団達が斧や機関銃を出して動き出す。


 「やはり、元はどこかの脱走兵か敗残兵崩れか」

 「どうなされますの?」


 四畳半ほどの操縦席内で少女がレッドに尋ねる。


 「まあ、お任せあれ レッドカリバー!」


 レッドが叫べば真紅の刀身を持つ両手剣が召喚される。


 「げげっ! 奴のロボが剣を持った!」

 「攻撃しろ! さもねえとこっちがヤベえぞっ!」

 「死ね~~っ!」

 「ヒャッハ~~ッ♪」


 ある者は斧を振り上げて吶喊。


 別の者は機関銃を射ちながら接近。


 思い思いにレッドナイトに襲い来る山賊団のロボット達。


 「アタックフィールド、ファイヤー!」


 レッドが叫べば、レッドナイトから光が放たれてドーム状に広がる。


 「これは結界魔法を攻撃に転用ですの!」

 「よくご存じで、火属性の攻撃結界魔法です」


 レッドナイトの結界魔法に覆われた敵のロボット達が燃え上がり爆発する。


 機体が爆発し、脱出装置のお陰で生身で放り出された山賊団達が身を寄せ合う。


 「さて、大人しく法の裁きを受けるかここで我らに処されるか?」


 レッドが山賊達に問いかける。


 山賊達は平伏して降参した。


 「ならば拘束だ、ファイヤーバインド!」


 山賊達はレッドナイトから放たれた炎の縄に縛られる。


 抵抗すると焼き殺される魔法だ。


 レッドと少女は機体から降りる。


 「さて、お嬢さんは近くの村まで赴いて兵を連れて来ていただけますか?」

 「は、はい! かしこまりました!」


 レッドの言葉に少女は急いで近くの村まで走り出して行った。


 やがて少女が兵士達を連れて来て、モブ山賊団の引き渡しが行われれた。


 「騎士様、この度はありがとうございました♪」

 「どういたしまして、レッド・ファイヤーハートと申します」

 「おお、噂に聞くファイヤーハート領の暴れん坊の!」

 「お恥ずかしい限りです、騎士として精進してまいります」


 レッドは報奨金の入った袋を兵士から受け取る。


 「あの、改めてありがとうございますレッド様」

 「ああ、お嬢さんか? どういたしまして♪」

 「私の名はポン・イヌガミと申します、東国の狸忍者の里長の娘でございます♪」


 ポンがレッドに名乗った。


 「ではポン殿、忍者と言う事は腕がおありでしたか?」

 「それなりには、ですが己の腕を過信してはおりませぬ」

 「賢いお方だ、宜しければ護衛として同行させていただけないか?」

 「はい、レッド様とロボットのお力なら喜んで♪」

 「うん、お眼鏡にかなったようで何よりです♪」


 レッドはポンの護衛として、彼女の旅に同行する事になった。


 「レッド様、私は可愛いくない娘だとお想いですか?」

 「物言いがはっきりされた賢い方です、見目も麗しいですよ?」

 「私、忍びの長の娘なのに物言いが悪いのが自覚はしているのですが」

 「俺はそう言うお人柄は好ましいですよ?」

 「ありがとうございます、そのように仰って下さる殿方は初めてですわ♪」

 

 二人で街道を歩きながら語る。


 ポンが魔法学校に留学中だが夏休みで帰省の旅の途中と言う事。


 レッドも武者修行中で仕官先を求めている事と互いの事情を語り合う。


 「報酬は東国での仕官先の紹介で宜しいのですか?」

 「ええ、路銀などは悪党や魔物退治などで稼げますし♪」

 「その腕とロボットなら、いくらでも仕官先はありそうですのに?」

 「色々とありまして、武力だけではどうにもならんのです」

 「あのロボット自体、他の騎士の方や領主様には脅威になりえますしね」

 「敵が攻め込みに来たかと誤解もされました」

 「力があるのも案着ですのね」

 「まあ、それはさておき宜しければ乗り物を使いましょう」


 レッドが指笛を吹けば三メートルほどの赤いロボット馬が天から舞い降りる。


 「まあ、ロボ馬もお持ちとは流石は騎士様ですのね♪」

 「親のお陰です、感謝しております。 さあポン殿、お乗り下さい♪」


 レッドはポンを自分の前に乗せて、ロボ馬のブロンコを走らせる。


 野道を駆け、宿場町が見えてくるとロボ馬から降りて徒歩になる二人。


 「さて、宿は二人部屋で取りましょう」

 「ご配慮感謝いたします、私が依頼人ですのに」

 「一応、男の端くれとして配慮したまでです。」


 そこそこな賑わい西洋風の宿場町を、ポンを守り警戒しながら歩くレッド。


 スリや狼藉者の類に出会う事なく、こじんまりとした宿を見つけられた。


 「すまない、二人部屋でベッドは二つのだ開いてないか?」


 宿の女将らしい受付の温和そうな中年女性に尋ねるレッド。


 「運が良いねえ、空いてるよ食事と内風呂付きであるよ♪」

 「かたじけない、では支払いはこれで」

 「宿代まで、ありがとうございますレッド様♪」

 「毎度あり、部屋はこちらだよ♪」


 女将さんに代金を山賊退治の報酬から支払うレッド。


 部屋に案内され中に入る。


 ベッドが二つ、小物入れが二つ。 箪笥が一つ。


 大きめの丸テーブルに椅子が二つ。


 内風呂とトイレがありと、簡素ながらに使い勝手のいい部屋だった。


 「それではポン殿、湯はお先にどうぞ俺は何か飲み物でも貰いに行きます」

 「ありがとうございます、お先にいただきますね♪」


 ポンは湯あみに、レッドは部屋を出て受付の女将さんの所へ行く。


 「おや、どうなされました?」

 「連れが湯あみ中なので、何か飲み物と軽いおやつを戴ければと?」

 「あいよ、クッキーと牛乳を用意するね♪」


 女将さんは台所へ向かったので、しばし待つ。


 女将さんからクッキー入りの皿と牛乳のポットとグラスの載った皿を受け取るレッド。


 部屋に戻ると白い浴衣と言うらしい着物姿のポンが待っていた。


 「まあ、おやつですの♪ いただきます♪」

 「ええ、俺もいただきます」


 二人でおやつや食事を楽しみ、その日はぐっすりと休んだ。


 翌日、宿を立つときに女将さんから土産の弁当を貰いレッド達は旅立った。


 宿場を出た二人は再度ロボ馬に乗り、港街を目指すのであった。


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