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バッカスの禁断症状

作者: 秋暁秋季

注意事項1

起承転結はありません。

短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。


注意事項2

バッカスとは酒の神様の事。

今回は酒と定義して、世代を重ねれば重ねる程、味が出るもの。としてます。

――まずい……。禁断症状が。

帰って来て、玄関に突っ伏す私を、何か長細い物で突かれる。顔だけを回して見上げると、不機嫌そうな顔をした彼が、しゃがんで此方の様子を伺っていた。

「なんでお前、病気でもないのに、死にそうな顔してんの?」

彼の容赦のない一言が胸を突き刺した。が、決して痛くはない。何も思わない。今の私は感覚が麻痺している。

私は手足を胴の中へ丸め込むと、自分の物とは思えない、か弱い声で返答する。

「生きてる気力が湧かないんだよね。そういうの、ない? どれだけ休んでも、休みたりなくて、何でもどうでも良いって思うの」

定期的に訪れる、無気力症候群。何のやる気も起きなくて、とりあえず朝起きて、会社に出て、帰って来て、眠る。ギリギリ行動を起こせているのは、それが義務だから。義務じゃ無くなった途端、私は全てを放り出して、飢えを満たしに行く。楽しいところに、行く。

ちゃんと生きようと思っても、今の私には気力が足りない。だから今は必要最低限の事だけを、必死こいてやっている。

あぁ、本当……何もかもがどうでも良い。

「……今、何かしらやりたい事はあるか?」

「喫茶店行きたい。博物館に行きたい。あとは……なんだろ……」

帰ってくる時に脳裏に半数するのは、バッカスの香り漂う高級品質のチョコレートケーキ。それに複雑怪奇な珈琲ブレンド。それら二つを堪能したら、博物館に行って、何をするまでもなく、ぼーっとしたい。何にも囚われず、何にも迫られず、何にも、何にも……。

「鬱……ではないか」

「鬱ではないよ。やりたい事はあるからね。どうでも良い中に、それだけが生き甲斐として存在してるんだ」

依存するのが酒で無くて良かった。きっとその坩堝に落とされたら、もう戻っては来れないから。あぁ、でも禁断症状が出ている時点で、似たような物なのかも知れない。

「あと、一日」

「うん。分かってるよ」

あと一日。どうにか私は私で居なくては。

バッカス って、酒の神様の名前を指すそうです。

でも今回は『酒』をイメージしてます。


時が経てば経つほど味が増す、古美術、老舗。

それを浴び続けて、それ無しじゃ生きて行けなくなった人間わ飲兵衛のように扱ってます。


バッカスという言葉が好きなので、次回から特定のチョコレートケーキを指すときに使おうかなと。


そして私も禁断症状が出てます。

神社行きたい。喫茶店行きたい。博物館行きたい。

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