第十一話 寅巳申乾
空陰家具店で輪陰さんと話して時間が経ったとはいえ。
外に出ると、相変わらず燦々と光り輝いている太陽が顔を出している。
その太陽が発する陽光を全身に浴びながら。
灼熱になっている地面を早歩きで突き進んでいた。
確かにまだまだ暑いけど、今はそんなことはどうでもいい。
先程まで陽光を防ぐためにフードを被っていたが。
そのことを忘れるくらい必死になって目的地を目指していた。
まさか、今日出会うきっかけが生まれるなんて、全く予想していなかった。
けど、やっと出会うことができる。あの約束を交わすことができるんだ。
その考えが頭の中を占領している。
だから、今は必死に足を動かすことだけに全神経を注いでいる状態だ。
気づけば、出会えることの嬉しさが込み上げており。
口元が少し緩み始め、表情に喜びが滲み出ていた。
それほど、あの夢を現実にできることを心待ちにしていたんだ。
そう思うと、無意識に歩く速度が更に速くなっていった。
「あれ? 浸夜くん……?」
「ん……?」
すると、突然一人の女性が呼び掛けてきた。
咄嗟に足を止め、声が聞こえた方向に体を向けると……。
「やっぱり、浸夜くんだ〜。久しぶりだね」
「乾目さん……」
僕の後ろを歩いていた人物。
基、呼び掛けてきたのは、乾目さんだった。
本名、乾目紗揺さん。
淡黄色の髪を二の腕くらいまで長くしている。
赤紫色の瞳をした女性。
種族は、練人種。
適性能力は、『音』。
「と……。申取さん、巳鳴さん、鼻寅さん。お久しぶりです」
「久しぶり〜」
この人は、申取居散さん。
黄色の髪を下の位置で二つ結びにしている。
赤色の瞳をした女性。
種族は、森人種。
適性能力は、『雷』。
「やっほ〜」
この人は、巳鳴史萠さん。
青色の髪を旋毛くらいの位置で一つにまとめて、おだんごにしている。
緑色の瞳をした女性。
種族は、天人種。
適性能力は、『地』。
「お久しぶりです」
この人は、鼻寅野緒さん。
紫色の髪を左側頭部に一つ結びをしている。
桃色の瞳をした女性。
種族は、霊人種。
適性能力は、『風』。
この四人の共通点は四つある。
それは、誕生日・年齢・住んでいる場所・職業だ。
誕生日は、五月五日。
年齢は、三十歳。
住んでる場所は、総合集合住宅。
乾目さんが、一番端の五十四号室。
申取さんが、五十三号室。
巳鳴さんが、五十二号室。
鼻寅さんが、五十一号室に住んでいる。
全員の職業は、冒険者組合の受付嬢。
つまり、乾目さんたちは母親の知り合いなのです。
それぞれネクタイの色が異なり。
乾目さんは淡黄色。申取さんは黄色。
巳鳴さんは青色。鼻寅さんは紫色になっている。
申取さん・乾目さん・巳鳴さんは、母親と同時期に勤め始め。
鼻寅さんは、その三年後かららしい。
この四人と初めて出会ったのは、僕が冒険者組合で適性能力の検査をした時。
それぞれ個性的な面はあるが、全員優しく接してくれるいい人たちだ。
因みに、現在僕を囲むように位置取っており、全員がしゃがんでいる。
側から見たら、迷子になった子供に話し掛けている女性たちの図みたいだ。
「浸夜くんは、今どこに向かってるの? こっちだと、お店とは逆方向だよね?」
先陣を切って乾目さんが首を傾げながら尋ねてきた。
いつものことだが凄く距離が近い。
乾目さんは話す時、しっかりと相手の目を見て話してくれる。
それは嬉しいんだけど、嬉しさ以上に恥ずかしさでいつも頬が真っ赤になる。
「お、お使いで……。鷹爪宝魔晶店というお店に向かってます」
現に、今も爆発しそうなほど赤く染まっている状態。
恥ずかしさの余り、呂律が全然回らない。
「あ〜、鷹貫さんのところだね」
「た、鷹貫さん……ですか……?」
「うん。鷹貫人為さんは、鷹爪宝魔晶店を経営している人のことだよ」
「そうなんですね」
そういえば、誰が経営しているのか聞き忘れてたな。
てか、美女のことで頭がいっぱいで考えもしなかった。
運良く乾目さんたちと出会えたことだし、特徴とか色々と聞いておくか。
可能性は低いが、前もって知っておいた方が緊張も解れるかもしれないし。
「鷹貫さんって、どんな人なんですか?」
「いい人だよ」
「それはなんとなくわかります」
普通に考えて、悪い人がお店経営してたらヤバイでしょ。
速攻で警備隊に捕まるに決まっている。
あ。そうそう……。
この月世界には、警備隊という職業が存在する。
日世界でいう、警察官のような職業のことだ。
主な仕事内容は、警備・見回り・不審者の捕縛。
たまにお店に来て、何か異常がないか確認しているのを見たことがある。
男女問わずなれるらしいが、全体的に男性がほとんどを占めている。
必ず黒色の軍服を着て、首元に白色のネクタイをし、黒色の制帽を被っており。
男性はズボンで、女性は膝下程のスカートを履いているという違いが存在する。
基本、左右どちらかの肩に『銃剣』と呼ばれている武器を身に付けている。
銃剣と言っても、刃が付いているわけではなく、棍棒のような形をした武器。
その棍棒の先に発射口があり。
持ち手にある引き金を引くことで、銃弾を発射することができるらしい。
以上が、警備隊の説明でした。
それはそうと……。
「それ以外だと、どんな人なんですか? 例えば、性格とか……」
「う〜ん、そうだな……。性格は、至って温厚で優しい御老人だね。他は、盲目なところかな……」
「盲目ってことは……。目が見えないんですか?」
「うん。詳しくは知らないけど、昔から全く見えないんだって」
「そうですか……」
それめっちゃ需要なことじゃん。
できれば、そのことを一番に聞きたかったわ。
もし僕がそのことを知らずに行ってたら、興味本位で目のことを聞きかねない。
それはとても失礼なことだ。
例え、聞いてきた相手が子供だとしても、絶対にいい気持ちはしないだろう。
前もって聞けて良かったが、それなら一つ不自然だな……。
「それだと、お店を経営するのは大変じゃないですか? 金銭を数えたり、売り物を管理したりしないといけないですよね……?」
「私も気になって、前に聞いてみたんだけど……。鷹貫さんが言うには、目以外を頼りに生活していくうちに、他の感覚が研ぎ澄まされたから全然問題ないらしいよ」
「それに、鷹貫さんは音の適性能力者な上に、練人種なの。だから、音の能力を極めた結果、音の振動のみで周囲に何があるのか正確に認識できるんだってさ」
「まあ、私には到底無理な芸当だけどね〜」
「なるほど……」
つまり、視覚以外の五感が優れているということか。
その話だけ聞くと、お店を経営するのも問題なさそうに感じてしまう。
けど、例え音の適性能力者だとしても。
そこまで音の能力を使えるようになるまで。
想像もできないほど、長い月日が掛かったはずだ。
同じ音の適性能力者。
尚且つ、練人種の乾牧さんが到底できないと豪語しているわけだし。
つまり、鷹貫さんは生活していく中で、それほど音の能力を極めたってことか。
もしかしたら、鷹貫さんはとんでもなく凄い人なのかもしれないな。
「そういえば、そのお使いって璃……。お母さんからのお使いなの?」
「鷹爪宝魔晶店って、宝石とかを売っているお店だから、衣服とは全然関係ないと思うんだけど……」
「いえ。これは、母親の知り合いの人から受けたお使いなんです」
「知り合いの人?」
「はい。空陰鍛冶屋を経営している輪陰回連さんっていう優しい男性からのお使いなんです」
「「「「……!?」」」」
乾目さんと普通に会話していたんだが、僕が輪陰さんの名前を口にした途端。
何かを隠すかのように口をつぐみ、どこか懐かしそうな表情を浮かべていた。
他の申取さんたちも同様の反応をしており、急に周囲の空気が重くなった。
「そっか。輪陰さんの……」
ボソッと呟く乾目さん。
当然、僕は四人の反応に疑問を抱いた。
「もしかして、ご存知なんですか?」
「うん。ちょっとね……」
乾目さんは知っていること自体は教えてくれたが。
なんとなく詳細は言いたくなさそうな雰囲気を醸し出していた。
なので、僕も空気を読んで、深くは追求しないようにした。
「そ、それで浸夜くんはどんなお使いを受けているんですか?」
重たい空気になったのを察し、すかさず鼻寅さんが話を戻そうとしていた。
鼻寅さんは男女問わず子供が好きで、今みたいに僕の頭を撫でてくれる。
話し方が固いのは習慣的なものらしく、誰に対しても必ず敬語で話す。
だからかはわからないが、受付嬢の中で一番しっかりしている印象がある。
「それは……」
夢で出会った美女に会いに行くんです。なんて言うなよ僕。
そんな運命みたいなことあるわけないし、今までの信頼を失いかねん。
かといって、鼻寅さんたちにお使いの内容を話してもいいものか……。
別に話さないように言われているわけじゃないが。
かと言って、他の人にベラベラ喋るのもいけない気がする。
となれば、ここは簡潔にまとめて目的だけを伝えよう。
「詳しくは言えませんが、重大な使命を受けているんです」
「ん? 重大な使命ですか?」
「はい。今から……。僕の思い人に会いに行くんです」
「そ、それは重大ですね。頑張って下さい」
「ありがとうございます」
ちょっと簡潔にまとめすぎた気もするが。
最終的な目的は間違ってはいないので良しとしよう。
「思い人……」
僕の発言に少し驚いている鼻寅さんを見つめていると。
なぜか巳鳴さんが小さい声でボソッと呟き、ちょこちょこと近づいて来た。
「ということは……。僕に会いに来てくれたの?」
「違います」
やや上目遣いで飛んでくる巳鳴さんからの唐突な問いかけ。
対して、僕は瞬時にスッと真顔になりながら、即答して否定を返した。
「なんで思い人が巳鳴さんになるんですか」
「そんなの決まってるよ」
「僕が浸夜くんのことを愛しているからだよ。可能なら、僕はいつも一緒に居たい。ずっと永遠に……」
「重いです……」
巳鳴さんを簡単に説明すると、僕に求愛している僕っ子巨乳おっとりお姉さん。
母親に負けず劣らずの巨乳の持ち主で、会う度に求婚を申し込んでくる。
なぜ巳鳴さんが僕に求愛しているのかというと。
自分の口からは説明しにくいんだけど、始まりは目を疑うほど急に訪れた。
◼️◻️◼️◻️
陰歴二〇九九年十一月十日。
僕が転生して約一年が経った頃――。
僕は、徐々に声帯と筋力が身に付き始め。
母親にお店の手伝いをさせられていた時のこと。
「璃映〜。僕、浸夜くんと結婚するよ〜」
巳鳴さんがバ〜ンと勢いよく扉を開けて入って来たと思いきや。
突然、自分の耳を疑うような、とんでもないことを言い出したのだ。
丁度、僕は会計用の椅子に腰を掛けており、目を点にして巳鳴さんを見つめた。
自然と頭の中に浮かんだことは唯一つ。何言ってんだ……? 以上。
母親と塞養さんは衣服を整えている最中だったが。
瞬間的に右手に持っていた洋服用ブラシを落とした。
そして、母親が一言。
「急に何言ってるの、史萠」
どうやら、母親も僕と同じことを思ったみたい。
怒ってはいなかったが、なんとなく呆れていることは伝わってきた。
どうしたのかと巳鳴さんに詳しい話を聞くと……。
その日、一人の冒険者からプロポーズをされたらしい。
最初は普通にいい話だと思ったが、なぜかキッパリと断ってしまったとのこと。
当然、母親は断ったことに疑問を抱き、直ぐ巳鳴さんに断った理由を聞いた。
結果、なんで断ったのか聞いて、素直に納得していた。
というのも、なんとプロポーズしてきた相手は女性だったのだ。
しかも、その女性は十歳以上年下で初々しさが抜けていなかったそうだ。
念の為に言っておくが、巳鳴さんは百合ではない。
正真正銘、純粋無垢な乙女です。
そういうことで、プロポーズを断って一件落着。
と思いきや、その女性からどんな人がタイプなのかを聞かれてしまい。
久しぶりに真剣に考えた結果、僕が好きだという結論になったそうです。
一応、僕も真剣に話を最後まで聞いていたのだが。
巳鳴さんが口にした内容は、なんともツッコミどころが多い話だった。
まず第一に、僕が巳鳴さんを好きかどうかを聞く前に結婚だと……?
あまりにも急すぎる展開に気持ちが落ち着かず、動揺を隠せないでいた。
それは母親も同じみたいで、右人差し指で眉間を押さえ。
左手で頭を抱えながら、疲れ外へ出すように、深いため息を吐いていた。
「まあ、浸夜が好きだってことはわかったわ」
「そっか。じゃあ、OKってことだね」
「そんなわけないでしょ」
巳鳴さんの意味不明な解釈に食い気味に否定する母親。
何か問題でもあるのと言わんばかりに残念がっている巳鳴さん。
「えー。何か問題でもあるの?」
「問題しかないわよ」
「あのね、史萠……。第一に、浸夜と何歳離れていると思ってるの?」
その頃、僕は三歳。対して、巳鳴さんは二十七歳だった。
ということは、つまり……。
「二十四歳差だね」
「でしょ?」
「……え?」
「いや、それが何か? みたいな顔しないでよ」
「大丈夫だよ、璃映。愛に年齢の差なんて関係ないよ」
「さっき歳のことを気にしてたのはどこにいったのかしら?」
「まあまあ、細かいことは気にしないで」
「史萠は色々と粗すぎるのよ」
母親と巳鳴さんの会話は、いつもコントみたいになってしまう。
二人とも意識しているわけではないと思うけど、見事な漫才コンビだ。
「全く、璃映じゃ埒が明かないな……」
「それ、私のセリフなんだけど……?」
「浸夜くんに直接聞くよ」
巳鳴さんはそう言った後、一直線にこちらへ向かい。
僕の目の前で中腰になって、グイッと顔を近づけながら問いかけてきた。
「ねえねえ、浸夜くん。僕と結婚する?」
「いえ、お断りします」
僕は即答した。
巳鳴さんの気持ちは嬉しいのだが。
母親が言うように、歳の差に違和感がありすぎる。
それに、いきなり結婚は色々と段階をすっ飛ばし過ぎだ。
なので、巳鳴さんには悪いけど、ここはキッパリと断ろうと決めた。
「そっかー。駄目ですか……。じゃあ、諦めるよ」
僕が断った途端、巳鳴さんはわかりやすく残念そうだった。
巳鳴さんの性格上、絶対にこれだけじゃ諦めないと思ったんだけど。
なぜか今日は聞き分けが良く、あっさりと引き下がってくれた。
大丈夫ですよ、巳鳴さん。
いつか、きっといい人が現れますって……。
多分……恐らく……きっと……。
巳鳴さんの残念そうな姿を見て、段々罪悪感に駆られ。
決して声には出さなかったが、頭の中で訴えかけた。
「諦めるの早いわね……」
「まあ、無理強いは良くないからさ」
「じゃ、また今度言いに来るね〜」
「あ、はい……」
こうして、巳鳴さんは嵐のように去って行き、その日はなんとかなったが。
それからというもの、巳鳴さんは会う度にプロポーズをしてくるようになった。
結果、現在に至るというわけです。
◼️◻️◼️◻️
「そうですよ。史萠先輩の愛は重すぎます。それだと思い人じゃなくて、重い人ですよ」
上手いことを言う鼻寅さん。
その調子で巳鳴さんをなんとかしてくれ。
「え〜。でも、僕野緒より体重軽いよ?」
「張り倒しますよ」
だが、巳鳴さんがタブーに触れてしまい。
鼻寅さんの表情と口調が一気に急変してしまった。
鼻寅さんは、スレンダーな見た目に反して。
食べれば食べるだけ増え続けてしまう体重のことを気にしているらしい。
だから、鼻寅さんに体重のことを口にすることはタブーとされている。
因みに、そのタブーを破ってしまうのは、いつも決まって巳鳴さんです。
「大丈夫だよ。僕は野緒のプニプニなお腹を触ることで、いつも生き甲斐を感じてるから」
「全くもって大丈夫じゃないです。野緒にとって、このお腹はいつも死に甲斐を感じる存在なんですよ」
鼻寅さんは怒ると物凄く口調が荒くなる。
と言っても、巳鳴さんに対してだけしか見たことがない。
巳鳴さんは、とにかくスキンシップが激しい。
よく後ろから鼻寅さんに抱きついて、お腹を揉み揉みと摘んでいる。
その都度、鼻寅さんが怒って喧嘩が始まる。
でも、決して手を出すわけではないので、ご安心を。
多分、巳鳴さんは悪気がなく口にしているんだろうけど。
逆に鼻寅さんが怒る原因になっているように思える。
犬猿の仲ならぬ、蛇猿の仲というやつだ。
因みに、巳鳴さんは母親にもよく抱きつく時は、お腹ではなく胸を鷲掴んでいる。
全く羨まけしからんです。まあ、こちらとしては眼福ですけどね。
そして、鼻寅さんのお腹を掴む理由は……。
胸がまな板みたいにぺったんこで、お腹の方がプニプニだから。
前に巳鳴さんに聞いたら、笑顔で教えてくれた。
その時、巳鳴さんの背後には、虎のような目で睨んでいる鼻寅さんの姿が……。
その後に何があったのか。それは言うまでもないだろう。
「こらこら〜。喧嘩しないの」
すると、ようやく申取さんが登場。
鼻寅さんと巳鳴さんが喧嘩した時、いつも仲裁する役を担当している。
「ごめんね、浸夜くん。時間取らせちゃって」
「いえ。全然大丈夫です。では、僕はこれで失礼しますね」
「時間がある時に、またお店に遊びに来て下さい。母親も喜ぶと思うので」
「うん。また遊びに行くね〜」
申取さんが代表で返答しており。
乾牧さんたちと一緒に、こちらに向かって右手を振っていた。
僕は少し照れながら右手で振り返し、また目的地に向かって歩き出した。
◼️◻️◼️◻️
僕の姿が見えなくなったのを確認し。
気が抜けたように、乾目さんたちは一斉にため息を吐いた。
「いや〜、危なかったね」
「うん。まさか、輪陰さんからのお使いだったとはね……」
右手でご立派なお胸を撫で下ろしている巳鳴さん。
巳鳴さんが発した言葉に返答するも、明らかに元気がない乾目さん。
「ビックリしちゃいましたね」
「でも、浸夜くんの様子からして。どうやら、二人とも元気みたいだね」
一ミリも膨らみがない胸に右手を当ててホッとしている鼻寅さん。
そして、判明した事実を口にし、意味深い発言をする申取さん。
「だね……」
掠れた声で返事をする乾目さん。
「じゃ、そろそろ帰ろっか」
「「「は〜い」」」
最後に発した乾目さんの言葉に合わせ。
巳鳴さんたちが一斉に返事をし、総合集団住宅に向かって歩き出した。




