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転生したら息子も召喚って!?  作者: 十月猫熊
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95エミリー 地図

「うーん、これではまだ中なのか、外なのか分からないな…もう少しこの場で待機して、点が移動するかどうか確認する。もし移動が確認できたら、我々も洞窟から出て、なんとかハルト達がいる場所に合流できないかを検討する。移動が確認できない場合は…こちらから掘ってみるとか、何かしてみなくてはならない。待機中は、移動が確認できない場合にとり得る策について、各自考え、随時提案報告のこと」


私はずっと何も言えず、ただただ、うろたえるだけだった。

情けない。


しかも、待機中と言いながら、この辺りはこの洞窟に住むゴブリン達にとってかなり良く使う通路らしく、男性陣はひっきりなしにゴブリンと戦っている状態だ。


私は戦っていないからには、何か策を、と思っても、私の頭程度では、崩れてくる頭上を気にしながら、自分たちまでが生き埋めにならないように掘り進む方法なんて、全く思いつかない。


お嬢様がいれば、魔法で結界をはりながら掘り進めることもできただろうに、そのお嬢様がいないのだ。


でも、その場で新たな魔法を作り出すこともできるお嬢様なら、きっとハルト殿下と助け合ってどうにかしているのでは、とちょっと希望を持った。


それでもほんの数秒もたつと、本当にお嬢様は無事なのか、何か起こってやしないか、と気が気ではなくなる。


大切なお嬢様のお傍にいるために、こんな魔物だらけの洞窟にまで来ているというのに…。

お嬢様のことが心配でどうにかなってしまいそうだ。


何回目かの戦闘の後、隊長に促されて、アレックス殿下がまた地図を開いた。

私も固唾をのんで、点の場所を見つめる。


「うん?ほんのわずかだが、移動している?」


エドガーが、さっきまでの点の位置はここだったのでは、と指をさす。


「縮尺のせいで、歩いて移動していたら、そんなに点は動かないけど…でも確かに、さっきとはちょっと違うところに点があるように見えるな…あ!色が変わった!」


皆が見ている前で、地図の色が一部変化した。


この魔法の地図は新しい地域に到達すると、地図の地の色がわずかに変化する。

行ったことのある場所と無い場所が一目瞭然になる作りなのだ。


この洞窟のある森の奥の、さらに奥の方に、最低でもハルト殿下だけはいることがわかった。

 

皆、一様にホッとしている。

やはり誰も掘り進める方法は思いつかなかったのだろう。


「よし。ハルトがなんとか洞窟から出て、森のさらに奥に進んだことが確認できた。まずはとにかく速やかにこの洞窟から出る。一旦地下三階まで戻ってから、また上がるという道のりなので、今日中にこの洞窟を出ることはできない。いつもの小部屋で一泊し、明日の昼には外に出ることを目指す。外に出て村に戻り次第、公爵家の使用人には、現状の報告をしに城に行ってもらうこととし、我々はハルトのいる場所へのルートを検討する。場合によっては地理に明るい村の者の協力を仰ぐ。…行動開始だ」


グレイ隊長の指示に、皆すぐに動き出した。


私は皆の足手まといにならないよう、ひたすら遅れないようについていく。


ハルト殿下が無事でも、お嬢様が無事な保証なんてないのだけど、二人が一緒に行動してくれていることを願う。


いつもの小部屋について、入ろうとしたら、お嬢様がいないので結界を解除できなかった。


仕方なく、攻撃して結界を破壊する。


そして、食事の準備をしようと思ったら、水魔法が使える二人が二人ともいないことに気が付いた。


この小部屋に置いていた水瓶には、まだ半分くらい水が残っていたので、それでお茶を沸かし、あとはチーズとハムを挟んだサンドイッチだけだったけど、誰からも文句は出なかった。


結界を壊してしまったので男性陣が交代で入り口を見張ってくれる中、なんとか浅い眠りながらも数時間体を休め、お嬢様の回復の歌がないと、こんなに疲れがとれないのか、と驚きながら、グレイ隊長に起こさた。


もう水は無かったので、朝食は抜きで出発することになった。


そして、拠点にしている小部屋の入り口に結界を張ることができないので、いくつか部屋においていた松明の予備などのアイテムも全て回収した。


お嬢様がいかに皆さんの役に立っていたかを痛感する。


もう私ですら少し覚えてきた小部屋から外へ出る通路をたどりながら、お嬢様は食事はできているのだろうか、と胸を痛めた。


道中に出会った魔物達は、グレイ隊長の高位魔法で瞬殺され、ほとんど時間をとられることがなかった。


隊長も見た目では分からないけれど、焦りや苛立ちを感じているのだろう…。

捉えどころのない人だと思っていたけれど、意外と直情タイプのようだ。


ようやく洞窟の外に出るとすぐに、改めて地図を見た。


ハルト殿下の居場所が、森の奥深いところで止まったまま、今朝出発前に見たときから変わっていないことが分かった。


「夕べ寝る前に見た時も、ここだったな…。寝る場所を確保したんだと思っていたけど、この時間になっても移動していないのはどういうことだ。動けなくなった可能性もあるな…」


隊長さんが不吉なことを言う。


皆が黙り込んでいると、庭番が私達に一言、「先に行く」と声をかけてくれた。


何も言わずに離脱していかないなんて、仲間意識が芽生えてくれたのかもしれない。

庭番は、自分が行った方が早いから、と、ハルト殿下とお嬢様の二人と私達がはぐれたことを、城まで伝えに行ってくれることになっていた。


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