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転生したら息子も召喚って!?  作者: 十月猫熊
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92マリア 本人無自覚のチートへの覚醒

その後、私を連れて帰りたいお父様と、悠人のそばについていたい私とでしばらく話し合いが続いたのだけど、私の主張が通って、リーベス村に残ることになった。

今、お母様や弟たちの顔なんて見たら気が緩んでしまいそうだったし。


お父様はカノンさんに連れられて、しぶしぶ王都に戻って行った。


ちなみに大きい魔石は私の独断で、そのロイさんに渡してもらうことにし、お父様に託した。

私達が持っていても何の役にも立たないし、かなりの高額で換金できるらしいけど、私達は幸いにしてお金に困っていない。


魔石入れのポーチはちゃんと悠人のポケットに戻しておいた。



静かになったカノンさんの家で、寝ている悠人に付き添いながら、借りている手記の続きを読むことにした。


さらに読み進むと、魔法の応用についてではなく、今、一般に広まっている魔法のその仕組み自体に考察が及び、この人なりのアレンジについて書かれていた。


私も、今までにない新しい魔法を生み出すことは、既にしていることだ。

なかなかできることではないのだそうだけど、できてしまう。


人に説明をするのは難しいのだけど、直感で、これはいける、と思うものはできるのだ。


でも、既に存在していて、理論を教えられて習得した魔法そのものを、アレンジすることは考えたこともなかった。


例えるなら、積み木の組み方を変えることで新しいモノを作り出しても、その『積み木そのもの』を見直して作り変えることにまで、考えが至ったことは無かったという感じか。


目から鱗がおちる、とはこのことか、と思った。


一気に、今自分が使える魔法の理論へ思考がとんだ。


時間にして、ほんの数秒のことだっただろう。


でも、私は魔法使いとしては完全に生まれ変わった自信があった。


今まで使っていた魔法の理論に、無駄が含まれていることに気付くことができた。


例を挙げるなら、一番よく使うであろう回復魔法。

きっと今までよりももっと少ない魔力消費で、より回復させられる。


それに、おそらくあらゆる魔法の詠唱から発動までの時間も、ぐっと短くできる。

いや、数度の練習で、ほとんどの魔法が無詠唱で使えるようになるだろう予感もある。


そして、さっきのカノンさんの話によって、回復魔法では本当には『治っているわけではない』ことがわかった。


『動けるようになっているだけ』。


この辺りのことをカノンさんにもっと教えてもらいたい。


回復薬で回復させるのと、私の回復の歌で回復をさせるのと、魔法で回復させるのでは、それぞれが何かが違う、とずっと思っていたけれども、それらの違いも分かるかも知れない…。


すごい勢いでぐるぐると考えていたら、いつの間にかカノンさんが新しい本を手に、隣に立っていた。


また集中し過ぎて一人の世界に入っていたらしい…。

恥ずかしい。


「お、お帰りなさい。お父様を送ってきてくださってありがとうございます。おしゃべりな人なので大変でしたでしょう?」


「ああ、あんたは色んな面が母親似だって思えたねぇ。…で。どうだい?その顔は、その本があんたの役に立ったようだね?」


「はい。とても。今までどうして疑問に思わなかったのか、不思議なくらいです。何故こんなに無駄の含まれた魔法が一般的になってしまったのでしょう…」


「その辺りの歴史についてまで教えようと思ったら、何か月かここに住み込んでもらうことになっちまう。いや、あんたなら数週間で足りるか。読んだだけで、そこまで理解できたなんて、話に聞いてた通りの子なんだねぇ。今は、仲間とどう落ち合うことになるのかまだはっきりとしてないんだし、ここにいる間に、私の教えられることは教えてやるよ。何しろまだ内密とはいえ、勇者ご一行の一員だからね。あんた達には命がけでブラックドラゴンを倒して来てもらわなくちゃならないんだ、私だってできることは協力しないとね」


「ありがとうございます、よろしくお願いします!」


私は早速たくさんの質問をして、ノートとペンがないことを悔やみながら、教えられたことを頭に叩き込んでいった。

それは、夜更けにカノンさんがもう勘弁しておくれ、と音をあげるまで続いた。



次の日の朝は、うわあっ、という悠人の叫び声で目が覚めた。


がばっと悠人が起き上がり、心臓を押さえている。


「何?何があったの?怖い夢でも見た?魔物でも出た?」


私も起き上がってきょろきょろしたけど、特に何もない。


やっぱり怖い夢か。

夢の中でも魔物と戦ったのかしら、可哀想に…。


「あ、いや、その、夢じゃなくて…」


挙動不審な悠人が面白くてしばらく眺めたけど、私がベッドから降りてあげないと、私と壁の間に挟まれている悠人はベッドから降りられない。


一台しかないベッドに二人で寝ていたのだ、狭くて大した身動きもとれない。


ちなみにカノンさんはリビングのソファーで寝てくれている。

寒い季節じゃなくて良かった。


うーん、と伸びをしてからベッドから降りて…カノンさんから借りている服に、悠人の泥汚れが移ってしまっているのに気が付いた。


顔をしかめて、失礼、と悠人から毛布をはぐ。

毛布にもがっちり泥が、もちろんシーツにも…。


「殿下、今日の体調はいかがですか?もし大丈夫なようであれば、朝食後、できれば入浴して着替えていただくようにお願いいたしますわ。…でも着替えはあるのかしら…」


一昨日は私もそれどころではなかったので汚れたまま眠ってしまったけど、夕べもこんな汚いまま悠人を寝かせてしまうなんて、本当になんてこと!


それに、厚意で貸してくださっているベッドをこんなに汚してしまうなんて。


そして私も私よ、夕べ魔法学に興奮して、こんな汚いベッドで平気で眠れたって一体どういうことかしら!

 

我ながらこの失態ぶりに、頬が膨らんでしまった。


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