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転生したら息子も召喚って!?  作者: 十月猫熊
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82ハルト 強敵2

今の僕が使える最上級の炎の魔法をぶつけてみた。


これはさすがに効いたようだ。


マリア嬢がかけてくれた魔物の動きが遅くなる魔法も効いたようで、その隙にもう一本魔力回復薬を飲む。


今の僕の魔力量では、この炎の魔法を使うと、最大魔力量の八割を消費してしまう。魔力回復薬と魔法がセットにならざるを得ない。


薬を飲んでいる間に、かなり間合いを詰められてしまい、避けようとしたけど、それこそ丸太のように太い前足の、薙ぎ払うような動きを、思い切りわき腹にくらった。


でも攻撃をくらう瞬間に魔法の詠唱が間に合い、僕も吹っ飛んだけど、魔物も焦げて、動きが止まった。


起き上がると激痛が走る。あばらが折れているんだろう。


でも、自分が飛ばされてしまったことで、マリア嬢と自分と魔物との位置関係が変わってしまった。


…自分よりマリア嬢が魔物に近い!


彼女がこんな一撃をくらったらひとたまりもない。


魔物はまだ遊んでいるようで、向こうから積極的にたたみかけて攻撃するつもりはないようだ。


だからといって逃げようとしたり、こちらが攻撃しないでいると、多分一瞬で息の根を止めに来るだろう。


…ヤツは、僕からの攻撃を楽しんでいるのだ。


あの爪の前では気休めにしかならないだろう盾を捨て、両手でグッと剣を握って、注意をこっちに引き寄せるために駆け寄って切りつける。


でも骨折の痛みで、力が入らず、ほとんどダメージを与えられていない。


それでも注意がこちらに向いてくれさえすればいい。


マリア嬢が回復魔法をかけてくれて、痛みが和らいできた。


魔力回復薬を飲まないと、こいつに少しは効く攻撃魔法は使えない。

でも今、そんなものを飲む時間の余裕はない。


仕方なく、ほとんどダメージを与えられないことはわかっていても、選択肢がないので、愚直に切りつける。


マリア嬢が魔物の防御力を下げる魔法を何度もかけてくれていて、それがようやく効いてきたようだ。

剣がはじかれるような感覚だったのが、少しは切りつけている感覚になってきた。


延々と、ひたすら切りつけては反撃をかわし続ける。


魔物はいたぶるようだった動きから、そろそろ仕留めようとする動きに変わってきている。

さすがに飽きてきたらしい。


魔法でこちらの素早さがかなり上がっていて、魔物は逆に遅くなっていて、それでこのギリギリのバランスだ。

少しでも集中を欠けば、やられる。


救いなのはこいつが魔法を使ってこないことだった。


そして目の端にいるマリア嬢がまだ無事なのも幸いだ。


魔物はマリア嬢からは一切攻撃魔法も物理攻撃も受けていないので、まずは僕をやっつけてしまおうと思っているようだ。


さすがの魔力量を誇るマリア嬢もさっきから魔力回復薬を飲んでいる。


手持ちの魔力回復薬が切れたときが、僕らの命の終わるときか…そう思いながら少しでもダメージが大きくなるように、師匠に習った基本の動きを思い出しながら、急所を狙って切りつける。


魔物もダメージの蓄積でほんの少し動きが悪くなってきているけど、それよりもっと、こっちはふらつき始めていた。


だんだん握力も無くなり、剣を取り落とさないように必死に指に力を込めて握り、切りつける。


隙をみて、マリア嬢だけでも逃げて欲しいけど、そんな望みは持つだけ無駄なのも分かってしまっている。


向こうはそこまでの疲れを見せないというのに、こちらは限界が近づいていた。


とうとう、かわし切れず、またしても薙ぎ払うような腕の動きの攻撃をもろにくらってしまい、その勢いでまた飛ばされた。


背中から木に激突して木の根元にくずおれる。


がはっと口からかなりの量の血がでた。


息がほとんどできない。


これは…まずい…。


痛みはもはや限界を超えたのか、あまり感じない。


あちこち折れているのか、力がはいらず、立ち上がることもできない。


仕方なく、ぼやける視界の中、残っている魔力で使える炎魔法を、気休めでもいいからぶつける。

魔物の注意をマリア嬢に向けてはいけないのだ。


マリア嬢がすぐにかけてくれた回復魔法も、弱いものだ。

今残っている魔力の限界なんだろう。

それでも呼吸ができるようになった。


魔物が勝利を確信して、楽しい遊びも終わりだな、という様子で、とどめを刺そうとこっちに寄ってくる。


ネコ科の顔なのにニヤニヤしているのが分かるようだ。


せめて立ち上がらなくては…。


僕はまだ諦めてはいないんだ。

本当に命の尽きるその時まで、諦めない。


戦うんだ。



そのとき。


僕にはまだ使えない、強力な魔法の火柱がたった。


僕のそばまで来ていた魔物が、その火柱に焼かれてみるみる黒焦げになっていく。


近いので僕も熱い。


体がほとんど動かないので、じりじりと少しずつ焦げる自分の体を見ていたら、マリア嬢が駆け寄ってきて、僕を引きずって距離を取ってくれた。


何が起こったかわからないし、頭がうまく働いてくれない。


そうだ、そういえばマリア嬢はもう魔力切れだろう、回復させないと…。


僕を置いて逃げてもらうにしても、魔力なしではどうにもならないだろうから…。


僕はまだ魔力回復薬を持っていたので、手探りで鞄から取り出してマリア嬢に渡した。


そして……回復薬を飲んで、立ち上がって、魔物にとどめを刺す必要がないかどうか見極めなくては…と思っていたら、世界がぐるぐるまわり、視界も暗くなってきて、何もわからなくなってしまった。


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