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転生したら息子も召喚って!?  作者: 十月猫熊
81/145

81ハルト 強敵1

振り返ると、さっきまで出会ったやつより、絶対に強い魔物だと瞬時に分かった。


まず、でかい。


禍々しいオーラも強烈だ。


四足の動物…トラやライオンを彷彿とさせる姿をしている。


これはやばいやつだ…。


駆け出しとはいえ、冒険者として少々の実戦を経験してきた。

その経験から察知できる全てが、危険だと警鐘を鳴らしている。


のそり、と一歩近寄られただけで、背中にぞくり、と悪寒が走る。

こいつには勝てない、と本能が告げている。


冷や汗をかきながら、松明を脇に投げ捨て、剣を抜く。


月明かりの中、マリア嬢がすぐに自分と僕に物理防御と魔法防御を上げる魔法をかけ始めてくれている。


マリア嬢を守りつつ、こんなやつとどこまで戦えるんだ…。


一瞬弱気になりかけて、すぐにお腹に力をこめた。



こんなところで死んでたまるか。



僕は勇者で、ブラックドラゴンを倒さなくてはならないんだ。


マリア嬢は回復役で、自分ではほとんど戦うすべがない。

守り抜かなくては。


僕は…二度と…誰も僕の目の前で死んで欲しくない。

 

暗さに目を慣らしながら、じりじりと魔物と睨みあい、距離をはかる。


正直、何度も出あうザコ魔物の方が、ゲームでの記憶は残っている。


こいつは、ザコにまぎれて稀に出会うやつ。


パーティー全員でかかっても、油断しているとかなりの大ダメージを受ける、ダンジョンでのボスにも匹敵するような奴だ。

攻略サイトでは野良ボス、なんて呼ばれていたやつだろう。


各地に色んな野良ボスがいて、あわや全滅…という目にあったこともあった。


そういうことは思い出せても、ゲームでこいつと出会ったかどうか思い出せない。

戦ったことがあったとしても、詳しいことを覚えていないのだ。



魔物が、僕とマリア嬢のどちらから血祭りにあげようか、と僕らを眺めているのがなんとなくわかる。


ヤツからすると、僕らがザコでしかない。


もし僕らを強いと感じたなら、今頃はとっくに攻撃を受けているだろう。


とにかく、マリア嬢がターゲットにされないように、僕に意識を集中させるように、こちらから先に攻撃を仕掛けなくては。


動物っぽい見た目だ、きっと少しは効くのでは…そう考えて、炎系の魔法を試しに放ちつつ、魔物に向かって走った。


顔面に炸裂した魔法は効いてはいるけど、与えたダメージはそこまででもない。


魔法防御力が高いのかもしれない。


というより、ゲーム風にいうなら、自分のレベルがこの魔物と戦うにしては低すぎるんだろう。


炎魔法を顔面に目くらましの意味合いを込めてぶつけた隙に、間合いを詰めて、急所である目を狙って剣で切りつけた。


何度も師匠に叩き込まれた、ヒットアンドアウェイ。


切りつけた後は、反撃をくらう前に敵の攻撃範囲から速やかに離れる。


後ろに下がりながらも魔物の爪が小手をかする。


素早い!


見ていたマリア嬢が、すぐに素早さを上げる魔法を詠唱し始めている。


そして、ちゃんと顔の部分に攻撃は当たったのに、まるでダメージを与えられた感覚がない。


物理攻撃は効果があまりない上に反撃の危険があるから、今度は距離を取って、かまいたちのように切りつける風魔法を試してみた。


ダメだ、これも効果がないわけではないけど、効きが弱い。



魔物からは、弱い獲物をいたぶって楽しもうとしている気配がする。


あきらかに本気を出そうとしておらず、こちらが次にどう出るか様子見をしているのだ。


それならそれで有り難い。


こいつが全力で襲い掛かってきたら、僕はあっという間にやられるだろう。


数度、攻撃をしてみたことで、やはり僕では太刀打ちできないことが自分でも分かってしまった。


この圧倒的な強さの違いの前で、少しでも生き残る可能性を増やすためには、即死しないようにして戦闘を長引かせ、どこかで逃げるチャンスをうかがうしかない。


間違ってもマリア嬢にヤツの攻撃が向かわないよう、距離をあけ過ぎず、近づきすぎず…。


間合いをはかっていたら、暗い夜の森での戦闘に慣れていないせいか、うっかり木の根に足を取られて、後ろ向きに思い切り転倒してしまった。


まずい、力の差が既に明白で、長期戦にもちこんでなんとかしようとしていたのに、ここで大ダメージをくらったら…。


必死に起き上がろうとしたときには、もうのしかかられんばかりの距離で、ネコ科の爪の出た太い前足がすごい勢いで僕に向かって振り下ろされた。


片腕くらいは吹っ飛ぶことを覚悟したのに。


吹っ飛んだのは魔物の方だった。


僕の前に白い光の壁ができ、それが魔物の攻撃をまるまる跳ね返してくれたようだ。


目の端に入ったマリア嬢が必死な真っ白な顔色で、次の魔法の詠唱をしている。


魔物が吹っ飛んでくれたおかげで、その隙に僕は魔物とマリア嬢の間に立ち、魔力回復薬も飲めた。


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