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転生したら息子も召喚って!?  作者: 十月猫熊
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80ハルト 思わぬ事態3

「外に出られたよ!」


マリア嬢のところに戻ってそう告げると、喜んで涙ぐんでいる。


一人にさせて、おいて行かれるような気持ちにさせて心細かったのかも。

でもまあ今は仕方ないよね。

そばについていたら何もできないし。


マリア嬢を先に行かせることにして、まずマリア嬢の魔法の杖や、僕の盾や剣などの引っかかりそうなものを魔法のカバンにしまった。

アレックスの大剣も入るカバンだ。余裕で入る。


マリア嬢を下から押し上げ、最初の岩の上に上げてやると、そのあとはなんとか自分で、手探りで登り始めてくれた。


すぐに自分もその後に続く。


何度か、下から押し上げたり持ち上げたりはしたけど、なんとかマリア嬢が先に外に出て、その後に続いて僕も外に出た。


その辺りはまだ崩れるかもしれないので、ちょっと離れた木の根元までとにかく進み、そこでやっと二人で座り込んだ。


西日の中、お互いに土まみれで、マリア嬢がはあはあと息を整える。


「重かったでしょう、ありがとう」


「んん?丸太に比べれば…」

 

あの時は引いて歩いたので現実には丸太を持ち上げてはいない。


「丸太?」


比べられたものがとんでもない物だったせいか、ぷうっと膨れている。


「ちょっと水でも飲もうか」


僕も水魔法が使えるけど、微調整が難しい。

水瓶にちょうどよく水を満たす、とか、マリア嬢は良くできるな、といつも感心してみていた。


すぐに水瓶いっぱいに水を出してくれて、まずお互いに泥だらけの手や顔を洗い流した。

口の中もじゃりじゃりしていて、何度もうがいをした。

最後に、カップに注いでくれた水を飲んだら生き返った気分だった。


それはマリア嬢も同じだったようで、顔色が少し良くなった。


「ここは…どこでしょうか」


ほんの少し落ち着いたので、周りを見渡せる元気も出てきた。


見える範囲は、全て山の斜面。

西日を受けている。


そして、その斜面は、ずうっと下の方まで続き、かなり深い谷のようになっている。


そして、僕の予想通り、洞窟の出入口だったところの上の斜面から、下の方まで、土砂崩れが起きていて、木々もなぎ倒されていた。


僕らはそのすぐ脇の、無事だった木の根元にいる、というところだ。


ゲームのときの記憶だと、ここは、山、というより、拠点を置いている村と高度はほとんど変わらない。


ただ、窪地への傾斜の途中にいるので山に見えるだけだ。


ゲーム通りなら、周りから隔絶されたこの窪地には、小さな集落があるはずだ。

そこに住む人々は魔法を使える者たちだけで構成されている。


そして、この世界で、ここでだけ買うことのできる、全回復薬と全魔力回復薬、そして、一つで全回復薬と全魔力回復薬の役目を果たせる、『奇跡の薬』を扱っている。


但し、イベントをこなして、村人に気に入ってもらえないと売ってもらえない。

 

ゲームではその集落を訪ねるのはもっと後になってからだし、もちろん全員で、だ。


今、その集落を訪ねてもいいものか、一瞬迷ったけど、たった二人で森の中で夜を迎えるわけにはいかない。

急げば、暗くなる前にたどり着けるかもしれない。


「あそこ…見えるかな、あの向こうに、うっすらと煙がたっているのが見えるよね…?きっと人里があるんだと思うんだけど、行ってみる?」


幸い、その集落はここよりも低い場所にあり、集落から立ち上る煙がここから見えた。


残念なのは魔法の地図はいま、アレックスが持っていることだった。

地図があれば、せめて自分の位置がわかる。


「ここにいても魔物と戦いながら夜を明かすことになりますものね。今から向かえば、夜には間に合うでしょうか」


「とにかく、行ってみよう。明るいうちに少しでも近づいておきたい」


鞄にしまっていた剣などを装備して、お互いの回復薬などの在庫を確認したあと、出発した。


でも、アレックスと二人のときのような速さでは歩けないのが少々誤算だった。


太陽が沈んでいくし、こちらも下っていくので、日があたるところは斜面のどんどん上の方に上がっていってあたりが薄暗くなっていく。


正直、正確な集落の場所なんて覚えてもいない。


ゲームでは地図があったし、二度目からは魔法で訪ねていたからだ。

 

マリア嬢のペースに合わせ、さっき目標とした方角を確かめながら進む。


途中、弱くない魔物達と出くわしたけど、出し惜しむことなく攻撃魔法も使ったし、回復もかけてもらったので、倒すのに少々時間はかかったけど、なんとかなった。


でも、そうこうしているうちに、とうとう暗くなってしまった。


足元も良く見えないので、危ない。


予備の松明を鞄から出して灯した。


「暗くなってしまったから、さっきの煙の上がっていた方角がこっちで正しいか…自信がないんだ。どうしようか」


根拠もなく、こっちだ、進んでも意味がない。

正直にマリア嬢に告げる。


「木に登って、高いところから見てみようか」


「でも、暗い中で登って、もし落ちて怪我をしたらと思うと、私としてはやめていただきたいです…」


マリア嬢も困惑顔で、どうしたものか、という顔をしている。

 

と、そのとき、また魔物の気配がした。


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